#2 迷子の森
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#2 迷子の森
ホープヒルズ王国の隣国、フィレマミア王国で魔王が誕生した。
ホープヒルズ王国では、姉妹国であるフィレマミア王国を救うため、
勇者選抜試練を執り行う。
そこでの試練を合格し、勇者となったディエルだったが
王の命令も聞かずひとりで旅に出てしまう。
そしてその先、深く覆われた森に足を踏み入れた彼は、迷子になっていた...。
「...んんー?こっちのほうが魔王のところまで近道だと思ったのに...」
進んでいくごとに薄暗くなる森。
気がつけば、自分の居場所さえ分からなくなっていた。
鳥と風の音だけが聞こえる。
すると...
[カサカサ...]
「なんだ、魔物か?!」
何かが潜んでいる音がする。
すぐに俺は持っていた剣を構えた。
[カサカサ、カサカサ...]
動く音はどんどん増えていく。
戦闘態勢で敵の様子を伺っていると、
[ぽよん...]
何かが転ぶ音がした。
思い切ってそちらの草むらを除いてみると、
そこにはこの世界最弱の魔物、ミドリスライムがいた。
「なんだスライムか。」
...しかしよく見ると、その上に何やら小人が乗っかっていた。
「に、人間だ!!逃げろ!!」
そうしてスライムと一緒に逃げ出してしまう。
「ま、待って待って待って。そこで何してるの?」
たくさんのスライムと小人が逃げ惑う中、ひとりの小人は
恐る恐る俺の話に応じる。
「...この人間、悪いにおいがしない...」
「そうか?昨日シャンプーも石鹸も変えたからな!」
「そういう意味じゃない...。」
ちゃんとツッこまれた。
「あの、人間さん...僕たちをいじめてお宝を盗んだりしない?」
お宝、という言葉には反応したが、このようなか弱い生き物たちを
殲滅してまで奪いたいとは思わない。でも...
「お宝...?」
やっぱり反応してしまった。
「ひゃっ、やっぱり悪い人間なの?!」
みんな怯えている。
「だ、だ、大丈夫大丈夫。お宝なんてそんなそんな...
奪ったりはしないから...ね、多分絶対...。」
とてもにやけながらそう言っていた。
「...この人間、もしかして頭悪い?」
「なっ...」
ストレートに突き刺さる小人からの言葉。
しゃがんでいた俺は尻餅をついてしまった。
「やったやった、倒した倒したー。」
小人たちはそう言って喜んでいる。
「ってことはただの迷子かー。」
小人のひとりがそう言い出す。
「あれー。どうしてだろう。ちゃんと、入り口に、
"ここに来た者は必ず迷子になる、立ち入るべからず"って書いたのにー。」
...そんなものは見ていない。
※ちゃんと看板はありました。
「以前人間さんが襲ってきたときにー、
この森では結界によってー、
僕たち以外は一生出られなくなる、って伝えたのにー。」
い、一生出られなくなる...?!
ならば一体...
「どうしてそんなことを...!?」
「お宝を守るために決まっているじゃーん。やっぱりこの人頭悪い?」
「うがっ...!!」
バタン...
倒れこんだ俺は、気絶した...。
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「勇者様、勇者様...!!」
気がつくと目の前には日が傾きかけた空と、賢者らしき男がいた。
「勇者様、こんなところで一体何をなさっていたのですか!!」
目が覚めたばかりなのにこっぴどくしかられる。
「ちょっとアンタ、何勝手にひとりで旅に出てるのよ!」
頑丈そうな鎧を身につけた女戦士にもしかられる。
「...はぁ、まったく...あなたは勇者様という自覚はあるのですか?!」
そして最後に魔法使いって感じの杖とローブをまとった女性にもしかられる。
「な、なんでそんなに怒ってるの...」
「はぁ?!!」
何気なく言ったその一言で、俺はさらにキレられた。
...3人に連れられ、強制的に王都へ帰還する。
「お帰りなさいませ、勇者様御一行!」
門番が挨拶する。
しかし俺以外のみんなはピリピリしていた。
「...?」
---そのまま冒険者ギルドに連れ戻される。
夜。
ギルドに併設された酒場に入って、4人は話し合う。
ガタン!
「私はだなあ、勇者様にはとても期待していていた!!」
酒を飲みながら大声で話す賢者。
「我がフィレマミア王国の姉妹国、ホープヒルズ王国に現れた若き勇者...!
彼ならば魔王を討伐し、世界を平和へと導いてくれるだろうと信じていた...!」
グビグビ、と酒を飲む手が止まらない。
「まあまあ、フィレッチェ...
私たちはまだそこまでたどり着いたわけでもありませんし...」
魔法使いの彼女が落ち着かせようとする。
「でもー...むしゃむしゃ...確かに世界を救う勇者様がー....モグモグ...
こんなんだったらー...はむはむはむ...」
食べながら話す女戦士。
「バーランドは食べてから喋りなさい!」
魔法使いの彼女は冷静だった。
「...ところで勇者さま。名前は何というのですか。」
魔法使いの彼女に問われる。
ここに来てようやく自己紹介のターンになった。
ここはみんなを盛り上げるべく...
「ふっふっふ。俺様は勇者ディエル。勇者と名乗り、実際は
この国の秘密を盗み出すスパイとして...」
---ドッカーン!!!---
---バキバキバキ!!---
---ちゅどーーん!!---
突然猛攻を受けた。
「待った待った待った!嘘だよ噓、やめてくれ...!イテテ...」
ぷしゅぅ...
「なんなんだ、こいつ...あれだけの攻撃を受けてほぼ無傷、だと...?」
賢者フィレッチェは驚いている。
「あのー、お客様...?」
すると近くにいた他の客、バニーガールとバーテンダーたちに睨まれる。
「王都内での中級魔法は禁止です。
...ということで修繕費は自腹でお願いしますね、勇者さま方...?」
笑顔で話すバニーガールだが、目は笑っていない。
...俺の周りの床や天井は大破し、机や椅子が散らばっていた。
「は、はいー!すみませんでしたー!」
こうしてバーを追い出された俺たち。
王都にある宿屋へ向かい、このまま休むことになった。
果たして、この勇者パーティーたちは、無事に魔王を討伐し
世界を救うことができるのだろうか...
続く...
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、
どうかよろしくお願いいたします!