#21 勇者と魔王
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#21 勇者と魔王
これは、ダークネスウィングにさらわれてすぐのディエル側の話。
みんな(2人)が廃坑探索に行っている頃、ディエルはダークネスウィングに
連れ去られていた。
ヒュゥゥゥ...
空を飛ぶ中、ディエルが話しかける。
「なあ、フィレオバーガー。なんで俺、空飛んでんだ?」
ダークネスウィング状態と、ダークネス・フィレッチェ状態を
使い分けていることを知らないディエル。
「...それはだなぁ...貴様を魔王様のところまで連れていくためだ!!」
そう言って急降下するダークネスウィング。
「う、うわぁぁぁぁ!!」
---ドズン!!
「いっ、痛たたた...」
連れ去られ、急に放り出されたと思ったら、なんと目の前には魔王がいた。
「ほう...貴様が勇者か...」
魔王の不気味で低い声が脳に響く。
「だ、誰だお前!!」
しかしディエルは魔王を前にしても相変わらずだった。
「フン...いい度胸だな。
魔王に向かってそのようなことを聞いたことを後悔させてくれるわ!!」
そう言うとディエルは紫色の鎖に締め付けられ、動けなくなった。
「な、なんだと、このーっ!」
「フハハハハハ、無駄なことを。やれ。」
そうしてダークネスウィングが鎖に締め付けられたディエルに容赦なく
攻撃する。
「炎の翼、奴を焼き尽くせ!
フィアンマ・ベントフォルテ!!」
グゴゴゴゴ!!!
「ぎゃああああ!!」
シュー...
...しかしディエルはまだ平気そうだった。
「熱っちー!!何すんだ、こらっ!!」
「おい、ダークネスウィング。もっと火力を上げろ!」
「...グランデ・フィアンマ・ベントフォルテ!!!」
グゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!
「熱っちっちー!!」
さすがに大ダメージ。
締め付けられたまま、ディエルはぐたっ、と力をなくした。
コトン...
鎖を解き、地面に転がり落ちるディエル。
「フン...では、最後はこのわしが直々に葬ってくれよう、
ディスペラツィオーネ・ルーチェ!!」
真っ黒い光が倒れたディエルめがけて集まってきた。そして...
「さらばだ、勇者よ。」
ドオオオオ....
闇に飲まれたディエルは、そのまま塵になって消え......てなどいなかった。
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「ほう...絶望の死の魔法を使っても塵となって消えぬ、か...」
すると気絶し、瀕死状態のディエルだが、何かいいはじめた。
「か、カネェ...カネをくれぇ...」
「やかましいわっ!!」
魔王にまでそう突っ込まれてしまう。
「...魔王様。コイツもしかして世界のためではなく、我々の財宝のために
勇者になったのではないですか?」
ダークネスウィングはすべてお見通しだ。
「フン...なるほど...勇者の脅威が消えた今、あとは軍を現地に送り、
国々を支配するだけ...よかろう、瀕死の貴様には、
大ー好きなカネをくれてやる...フハハハハハ!!」
するとさっきまでの苦しそうな姿は噓のように立ち上がって、
「本当か!!やった!!で、どこにあるんだ?!!」
...と叫び出した。
「貴様、全然死んでないではないか...」
...そんなわけで、魔王からカネを貰ったディエル。
「やったぜ!これで、王都で家族と一生遊んで暮らせる!ナハハハハ...!」
勇者が世界を売った瞬間だった。
「貴様にもう用はない。さっさと帰って一生遊んでいるがよい、
フハハハハハ!!」
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数日後、再び魔王のところにダークネスウィングが戻ってきた。
今度は生き残りの勇者パーティー3人を連れて...
「ほう、貴様らか。残念だったな、もはや世界は我が魔王軍の手の中にある。
...ということで貴様らにはさっそく選択肢をくれてやる。」
手足を縛られ、ただただ話を聞かされるだけの3人。
「ひとつ。我が軍の手下として入り、ここで働いてもらう。
ひとつ。それが嫌ならここで死んでもらう。さあ、選ぶといい。」
バーランドが最初に叫ぶ。
「...誰が魔王の手下になんかなるもんか!!
こんなことで世界を見捨てたりしないっ!!」
「ほう...」
続けてフィアラも叫ぶ。
「そうよ、私たちは絶対にあなたを倒し、世界を救ってみせるわ!!」
「なるほど...」
そしてリアンも叫ぶ。
「大好きな町、大好きな人たち...
そんな世界を脅かす存在は、許してなどおけません!!」
「それが貴様らの答えだな、ならば消えるがいい!!」
魔王の強力な魔法が飛び出したそのとき、
その魔法を跳ね返す者が現れた。
不意にフィアラが言う。
「...に、兄さん...?!」
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「王都はまだかなーっ!!」
一方、魔王城から走り続けて約3日のディエルは
煙がなくなったコールの村にたどり着いた。
ざわざわ...
「知っています?王都は今大変なことになっているらしいですわよ?」
「あらあ本当?やっぱり勇者さまは本当に世界を売ったというのね...」
通りすがりの人たちは、何やら物騒な噂を口にしている。
「王都、王都、王都ー!」
すると突然、ディエルの背中から声をかけられた。
「あ、あの...もしや...勇者、さまかい?」
それを聞いた村のみんなが一斉にディエルを睨み付けた。
「なんだって?お前が勇者か!!」
「せっかく煙がなくなったと思ったのに今度は直接襲われる恐怖だよ...!」
「おい、なんで世界のことを裏切ったんだ!!」
わあわあといろいろな暴言を図れるディエル。
しかし最初に声をかけた青年はディエルを保護し、
大きな宿屋まで連れて行った。
---「さっきはすまなかった...覚えているだろ?ほら、イントだ。」
しかしディエルは部屋を見渡したまま、
「あれ?なんで俺ここにいるんだ?」
...と、そもそも話を聞いていなかった。
「...なあ、嘘だろう?あの時確かに君は頼りなかったが、
まさか本当に勇者さまが世界を売ったなんて信じられないんだ...」
しかし...
「勇者?そっか、俺勇者だっけ。ハハ、もう金は手に入れたから
勇者終わりだな!」
この発言に失望するイント。
ちょうどそのとき、村長がやってきた。
「おや、勇者さま、いつお戻りに...」
するとイントが村長を強く引っ張り、
「ダメだ、じいさん...奴はもう勇者さまなどではない...」
そう深く伝える。
「...やはりそうじゃったのか...」
残念がる村長をよそに、ディエルは何か言う。
「ちょうどよかった。なあ、じいさん。腹減ったからなんかくれ!」
「...この世界を裏切ったお主なんかに渡すものなどない。出て行ってくれ!」
「おう!言われなくても王都に行くぞ?」
こうして自分が追い出されたことすら知らず、
すぐさまコールの村を出て行ったディエル。
果たして、世界はこのまま闇に飲まれていってしまうのであろうか....
続く...
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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