#28 ドラゴンの正体
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#28 ドラゴンの正体
フィレマミア王国の王都でダークネスウィング率いる
魔王軍の群れに襲われたフィアラたち。
エルフ族と妖精族による魔法薬とロンドたちのおかげで
ダークネスウィング率いる群れを討伐し、
吸収されていたフィレッチェを解放することに成功する。
しかし翌日、今度は町にダークネスドラゴンが出現していた...
「うはは、すげー、すげー!本当にこんなことでカネをくれるのか?」
...すると戦っているダークネスドラゴンから聞き覚えのある声がした。
「待つんだ、皆!」
その声に気づいたフィレッチェが、ドラゴンを攻撃する兵士たちを止める。
「フィ、フィレッチェ様...一体なぜ...」
するとフィアラも兵士たちに攻撃を止めるよう、手で合図する。
「わ、わかり、ました...」
そうして戦っていた兵士たちは皆、
フィレッチェやフィアラたちに入れ替わった。
「ううん?エビフィレオフィッシュバーガーじゃないか!」
とうとう全部混ぜてきた。
「お前...ここで何をしている!!」
「え?依頼だ依頼。なんかよくわからないけど、この姿で町を襲えば...」
「いい加減にして!!」
フィアラの怒りで攻撃魔法がドラゴン(状態のディエル)に当たる。
「いってー!なんでだよ!勇者終わったけど仲間だろ?!」
そうしてドラゴン状態のディエルは大きく息を吐くと、そこらじゅう一帯が
焼けてしまうほどの大きな炎に飲まれてしまった。
「ちょっと熱いんですけど!!」
バーランドも思わず叫ぶ。
「そうだ、俺、町に入れば報酬がもっと増え...」
そう言っている最中、フィアラが氷魔法で足止めする。
「本当にダメ!!これ以上進むなら、もう容赦はしないわ...!」
「思い出してよ、勇者さま...!あなたは世界を救うという役目が...」
「あれ、お前誰だっけ。」
リアンのことを忘れていちばん怒っていたのはそう、フィアラだった。
ドゴーーーン!!
上級の魔法を容赦なく突きつける。
「あがっ、いってー!」
「フィレッチェ。コイツはもうダメよ、やってしまいましょう。」
「了解だ。」
そうして大きく宙に舞い上がるフィレッチェ。
ドラゴン目がけて風魔法をお見舞いする。
「風よ、すべてを切り裂け...クーペ・ベントフォルテ!!」
ジュゴゴーッ!!
その魔法はドラゴンの鱗を切り裂いてゆく。
「あがーっ、やめろやめろやめろ!!」
負けじとドラゴンのほうも炎を吐き散らす。
ゴォォォォ!!
「ファストランナー!」
「ブリュー・フドゥル」
ギラーン!!
フィアラは素早さを上げる魔法を、フィレッチェは攻撃力を上げる魔法を
それぞれかける。本気でやりにいく気だ。
「や、やめてくださいっ!!」
すると突然、大声で叫ぶリアン。
その声にフィアラもディエルもフィレッチェも、同時にリアンのほうを見た。
「確かに今のは勇者さまが悪いです...けど、勇者さまが世界を救わなければ
誰が世界を救ってくれるというのですか...!!」
隣にいたバーランドが続ける。
「...みんなをメチャクチャに苦しめ、世界を裏切った最っ低勇者...
どんなに裏切られたって今、世界を救えるのはアンタしかいないのよっ!!!」
するとこのタイミングでフィレッチェは
知恵の実の粉をドラゴンの口めがけて投げ込んだ。
「フィレッチェ?!」
するとドラゴンの(元)勇者は回り、苦しみはじめた。
「うがああああっ!!」
そして眩い光が解き放たれたと思うと、ドラゴンの姿はなく、ディエルの姿に
なっていた。
「....ディエル...?」
目覚めたディエルは、突然持っていた金貨を投げ捨てると、
みんなのほうを見てこういうのであった。
「皆さん...僕のことを諦めず、勇者としての正しい力を思い出させていただき
本当にありがとうございます...!」
「だ、誰...これ...」
綺麗すぎるディエルは、今までのディエルから想像できないほど
変わっていた。
そうしていきなり土下座する。
「申し訳ございません!私の今までのご無礼、
どうかお許しください...!」
これを見たフィアラが言う。
「...ちゃんと過去のことを無礼だったって分かってるのね、
ならこの世界を救って今までの汚名返上しなさい...!」
今までのディエルと同じように命令口調なフィアラと
それをちゃんと聞き入れて共に行動する不自然ディエルに
若干引いているリアン、フィレッチェ、バーランドの3人であった...
「知恵の実の力が...ここまでのものだったとは...」
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「お帰り、フィアラ。ドラゴンの退治は...」
家に戻ると、ロンドの知らない仲間も一緒に戻ってきた。
「はじめまして、ロンドさん。私はホープヒルズ王国から参りました
ディエルと申します。」
「お、おう...よろしく...」
丁寧な挨拶に若干戸惑うロンド兄。
「お帰りー!ドラゴン退治どうなった?」
相変わらずタギョルの青年が話しかけてくる。
「...?新たな人か?」
「はじめまして、ディエルです。」
笑顔でタギョルの青年のほうを見て挨拶する。
「...ま、まあこりゃあどうも。」
そうして頭を下げるタギョルの青年。
「いろいろ気になることがあるので、
また話を聞かせてもらってもいい...かな?」
フィアラたちを中に入れて、話し合いが行われる。
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「...ドラゴンの正体は勇者?!!」
あまりの驚きように、目が点になるロンド。
「すみません...過去の私がやらかしてしまったみたいで...」
「あ、そっか、えーっとあなたは勇者さまで...」
目が点になったまま、フィアラと勇者を交互に見つめる。
「まあ無理もないだろう。知恵の実を飲ませた私でさえ
戸惑っているのだから...」
「でもほんと、よくあの状況で知恵の実を飲ませようと思ったわねぇー。。。」
バーランドがフィレッチェに言う。
「見えなかったのかい、バーランド。わずか一瞬だが、
彼の心は動揺していたよ...?君たちの言葉にね...」
えっ、と驚くバーランド。
「だからこのタイミングなら効果が現れやすいと思って反射的に投げたのだが...
まさかここまでとは思わなかったなあ...!」
そうしてなんだか嬉しそうに話すフィレッチェに、楽しそうに聞き入る
みんななのであった...
続く...
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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