#22 ロンド兄さん
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#22 ロンド兄さん
コールの村を救い、次の町を目指そうとするフィアラたちだったが、
ライトニーから勇者さまがさらわれていることを知らされる。
手がかりとしてエビフィレオ、という言葉から
ディエルがフィレッチェに会ったであろう森へと向かったフィアラ一行。
しかしそこで魔王軍第一補佐官であるダークネスウィングの強烈な攻撃に
耐えられず魔王城まで運ばれてしまう。
...そして、魔王直々に軍の手下として働くよう促されるが、それを拒否して
魔王の攻撃を受けようとしたそのとき、その魔法を跳ね返す
勇敢な男が立っていた...
「なんだ、貴様は...」
するとサッと大きく剣を振ると、見事にフィアラたちを縛っていた
縄だけを切り裂く。
「おい、何なんだと聞いているだろうが!!」
そう言って彼に魔法を投げつける魔王。
しかし剣で魔法を返すと、今度は彼が魔法を唱えた。
「空気よ、我々の姿を消したまえ...トラスパレンテ!」
その瞬間、眩い風が吹いたかと思うと、唱えた彼とフィアラたちの姿は
見えなくなっていた。
「くそ...逃げやがって...」
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魔王の城を出ると、すぐに透明魔法の効果が切れた。
そして今度は回復のツボを取り出す。
「...回復魔法は無理なんだ。魔王の攻撃を受けたと思うからさ、
よかったらこれで回復してよ。」
みんなそれぞれ、回復のツボに手を入れる。
すると、さっきまでの怪我や疲れが回復し、みんな元気になった。
「...ありがとう、突然現れた謎の救世主さん!!」
バーランドがそう言う。
「ハハハ、自己紹介がまだだったね。僕は魔法戦士ロンド。そして...」
するといきなりフィアラがロンドに抱き着いてきた。
「おおっとっと。...そして見て分かる通り、
僕はフィアラの兄でもあるのさ。」
「フィアラのお兄さん...!いいなぁ、私も兄弟とか欲しかったです...」
そう言ってとても目を輝かせて見ているリアン。
「...それはそうと、なぜ当初のメンバーと違うことになっているのかな?」
...?と首をかしげるみんな。
「ああ、ごめんごめん。僕はこの魔王城に国の調査隊として
この城の様子をうかがっていたんだ。」
話を続ける。
「すると隣の国から勇者さまとフィレッチェ様、バーランドさんとそっちに
向かう、ってフィアラから連絡があってね。
それでずっとこの城を調査しながら待っていたんだけど...」
そうして3人のほうを見る。
「フィアラ、バーランドさんは確かにいる。しかし勇者さまとフィレッチェ様が
いなくて彼女がいるというのは一体どういうことか...」
慌ててリアンが自己紹介する。
「あ、あの、ごめんなさいっ!私はリアン、です...えっと、フィアラの友達で、
一緒に、旅を、したくて、ついてきてしまい、ました...」
あまりのたどたどしさにこう伝えるロンド。
「大丈夫だよ、そんな気にしなくて。君は見た感じ武闘家だろ?だったらもっと
気持ちも強くあるべきだよ。」
そう言われ、黙り込んでしまうリアン。
ロンドはそれを優しく撫でた。
「...さて、困ったものだな。もっとちゃんとした方法でやって来るとばかり
思っていたから、まだちゃんと準備は整っていない...」
回復のツボを片付けながら呟く。
「...そうだ、いろいろ話が聞きたいからさ、一旦王都まで来てくれないか?」
そう言われ、えっ、となるバーランド。
「い、今から王都...?ってか、ここはどこだっけ!?」
そうして周りを見渡すと、広い平原と薄暗い雲に覆われたホープヒルズ王国...
ではなく魔王軍の本拠地があるフィレマミア王国だった...。
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一方、勇者さまは、ホープヒルズの王都に向かって森を進んでいた。
「...あれ?ぜーんぶ倒れてるや!」
そこは、フィアラたちがダークネスウィングにさらわれた場所で、
木々はメチャクチャに倒れ、崖までが崩れているような状態だった。
「ま、いいや。王都、王都ー!」
すると近くに誰かいる気配がした。
「あ、あなたが勇者さまなの?」
「...?」
振り返ると、そこにはそう、妖精さんがいた。
「...おっす!まだいたのか!」
するとほかの妖精たちが集まってきて
ライトニーを抱えた妖精が中央に現れた。
「...ライトニーの言う通りだわ...彼からは、金目の匂いしかしない...」
そう呟くのは、ライトニーたちの母、シャイニープリンセスだった。
「くんくんくん...金目の匂いってどんな匂いなんだ?」
やれやれ、と言わんばかりにため息をつく。
「...まあ特に驚きもしません。これだけ金に目をくらませた男が
世界を売るなんて、当たり前のことかもしれませんからね...」
すると今度はライトニーのほうを見て言う。
「あれ?なんでそいつは倒れてるんだ?死んだのか?」
「な、なんて失礼なことを...!」
そう言ってディエルから遠さがるシャイニープリンセス。
「さ、さっさと行きなさい!!もうアンタなんかとは
二度と会いたくないわ!!」
「おう!またな!」
そうしてまたしても自分が嫌われたことすら知らず、
王都を目指していくディエル。
「...フンッ!」
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その頃、フィアラたちはフィレマミア王国の王都にやってきていた。
「...うわあ、すごい、はじめて来たー!」
テンションが上がっているのはバーランドだけで、
町の様子はとても静かだった。
「...よくこの状況でテンションが上がりますね...
この国はもうずっとこの状態。
人々も元気がなく、ずっと働かされ続けています...」
「魔王も言ってた...もはや世界は我が魔王軍の手の中にある、って...」
フィアラがボソッと呟く。
「...ああ、テンション下げて悪かったね。
それでさ、ほら。ここが僕のいる冒険者の家さ。」
そうして町の一角にある2階建ての家を指す。
「多分中には僕の冒険者仲間がいると思うけど...気にしないでくれよな。」
---ガチャ
「...なんだロンドか。もう見回り終わった...ってええ?!女だと?!」
中にいたロンドの冒険者仲間が一斉に声をかける。
「よう!君が噂の妹かい?可愛いねえ、ちょっとその帽子を...」
「タギョル。」
ギュン...
「...ああ、すまない。最近こんな感じで魔王城の調査隊には
戦士や傭兵など、男ばかりでね...つい話しかけたくなったんだろう...」
「%#`*@&"#?!」
そんな彼らをすり抜け、2階に上がらせてもらった。
ガチャ...
「この部屋なら大丈夫。好きに使ってくれて構わない。落ち着いたらあとで、
彼らのいる下で話をしてほしいのだが...」
「わかったわ、兄さん。ありがとう。」
こうして一旦、
兄ロンドのいる家をここの拠点にすることができたフィアラたち。
果たしてこの先どうなってしまうのか...
続く...
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
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