#50 勇者逃走?!
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#50 勇者逃走?!
魔王討伐後、異世界に飛ばされて
カレー屋に住み込みで働くことになった5人。
8月。終業式の日に出会った謎の少女、風野優衣奈を新入りに迎えたカレー屋は
夏色に染まっていく。
学校は夏休み期間。いつも以上に学生たちで賑わっている。
そして今さらだが、今まで住んでいたホープヒルズ王国には
季節という概念がなかったので夏というのもはじめてなのである。
連日30度を超えるほど暑い。
けれどクーラーとかいう部屋を冷やしてくれる魔道具によって
部屋は、店は、驚くほど快適だった。
------------------------------------
「おはようございます...」
朝。
私と楓はここに住んでいるので
店長と共に準備をしていると、真乃が最初にお店にやってくる。
「おう、おはよう!...さて、そろそろ準備はじめるか。」
そうして店長と楓が店を開ける準備をしていると...
「お、おはようござい、まーす!!」
「あ、来た来た。」
この間(勝手に)採用された優衣奈がやってくる。
「...って、あれ。今日もこの4人かい!」
優衣奈がここで働くようになってから数日経つが、
この時間ここにいるのは私たちしかいない。
「バーランドとリアンはもうすぐくるでしょ....」
なんて言っていると...
「みんなおっはようー!」「おはよう、ございます....!」
すぐにバーランドとリアンがやってきた。
そしてバーランドは優衣奈を見て言う。
「あ...あれ?そっか、あなたも来てたのね!」
「いや、もう何日目だと思ってんのよ...」
私は早速ツッコミを入れる。
「それと私の名前は風野優衣奈だからね?!」
優衣奈も負けじと答える。
「はいはい、みんなそろそろ開店準備するよー...。」
楓は店長の手伝いをしながらみんなに言う。
こうして私たちのカレー屋生活がはじまった。
--------------------------------------
「いらっしゃいませ。空いている席へどうぞ。」
まず楓が入り口でお客さんの人数を数え席に案内する。
「はい、チキンカレーの2辛ですね。少々お待ちください。」
真乃がお客さんから注文を受けると
優衣奈とバーランドが交代でお客さんのところに運んでいく。
「お、お待たせしました...!チキンカレーの2辛、です...!」
そして私はリアンと一緒に空いた席の片付けをしたり
状況を見ながらレジの手伝いなどに回ったりする...
夏休み期間ということと、少女たちが働くカレー屋として
男性客を中心に話題になっていたことで
真夏にも関わらずたくさんのお客さんがやってくる。
そのためこんなに効率よくまわしても大忙しなのであった。
...そしてその噂を聞きつけてやってきた男性客2名が来店する。
「うわ、本当だ。めっちゃ女の子ばっかり働いてるぜ...」
「似合わなねー!こんなダサいところやめてカフェとか行けばいいのに!」
すると...
「お客様。今このカレー屋のことをダサいと申しましたかぁ....?」
2人の会話をしっかり聞いていた楓。
笑顔だけどオーラが怖い。
「ひぃっ!い、いえいえとんでもない...こ、ここはとーっても素敵な
カレー屋ですねえ...!アハハ、ハハ、ハハ....!」
楓の圧で男性客は怯えていた。
「いやぁ、さすが楓!」
バーランドは今の対応に感心している。
「うむ。」
そしていつのまにか
私の隣にフィレッチェもいた。
「って、フィレッチェ。あなたもいたのなら手伝いなさいよ...」
私は思わず呟く。するとこう返ってくるのであった。
「フィアラよ。忘れたのか?ここには野放しにすると厄介な奴がいる。
だからそいつを食い止めるために仕方なーくゲームをしているんじゃないか!」
「あっそ...」
「なんだねその態度は?!」
フィレッチェがふてくされていた。
...などと話をしていると、
「ねえ!ちょっと!ここの席片付いてないんだけど!」
優衣奈に呼ばれた。
私はフィレッチェを無視して仕事に戻る。
そしてフィレッチェもまた2階へと戻っていった。
---
「...まったく。どうして異世界に来てまで働かなきゃいけないのだね。」
2階へと戻ったフィレッチェ。
ところが...
「...おや、ディエル?」
いつもならこの部屋にいるはずのディエルが今日はいない。
部屋を見回してみると、窓ガラスが割れ、風でカーテンだけが
大きく揺らいでいた。
「チッ....」
小さく舌打ちすると窓の外を眺めて周囲を確認する。
そうして階段を降り下の階へと向かうのであった。
----------
「ありがとうございました...!」
リアンが昼間最後のお客さんを見送る。
「ふーっ。やーっとひと段落ついたー...」
バーランドもヘトヘトだ。
...そんなとき、フィレッチェが2階から
急いだ様子で降りてきた。
「...あれ。どうしたんです、フィレッチェさ...」
リアンがフィレッチェに話そうとするが、無視して外に向かう。
私はそれを黙って見てられなかった。
「ちょっとちょっと。何リアンのこと無視してんのよ...?」
私はフィレッチェを止めるために立ちふさがる。
「なんだね、フィアラ。悪いが今急いでいるんだ。
話なら後にしてくれないか。」
そう言って私のことを振り払って外へと向かっていく。
それなら...
「...そういえばフィレッチェ。
さっき2階の部屋の窓が割れてるのを見たんだけど...。」
私が言うと、ピタッと足を止めるフィレッチェ。
「はあ...やっぱり....ディエルは逃走したのね...」
その言葉に動揺を隠しきれないみんな。
「って、はあ?!アイツってばまた余計なことをしたのー!?」
優衣奈はまるで、
何度もアイツ(ディエル)に迷惑をかけられていたかのように叫ぶ。
「そういうことだ。すぐに行ってくる。」
フィレッチェは止めた足を再び走らせる。
そして私もその後を追うのであった...。
-------------------------------------------------------
「ん?なんだこれ。とりゃっ!!」
一方、逃走したディエルはゴミ箱を蹴散らしたり車を吹き飛ばしたりしながら
町を歩いていた。
「ハハハ、すげえやこれ!!ゲームより面白いな!!」
ドガゴーン!!
停めてある車を次から次へと吹き飛ばしていく。
「あわわわわ....」
町の人々は怯え、青ざめている様子。
すると...
ウウー....
「えーこちら新京市、交差点付近。
町で乗用車が投げ飛ばされる事件が発生。応援求む。」
見回りをしていた警察官に見つかる。
そして警戒しながらパトカーはディエルに近づく。
ウウー....
「そこの君!一体何をしている!」
「ん?俺のことか?俺は今...」
などと話をしていると、横からフィレッチェとフィアラが飛び掛かってきた。
「って!!何するんだよ!!」
「抵抗しないで!ほら、さっさと戻るわよ!」
警察は何が何だかわかっていない様子。
「こ、これは...どうしたものか...」
「よし、一旦署に連れて行こう。」
こうして警察にまで目をつけられたディエル。果たしてどうなってしまうのか...
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、
どうかよろしくお願いいたします!




