告白話☆
「文化祭…明日だな」
「うん。あー今年も選ばれるとは……しかもオレらは女装だぞ、女装!!メイド服っておま」
突っ込み所満載過ぎるわ。
そう呟く領可は本当に嫌そうな顔をしているが、オレにとっては願ったり叶ったりだ。
「まぁ、でも女装自体はもう撮影でしちまったし。諦めろ」
「……オレのプライド」
はぁっ――――と盛大なため息をついてベットに腰掛ける。その隣に腰を下ろして顔をのぞき込むと、ドアップの領可と視線がばっちり合ってしまった。
当然といえば当然なのだが。
そして――ぎゅっと抱きしめられる。
「ん?領、どうしたんだ……?」
「……あ、何か、無性にこうしたくなった」
そっかそっか、よしよし。
頭を撫でながら、腰を抱き寄せる。
領可がぎゅっと抱きついてくるのは、たいてい『不安』『不満』『悩み』『ストレス』がたまっている時。
今がまさにそうなのだろう。少しでも気を紛らわせてあげたい……
いつしかそう思うようになっていて、そして、今も思っている。
だからこそ、無言で抱きしめ続けた。
「いつもいつも……ホント、ごめん」
「謝るな。オレがしたいから、こうしてる。お前のせいじゃねーし、オレも嬉しいから……こうやって、頼ってくれるの」
だから謝るな、分かったか?
耳元で、そっと呟く。
吐息に触れて少しびくつきつつ、小さくこくりとうなずいた。
「至軟は……えっと、どうして、オレの事好きになったの?」
「ぶっ!!!!」
あまりにも直接的過ぎる問に思わずふきだしてしまう。
お前、それはパンチ効きすぎるから。
「ねぇ、何で?いつから??」
「ったく、急に何だよ。参ったな……。……そう、だな。
いつって言われると、正直分からない。いつの間にか、お前の事しか考えられなくなってた。……領が嬉しそうに笑う度にどきどきして……嬉しかった」
独り言のように呟き始める至軟を見ていて、内心ああ聞かなきゃ良かった、と実は後悔していたりする。
こっちこそ嬉しくて、何だか身体がふわふわしているような気分になって。
「女の子といるの見ると、苛々した。オレ以外の奴に笑いかけてるの見るだけで、ずきずきしたし、悲しかった。……でも今はそんな事無い。領が好きって言ってくれたから、安心したのかもしれない」
そして1拍置いてから、領、こっち向いて。
領可の顎を長い指で持ち上げて、言った。
「オレの事、好きになってくれて、ありがとう」
最高の笑顔で――――。