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#5 賢者様(フィレッチェ)はどこへ?

~ルルン~

20代くらいの青年。

イラスト、アニメ、ゲームが趣味。


文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。

小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。

#5 賢者様(フィレッチェ)はどこへ?


ディエルとバーランド、フィアラの3人はベルデの町で起きた

魔物狂暴化事件の調査を行っている頃。

王都の宿で、作戦会議がうまく進められずパーティーを離脱していた

賢者フィレッチェ。

離脱後、彼は国王のところに向かっていた...。


---王宮にて。


「国王陛下、単刀直入申し上げます!彼は勇者さまなどではありません!!」

突然やってきたフィレッチェにそう告げられ、戸惑う国王たち。

皆、何も言えずに困っていた。


「フィ、フィレッチェよ...そなたの申したいことはよくわかる。

確かに彼は、勇者としての知力はないかもしれぬ...」


「ではなぜ!!」

大きな声で叫ぶフィレッチェに圧倒される国王。


すると大臣がやってきて大きな書を広げる。


「フィレッチェ様。自国が魔王に襲われ、大変焦っておられることは

我々も重々承知しております。ですが...」


「私はあのような者とは旅をしたくない!足手まといだ!」

きっぱりと言い張るフィレッチェ。

そのまま帰ろうとするフィレッチェを大臣が止める。


「お待ちくださいフィレッチェ様。実はこの森の奥にはですね、

[知恵の実]と呼ばれるものが存在しておりまして...」


「知恵の実、だと?」


「はい。その昔、この国は聖なる大地と呼ばれておりまして、

その地は神々より与えられし領域として、動物はおろか

我々人類も立ち入ることのできない神聖な土地だったのです。」

大臣の話は続く。


「しかしこの世界に飽きてしまった神は、森の中に知恵の実を置いて

この地を去ったのです。それも結界を張って。」


「森の中の...結界...」


「...この結界を超えることができるのは、神々のように(けが)れのない、

清く美しい生物だけ。その生物こそ、魔物から難を逃れてきた

小人族だったのです。」


「だから...なんだというのだ...」


「まあ落ち着いてください。話はまだ終わっていません。」

ふう、と深く息を吐く大臣。

ここでようやく話が区切れた。


「...要するに、心が清く正しい者は森の結界を超え、

知恵の実を手にすることができる、ということですな、フィレッチェ様。」


ここまで聞いていたフィレッチェは、ひとり考え込む。


「なるほどな...その知恵の実を彼、ディエルに与えれば

彼は本物の勇者になる、と...」

そうですそうです、と頷く大臣。


「しかし小人族は警戒心が強い。」

話を聞いていた国王がそう伝える。


「昔、その知恵の実を奪おうとした愚かな人間どものせいで

随分と人間を怖がっているからのう...」

参った、と言わんばかりに顔をしかめる。


「おっしゃる通りです。...ですがそのあと、

彼らは人間を善人か悪人かを見極めるすべを身につけたとのことですぞ。」

きっと知恵の実のおかげだろう。


「ならば話は早い。フィレッチェよ!ディエルに知恵の実を与えるため

迷子の森に向かうのだ!」


---そんなわけで迷子の森にやってきた賢者フィレッチェ。


「ここは...」


そう、はじめてディエルを見つけたあの場所だ。


「...この森に入って出られるとは...。やはり彼は...」

そんなひとりごとを言いながら森へと入っていく。


---カサカサ...


誰もいない、薄暗い森の中にひとり進んでいく。

すると...


[カサカサ...]


自分の足音以外の音が聞こえた。すかさず、


「お、おーい...小人さんよー...」


と声をかける。

するとカサカサ、と草むらの中からスライムに乗った小人がいた。


「ま、また人間さん...?」

また、ということはやっぱり...

