喧嘩両成敗☆
「あれ琉峡は?」
昼休み、憂麻と琉峡が一緒に居なかった為そう聞いてみると、なんとも珍しい事にサボりだと言うのだ。
雪が降りそうな予感がする。
憂麻の前にとすっと腰を下ろしてじぃー、と見つめる。
「……何だよ」
「お前さ、オレのかわよい弟に手出しただろ」
「出した」
「……ほぉ、随分とはっきり言ってくれるんだな」
「お前には言われたくない」
とたんに憂麻の視線が厳しくなる。それに対抗する如く、滅多に人を睨む事をしない至軟も表情を厳しくする。両者共無駄に端整な顔立ちをしている為か、にらみ合いをしているだけでかなりの迫力があった。クラスメートにとって、迷惑以上に他ならない。その場所だけ近寄りがたい空気が流れていた。
けれどそんな二人に無謀にも近づく人影が一つ。もちろんにらみ合いに忙しい二人は全く気付かない訳だが。そしてその人物は机に飲んでいた缶コーヒーを置き。
「喧嘩両成敗」
ばこんっ!!
右手と左手それぞれに未開封の缶コーヒーを持ち、二人の頭を思い切り――容赦無くぶん殴ったのである。
「「ってー!!」」
「ふん、馬鹿共が」
しかもそうまで言い、鼻まで鳴らした人物は――――
「麻矢!!」
そこにはさけずむ様な表情をした、双子の片割れが居た。