最高の文化祭を☆
『文化祭まであと五日!!』
正面玄関の日捲りカレンダーをビッと花梨はめくる。
――あと、五日な。
この学園の最大三大行事と言えば、体育祭、文化祭、そして男装女装コンテストである。男装女装コンテストは七月の下旬に無事終了。男装の部は副会長麗奈の、女装の部は双子の大勝利で幕を降ろした。
つまり名波家が優勝を総取りしたのである。体育祭は九月の半ばに、こちらも無事終了。
残りの最大行事は文化祭のみ。
「ふぅ……」
大仕事があと一つ。
「……あと、一つだけ」
ここまでが長かった。長かった分、思い入れも沢山ある。
だからこそ悲しいのだ……一つという数字が。
文化祭が終了して調度二週間後、新生徒会決めが始まる。亜美と甘音は来年が高校一年、つまり生徒会に入る権利が与えられるのだ。予定としては同学年の領可と類香も巻き込むらしい。新生徒会メンバーになるべく日々奮闘中である。
――さてと。今日も一日頑張るか。
きゅっ、と口元を結んで、力強く一歩一歩を踏み出して行く。
向かう先は生徒会室。最高の文化祭にするべく、誰よりも男前で誰よりも頼れる――兄貴と慕われる比成学園生徒会長はスカート丈よりも長い黒髪揺らしつつ階段を上って行った。