#42 カレー屋のおじさん
~おとめtheルル~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#42 カレー屋のおじさん
魔王討伐後、謎のゲート調査として東大陸にある港町リコルドにやってきた
ディエルたち一行。
そこで(勝手に)ゲートに入ったディエルを追って異世界に突入した一行は、
異世界側でゲートが閉じて帰れなくなってしまう。
仕方がないのでこの世界を調査しようとするフィアラたちだったが
はじめてだらけのことに戸惑っているうちにお腹が空き、
いつしか匂いに誘われカレー屋へと足を運んで行ったのであった...。
「...はい、ではご注文がお決まりでしたらもう一度お呼びくださいね。」
ナン、のくだりをした店員さんはそう言って厨房のほうに帰っていく。
「...それにしてもすごく綺麗な店ね...」
フィアラは店内を見回してそう言う。
「あっ!これがメニュー?見して見して!」
ディエルがメニューをひとり占めしていたので
ようやくメニューにたどりつけるバーランド。
「うむ...一体どこからこのBGMは聞こえてくるというのだ?」
フィレッチェはやはり不思議そうに店内を見回し、
「なんだかとても心地いいです、ね、zzzz」
リアンは再び店内で眠ってしまうのであった。
するとディエルは水を飲み干してから言う。
「なあなあ。このかれー、ってのはなんなんだ?」
どうもホープヒルズ王国にカレーはないらしい。
「...あっ、そういえばあのタイゾウってやつもなんか言ってたわね!
えっと、確かチョコを入れれば美味しくなるとかなんとか...」
「よく覚えてるわね...」
「だってとても面白かったんだもの!!」
バーランドの話は盛り上がりを見せる。
「うむ。それで、そのカレー、とやらはもう頼んだのか?」
「あ、そうだったわね。すみません、カレーください。」
フィレッチェの一言で思い出したように注文するフィアラ。しかし...
「はい、ご注文はどちらになさいますか。」
「カレーを5人前ください。」
「...はい、ですからどのカレーをご注文で...」
「えっ?カレーっていろいろ種類があったのですか?!」
「うちはカレー屋ですからね...」
価値観の違いで注文は難航するのであった...。
「...わかりました、ただ今パパ...っ!...て、店長をお呼びしますね...!!」
パパ、と呼んだのがよっぽど恥ずかしかったのか、
慌てて厨房のほうに戻って行った。
そして厨房での会話は丸聞こえである。
「何?カレーのことを何も知らないお客が来ただって?
ハハハ、まったくしょうがないなあ。ちょうど今は他にお客はいないみたいだし
行ってみるかぁ!」
...ということで店員さん(娘)と店長(父)が戻ってくる。
「どうも、どうも。私この店の店長やってます
奥野元治と申します。」
そう言って元治は頭を下げる。
「あ、あの...そういうのいいんで早くカレーを...」
「お客様。わかってないですねぇ。カレーっていうのはですねぇ、
使うスパイスの種類によって...」
「違うでしょ、パパ。」
「おっと、これはこれは失礼。
...で、一体どのようなご用件で...?」
「いや、この人たちにおススメのカレーでも教えてあげて。」
「なんだ、そういうことでしたか。
でしたらこちらの本場インドカレー3辛、もしくは辛めでも食べやすい
キーマカレー4辛がおススメでございます。」
親子で勝手に話が進み、ディエルたちが入る余地などまったくないのであった。
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「かしこまりました、少々お待ちくださいませ。」
結局おススメの
本場インドカレー(3辛)を頼むことになった。
「ああ...お腹減ったよーーっ!!」
注文の難航でなかなかカレーを食べられないバーランドは子供みたいに暴れる。
「おい、はしたないぞバーランドよ。」
そしてそれを冷静に注意するフィレッチェ。
するとそのとき、リアンが再び目を覚ます。
「んわーーーっ...あっ...私、また眠っちゃってました?!」
「大丈夫よリアン。もうすぐカレーが食べられるから...」
「か、かれー...?」
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「はい、お待たせしました。本場インドカレーです。」
そうして次々とカレーが運ばれてくる。
「ナンのほうはおかわり自由となっておりますので
そのときはまたお呼びください。それでは。」
「おおーっ!!?」
運ばれてきたカレーを真っ先に食らいつくディエル。
ズガガガガ!!
「いや、どんな食べ方してんのよっ!!」
お腹が空いてカレーを食べようとしているバーランドにツッコまれる。
「ほう、これがカレーとやらか。さっそく頂くとしよう。」
そうしてフィレッチェも一口カレーをすくって食べてみるが...
「なんだと?!見た目より辛いではないか!!」
辛いのが苦手なフィレッチェには3辛でも辛かった。すると...
「カレーはかれー、ってか?ブハハハハハハハハ!!」
ディエルの(くだらない)一言に凍り付く空気。
それはある意味氷魔法より寒かった。
「ちょっとやめてディエル。カレーが冷めちゃう。」
「そうだそうだ!!」
フィアラとバーランドはカレーの心配をする。
一方リアンは...
「あむあむ...あっ!!なるほど!!このカレー、とーってもかれーですね!!
ナンちゃって...」
まさかここにも裏切り者がいたとは...
意外な裏切り者に、ディエル以外凍ってしまうカレー屋さんなのであった...。
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「ふう、食った食った!」
食べ終えて満足そうにするディエル。
「さて、そろそろ行くとするか...」
フィレッチェも立ち上がり、動こうとする。
「いや、待って待って待って。行くっていったって
これから先行くあてとかあるの?!」
バーランドはいつになく真剣に止める。
「そうね...ゲートがない以上、帰って伝えることもできないし...」
フィアラも困っていると、店長の元治が話しかけてくる。
「はっはっは。すまないすまない、話は聞かせてもらったよ。
行くあてがないのならうちで働きながら暮らすのはどうだ?!」
「あ、いえ、大丈夫です。ごちそうさまでした。」
「ちょっと!!行かないで!!」
コントのように店を出て行こうとするフィアラを懸命に止める店長。
「...なんてね。冗談よ、冗談冗談。実際、これから行くあてもないわけだし、
しばらくここで情報収集するのも悪くないわね...みんなもそれでいい?」
「了解っ!!」「うん、分かったわ。」「いいだろう。」「んー...?」
こうしてみんな(ディエル以外)の了承も得て
カレー屋で働きながら暮らすことになったディエルたち。
果たして無事に元の世界に帰り、情報を報告することはできるのであろうか...
続く...
はじめまして、おとめtheルルです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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