と、すぐに理解する賢者フィレッチェ。


「驚かせてすまない。私は賢者フィレッチェ。君たちと戦う気は一切ない。」

頭を下げ、丁寧に挨拶するフィレッチェ。


「ふんふん...確かに悪いにおいはしないよ...」

もう一人の小人がフィレッチェに近づく。


「あ、危ないよ?!君の鑑定はまだ未熟なんだから...!」

別の小人がフィレッチェに近づいた小人に注意する。


「鑑定...君たち、鑑定が使えるのかい?」

フィレッチェが興味を持って聞いている。


「そうだね。一度、人間さんに襲われかけたからね。

自分の身(実)は自分で守らないと...」


「大臣の話は本当だったようだな...」

ひとりごとを呟くフィレッチェ。

...?、と顔を見合わせている小人たち。


「ああ、すまない。

突然だが、君たちの長に会わせてほしい。」


ふむむ、と悩んでいる小人たちだったが、


「みんな聞いて!この人間からは大きな魔力を感じるよ!

その魔力からは汚れも邪心も感じない!」


なるほど、と納得した小人たちは、

フィレッチェを小人の長のところへ案内した。


---


「こ、これは...」


案内されたところへやって来ると、まるで絵本にある国のような

大きな地下帝国が広がっていた。


「お疲れ様です!フィレッチェ様!あなたの汚れなき心は

証明されましたのでここを通ることができます!」

門番らしき小人がビシッと伝え、入り口の門を通る。


...気がつけばフィレッチェの大きさは、小人たちと同じくらいになっていた。


「なんなんだ、これは...」

人類よりも遥かに高度な文明。

すべて知恵の実の効果なのか...


---


町で一番奥にやってきた。どうやらこの壁の奥が長の住む場所のようだ。


ゴゴゴゴゴ...


「ファンダー様、お客様です。」

ファンダー様...?


「はじめてまして。私は人間の国から参りました

賢者フィレッチェと申します。」

丁寧に挨拶するフィレッチェ。


「ふぉっふぉっふぉ。

そんなかしこまる必要はない。フィレッチェ殿、よくぞいらした。」


大きな椅子に座っていたのはこの町の長、ファンダー。

とても優しそうだ。


「...さっそくですが、私は...」

いきなり本題に入ろうとするフィレッチェ。するとファンダーが


「待て待て。お主、少しは落ち着いたらどうなのじゃ。」

そう言って蜂蜜紅茶をフィレッチェに渡す。


「...自国が魔王に襲われ、焦っているのが分かる。

しかしそういうときほど落ち着いて、物事を進めることじゃな。」


「は、はい...」

さっき会ったばかりなのに、そこまで汲み取られるとは...

知恵の実の効果は想像以上のようである。。。


「...して、改めて聞こう。そなたの目的はこれじゃろう?」

そう言ってファンダーの後ろの戸が開き、中から大きな木が見えた。


「ど、どうして...」


「ふぉっふぉっふぉ。まあ驚くのも無理はない。

まだ何も伝えとらんものな。」

どうやらファンダーは相手の思考を読み取る力を持つようだ。


「わしは小人族の中でも特別じゃからな。

知恵の実を最初に食したのもわしじゃ。」


なるほど...だから長なのか...


「神より与えられし知力...それは、人間族を遥かに上回る...」

そう言ってファンダーは木の前に進み、


「そなたにはこれから、知恵の実を受け取る資格があるかどうかを

見極めさせてもらう!」

フィレッチェのほうを見ている。


「な、なに...

ここに入る前、潔白だと証明されたではないか。」

驚いてそう言い返すフィレッチェ。


「知恵の実は神の実。どんなに潔白な者でも

それを手にする資格があるかどうかはまた別の話じゃ。」


「...わかり、ました...」


そう言ってファンダーのいる木の前に進むフィレッチェ。

果たしてフィレッチェは無事に知恵の実を手にすることはできるのであろうか...


続く...


はじめまして、ルルンです。


クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。

気軽に反応を頂けると嬉しいです。


少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、

どうかよろしくお願いいたします!

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