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愛歌~アイノウタ~ (文化祭編)  作者: 遊斗
文化祭までの日常
28/51

波乱の予感☆

「お帰りなさい」

「…………は?」

文化祭まであと五日。当然の如くばたばたと忙しい学園、そして当然の如くあちこちに仕事よ仕事手伝ってと駆り出される毎日。あと少しで解放されるんだからも少し辛抱と耐えてはいるけれど、やはり疲れはするもので。仕事よ仕事のせいで学年が違うにも拘らず、帰りの時間がこの所皆一緒で帰ってきたのだけれど。

帰ってきて早々、波乱の予感…………。

「か……母さん?!父さん?!」

「そうだけど。何?嫌だとでも言うのかしら」

「……ソンナコトイイマセン」

ここではい嫌ですとでも言えば波乱の予感は的中してしまう。話をずらさなきゃだな。

誰の母さん父さんかと言うと、全員の母さん父さんである。

つまり。

そこには世界旅行をしている筈の両親が集合していたのである。

「……あのさ、父さん」

「ん?どうした憂麻。そんな恐ろしい顔して」

「恐ろしい顔してじゃない。仕事投げ出して暢気に旅行とはどういった理由かよ」

「ははは。オレが仕事してないって?……冗談も休み休み言えよ」

名波家父改め愁麻しゅうまは綺麗な顔を綺麗に歪めていかにも不愉快そうな表情をした。

これぞ殺気オーラである。そんな愁麻になれない名波家以外の周りは、それでも流石と言えよう、表情をぴくりとも変えない。

「そりゃ、多少は観光旅行とかしたけど。世界のあらゆる人の集まる場所を巡ってきた」

「ほお。例えば?」

「本場ディズニーランドとか。もうほんと凄かった」

「ほとんど遊びじゃねぇか」

にこっと笑顔で見つめてくる我が父はあほなのだろうと思うが――考えを改める事にした。

三代目は食い潰すという言葉があるけれど、その三代目にあたる愁麻は実際よくやっている。

先代よりも規模も二倍以上になり、あらゆるジャンルの娯楽施設を造りあげては全てを成功させてきた。

話術が異常に長けた名波家母改め夕巴ゆうはを右腕に、世界旅行を切り上げたらやり手な若社長とも同盟を結ぶつもりらしい。若社長の名は秋乃あきの。老若男女問わずその人柄の良さに人気のある人である。経営しているのがいわゆるメイドカフェやらホストクラブやらではある為、最初聞いた限りでは反感を買ってしまうようだが。

「まぁ……いいけど」

その若社長との共同作業として新たに娯楽施設を造る為に、というのならば。

仕方ないというものだ。それが仕事なのだから。

そして尚も胸の内にくすぶる不安は何かというと、正体の知れない波乱の予感のせいだと思う。

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