学園の二人の美女☆
「あら、この子は新顔さんね」
毎日恒例の下駄箱イベント新顔さんを見つけて麗奈はくすりと笑う。
成績優秀、眉目秀麗、文武両道、寛仁大度、とにかく言葉を尽くしても尽くしても名波 麗奈という人物を表す事は出来ない。そんな現実離れした麗奈に周囲の人々はどんどん魅了されていく。
彼女の欠点は、欠点が無い事とまで言われている程。
「麗奈の下駄箱はいつも華やかというか、騒がしいと言うか……」
肩をすくめて、ふっと兄貴こと会長花凛は笑う。
「それは花凛も同じでしょ?」
「まぁな」
だが彼女達への手紙とプレゼントの山の贈り主には、素晴らしい程の違いがあった。
まず麗奈。
彼女宛の物は男女どちらかというと男子からの方が多い。
スタイル良し、顔良し、つまりプロポーションがとれている所は二人共共通しているのだが。
見た感じの華やかさは、明らかに麗奈の方が上。見た感じの華やかさとは、歳相応の見た目という事。
その他もろもろ含め、彼女は男子の評判が高い。
いっぽうの花凛はというと、どちらかと言うと女子にファンが多い。
確かに華やかなのだが、見た目あまり歳相応とは言えない。
早い話、大人っぽすぎるのだ。そして会長としての仕事ぶり。
なにもかもを完璧に、かつ要領良く全てこなしてしまう彼女の事は名波財閥でもとても有名。
というのは、麗奈の店の切り盛りを裏でこっそり手伝っている事を皆知っているからだ。
麗奈は猪突猛進な所がある為、いつもこっそりと知らぬ間に事を済ませてしまう花凛いてこそだったりする。(名波財閥云々は流石に皆は知らない)
そして口調の勇ましさも手伝って、兄貴、兄様なんて呼ばれ、兄様ぁ、一生付いていきますーなんて本気で言い出す女の子も続出。
ついでにレズも続出。
裏ではこの学園の男子生徒のちょっとした憎き対象だったりもする。
「さてと、文化祭、ついに明日始まるのね……」
「あぁ、そうだな。絶対、成功させよう」
「うん、絶対。花凛の最後の大仕事だもんね?」
その言葉にはっとする。
「何だ、そう思ってるの、気付かれていたんだな……」
「あったりまえじゃな~い。私達、何年の付き合いよ。あなたの考えている事なんて、お見通し」
びっとをこっちを指差してにこっと笑う麗奈。
ありがとう、いつもいつも私の心の奥深くまで、きちんと把握してくれて。
本来はそう言うべきなのだろうが、素直になれない花凛は
「人に向かって指差しちゃいけませんて、ママに教わらなかったのか」
思わず説教臭い事を言ってしまう。
けれどそれすらもお見通しの麗奈はただただくすくすと笑うだけであった。
文化祭まで、あと数十時間……。
何が何でも、絶対成功させてやる……!
二人の胸の内は同じだった。
季節外れの文化祭になってしまったけれど、お気になさらず 汗