不思議な気持ち 憂麻×琉峡★
「……………………………………」
「……………………………………」
……どうしよう。凄く気まずい……。昨日、あんな事しちゃったから。
琉岐の頭の中に、ふっと昨日のいけないシーンが浮かんでくる。
わぁぁぁああ!!!
凄い事しちゃったよ!!!
どうしよう、お嫁に行けない。じゃなくて、お婿に行けない!!
折角冷静さを取り戻したのもつかの間、すぐに頭の中はぐちゃぐちゃになってしまう。
おっ、落ち着け。大丈夫、きっと大丈…
「なぁ」
「わぁ、な…何?」
大丈夫じゃない…大丈夫って何?なんなの…。
「昨日……ごめん」
「へっ?え、あ、良いよ」
あれ?意外に平気。それに謝られるなんて思ってなかった。思わず良いよって言っちゃったし。
「あ、オレも何か…いろいろ言っちゃったし…。えっと、ごめんなさい」
「ぶっ!」
「ほえっ?」
急に噴出す憂麻。何、オレ何か変な事言った?
「いやぁ、謝られるとは思ってなかった」
「それはオレもだって」
あれ?何か打ち解けてきたし…。不思議とイライラしないし、それに……
「いー…におい…」
石鹸の香りがふわっと憂麻の方からしてくる。多分シャワーでも浴びたんだろう。
それは琉峡もだけれど。
誘われるように憂麻の方に近づくと、ぎゅっと抱きしめられて…。あれれ?オレは何をやってるんだろ…。でも…何か、落ち着く。
その感覚は…
「お兄ちゃんみたい…」
「おいおい、オレは至軟の代わりかよ」
「ううん…違う」
お兄ちゃんみたいって言うのも何か違う。何だか落ち着くけど、心臓が暴れる。胸に甘いような何かが広がっていって、まるでこれは、恋?なのかな…。
そんな事を考えていたら、気付いてしまった。
心臓がうるさいのは、自分だけじゃ無い。
憂麻もだ。何でだろ…。
「もしかしたら、好きなのかも…」
そう呟いたのは、琉岐では無く憂麻。
「オレ、お前が好きみたいだ…」
「うん………え?」
今…何て言ったの?何て…
「好き。お前が好き。今まであたってたのは、自分の気持ちがよく分からなかったから。でも今分かったから、もうあたらない」
うそ…オレが好き?何で?何で?今までいっぱいいじめてきたのに…。オレも、何で憂麻が好きなの?
何で?何で何で何で何で…何…
「ぅ…ぁあぁ…」
「……え?何で泣くんだよ、可愛いけど!」
「分からない。でも…言うなら…」
あえて言うならば、急にこんな感情になった自分が分からないけど、言うならば…。
「嬉しい…から」
多分、いや絶対嬉しいんだ…。
凄く、不思議な気持ち…。