#1 勇者さま爆誕...?!
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
ゴォォォォ....
燃えていく野原。
そこに立っていたのは、黒光りしたダークネスドラゴンだった...
#1 勇者さま爆誕
ある晴れた日。
ここ、ホープヒルズ王国ではある儀式が行われていた。
「えー、皆も知っておろう。先日、隣国フィレマミア王国で
魔王の力が確認された!」
俺は王都の門をくぐると、民衆と兵が何やら騒いでいるのが聞こえた。
「魔王はいずれ力を蓄え、我が国にも危険が迫ってくるであろう!」
魔王、ってなんだよ。そんなのいるわけないし...
...と、ついその話につられてそんなことが頭をよぎる。
違う、僕は王都に買い物に来ただけだ。
「そこの少年!なかなか強そうな体をしているな、ちょっと来てくれないか!」
するとさっきの話の中にいた兵が話しかけてきた。
「あの、俺忙しいので...」
兵の勧誘を断り、帰ろうとすると、
「待ってくれよ、兄ちゃん...ほら、勇者さまになったら
王様の褒美や魔王のお宝が...」
褒美の話で俺を釣ってくる。
褒美...それがあればみんなで王都に住めるかも...?!
「分かった。」
あっさり引き受けた。
---
闘技場に連れてこられた。
どうやら魔法で生成された疑似ドラゴンを
負傷せず討伐し、帰ってきた者が勇者となるらしい。
本当にこんなもので勇者になれるのか...?
何はともあれ褒美に目がくらんだ俺は、
---ドゴーン!!!
「は、ああああ、無傷!しかも一発!!」
他の挑戦者たちが次から次へと負傷して失格となる中、あっという間に
疑似ドラゴンを討伐した。
「み、見たか今の!!間違いない、勇者様の誕生だー!!」
おおおおおーー!!と盛り上がっている闘技場。
さっそく国王のところへと連れて行かれる。
---
「おお、そなたが真の勇者様か。どうかこの世界を救ってくれ。」
話が早い早い。
「国王陛下。まずは彼にご説明を!」
「おお、そうじゃなそうじゃな。」
兵の一言で一呼吸置かれる。
「えー、まず、そなたも知ってのとおり、
隣国フィレマミア王国で魔王の力が確認された。」
はい、魔王ねー魔王。
「フィレマミア王国は我が国とは姉妹国じゃ。こちらからも援軍を出し、
警戒態勢に入っておる。」
へー。
「伝承によるとこの魔王を討伐できるものは先のドラゴンを討伐した
勇者しかいないそうじゃ!」
そうして今一度俺のほうを見る国王。
「つまり...!」
「つまり魔王を倒して戻ってくれば、褒美どっさりくれるってこと?」
勇者らしからぬ発言。
「なっ...」
これには国王もたまげていた。
大臣が国王をなだめる。
「んんっ、い、いいだろう。魔王を討伐し、未然にこの国を救ってくれる
のであれば、そなたの願いは何なりと叶えてしんぜよう。」
「やったー。」
声に出して喜ぶ俺。
「お、おい、大臣よ...彼、本当に勇者様なのか...?」
小声で大臣に問う国王。
「え、ええ...彼...ディエルは、勇者様しか倒せないという
例のドラゴンを無傷、しかも一発で討伐したという承認が...」
「うむ...ここは伝承を信じるしかないかのう...。」
そして再び俺のほうを見る国王。
「しかしいくら勇者様とはいえ相手は魔王。ひとりで戦うのは非常に
困難である。そこで我が国と隣国のギルドから、強力な仲間を呼んでおいた!」
仲間...ねえ。
「そなたはまずギルドへと赴き、彼らと共に魔王を討伐するのじゃ!」
「はいはーい。ほんじゃ行ってきまーす。」
そうして大きな門をくぐり、外に出ていく。
ガチャン...
「はあ...心配じゃのぅ....」
----
外に出ていく。
「...あれ。なんで俺、こんなところにいるんだっけ。」
王都に来た本当の目的も忘れ、街を歩いている。
「あ、そうだ。褒美、褒美!」
そうして俺は、王都の入り口から出ようとした。
「お待ちください、勇者様。」
すると門番に止められた。
「国王陛下より伺っております。
旅をする際には、仲間を連れて討伐へ向かうように、と...」
「仲間...?いらんいらん。
俺は褒美を独り占めするんだい。」
そう言って門番を軽く吹き飛ばし、街の外へ出て行った。
「どわぁっ、勇者様ーっ!」
---一方、ここは王都にある冒険者ギルド。
勇者誕生の知らせを受け、3人の仲間たちが勇者を待っていた。
「ついに私も勇者様と冒険できるのですね、楽しみ楽しみです...!」
...彼女は魔法使いフィアラ。
王国でも有名な魔法使いで、魔物の少ない現在は討伐依頼の他に
ガラクタ焼却などの依頼を受けていた。
「楽しみ楽しみ、って?私のほうが楽しみ楽しみよ?!」
...女戦士、バーランド。
日頃から鍛錬を続け、いつしかこの王都で護衛団として
魔物から人々を守り続けていた。
「何が楽しみ楽しみですか...2人とも...」
...隣の国、フィレマミア王国から派遣された賢者フィレッチェ。
勇者様誕生の件を受けて、瞬間魔法でやってきた。
「あのですねぇ...我が国では既に大変なことになっているのですよ?
例えば海上に進出した魔物により貿易船が止まったり、エルフの森が魔物に...」
「大変だ、みんな!勇者様がひとりで旅に出ていってしまった!!」
「...は?」
突然やってきた兵に伝えられ、困惑するみんな。
「どういうことですか?国王陛下からこちらに来るよう、
告げられたのではなかったのかしら?」
フィアラが冷静に兵へと尋ねる。
「はい...ですが仲間はいらない、とおっしゃったまま、我々護衛を
軽く蹴散らし、旅へ出てしまいました...」
申し訳なさそうに頭を下げる兵。
フィアラはふう、と軽くため息をついたあと、
「分かったわ、探してくる。」
勇者様を探しにギルドを出て行った。
「ま、待ちなさいよフィアラ!!私も行く!」
バーランドもそれに続く。
「やれやれ...先が思いやられるなあ...」
渋々2人を追いかけるフィレッチェ。
こうしてまずは勇者様を探す旅が始まった。
一方、王都を出て行った勇者様は-----
「...あれっ。おっかしいなぁ...」
なんとひとり森の中、迷子になってしまっていた?!
続く...!
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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