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#14 煙の村

~ルルン~

20代くらいの青年。

イラスト、アニメ、ゲームが趣味。


文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。

小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。

#14 煙の村


魔王討伐に向け、ベルデの町を出発し次の村までたどり着いたディエル一行。

しかしこの村では大気汚染が酷く、村の人たちは自由な生活が送れずにいた。

フィアラはそんな村を救おうと、宿で出会ったイントと村長に

詳しい話を聞きに入る...


「へえ、立派な部屋ですね...。」


イントが案内してくれた部屋は、大きな机にソファー、暖炉にベッドという

もはや豪邸のような部屋だった。


「そうですね、ここは本来僕の宿でいちばん高価な部屋ですから。

...今は旅人なんて来ないので、村長が住んでいる部屋ですけどね。」

そう言っているイントは少し自慢気だった。


「そこにお座りくださいませ、皆様。」

村長の案内で大きなソファーに腰掛ける。


---「さて、この村とこの煙について説明いたしましょう...」

村長が話をはじめる。


「...この村は炭鉱の村として賑わっている村です。

村の名前であるコールというのも、石炭という意味のようでしてね。」

コールの村...つまり石炭村ということか。


「ですが先週、村の奥にある廃坑から突然、煙が村中を覆いました...

煙を吸ってしまった村人たちは次々と倒れ、そのまま病気になって

動けなくなってしまったようで...」

これだけ濃い煙が村中を覆えば、

身体に何かしらの害があるに決まっている。


「亡くなった人がいなかったのは不幸中の幸いですが、

倒れた人たちは今も闘病中...」

ここから見える家々の中にもうっすらと人影が見える。


「我々を含む建物の中にいた人たちは

倒れてしまった人たちの看病にあたり、

とても廃坑の様子を見に行く余裕も力もなかったのです...」

だからフィアラたち冒険者に頼むしかなかったのだな。


「...さらに外に出ることがができないので、我々は地下に穴を掘りました。

おかげで食料などの共有と、人々の情報交換ができるようになりました。」

1週間でよく繋いだものだ。


「...とまあここまでがこの村の大まかな現状です。」


話を聞いてなるほどね、と頷くみんな。


ディエルが唐突に言う。


「つまり...煙がいっぱいってことだな!」


「え、えーっと...私たちは一体

どうやってその廃坑まで行けばいいのかしら...?」


無視して質問するフィアラ。


「はい...実は廃坑の前に鉱夫たちが使用していたマスクがあります...

そこまで行くことができれば恐らく廃坑へ進めるかと...」


再びディエルが言う。


「そういえば何で山の中に学校(廃校)があるんだ?」


「タギョル(黙れ)。」


ギュン...


「...わかりました、まずはそのマスクを入手する必要があるのですね。」

ようやく流れが掴めてきたフィアラ。


「オッケー、それならさっそく廃坑の前まで行こうっ!」

バーランドが早くも向かおうとする。


「ま、待ってください、私...!」


ぐぅぅぅ...


リアンのお腹が限界だった。


--------------


夕方。


ご飯を食べるとすっかり元気になったリアン。

さすがに村の食料を分けてもらうこともできず、

持ってきた食料でお腹を満たしていた。


「たあ、食った食った!」

何もしていないはずのディエルがいちばん食べていた。


「あら、もう夕方なのね。」

バーランドが外を眺めて言う。


「夜の廃坑はさらに危険です。

今日はここで休み、明日廃坑に行っていただけると幸いです。」

イントはそう言ってくれた。


「そうね、それじゃあお言葉に甘えてそうさせてもらうわ。」

フィアラも納得する。


「それじゃあ先に休んでくる。」

ディエルは勝手に今夜泊まる部屋に移動していた...。


--------------夜。

フィアラやバーランド、リアンたちは

下の階でシャワーを浴びさせてもらいに行っていた。

ライトニーと2階にある部屋に残るディエル。


「あー、なんか蒸し暑い...窓でも開け...」

そう言って窓を開けようとする。


「アンタ馬鹿なの?!今、窓を開けたらどうなるかわかってるでしょうね?!」

ライトニーが窓の前に立ちふさがり、それを止める。

これは馬鹿呼ばわりされても仕方ない。


「そっかそっか。風魔法で涼しくすればいいんだった。

...ウインド。」


ガタガタガタガタ...


ゴゴゴゴ...


「あ、やべっ、力が制御できねえ...」


ビュゥゥゥ!!


パリーン!


ライトニーが油断したその隙に、窓ガラスは割れていた。


「って、ちょー!!!」


ドタドタドタ...


「何事...?!って窓が!!」

フィアラが部屋にやってきた頃には既に手遅れだった。

外から煙がもくもくとやってくる。


「いい加減にして!」

そう言ってディエルを引っ張って廊下へ連れ出す。


ガチャン...


「何何、どうしたの?!」

シャワーを浴び終わったバーランドとリアンと合流する。


「ごめんなさい、みんな...」

ライトニーが謝る。


「何があったか知らないですけど、落ち込まないで、妖精さん...」

リアンがそれを慰める。


「まーた何かやらかしたのね、ディエル!!」

バーランドがそう言って部屋のドアを開けようとする。


「待ってバーランド!今、その部屋は...!」


「え?」


もくもくもく...


フィアラが止めるよりも先にドアを開けてしまったバーランド。


「あっ...」


バタン...!


そのまま煙を大量に吸い込んでしまった。

扉の前で倒れ込む。


「まずいことになったわね...」

扉を閉めたくてもバーランドがいて閉められない。


「私、村長たちに知らせてきます...!」

リアンがそう言って階段を駆け下りる。


---


応急処置として、他の家と繋がる地下のほら穴がある部屋と

村長のいる部屋の扉を閉じ、他の部屋へは出入できなくなった。


「なんてことだ...これでは食料が届かない...」

ほら穴はこの部屋の隣なので、

そこに行くには一度この部屋を出る必要があるのだ。


「それにバーランドも心配...!」

ライトニーが本当に申し訳なさそうに言う。


「これもすべてアンタのせいなんだからね、わかってる?!!」

フィアラがディエルに怒鳴りつける。


「お、俺のせいだって言うのか!」

ライトニーやリアンでさえため息が漏れる。


「こうなったら仕方ない...ベールのポーションを使うか...」

そう言って本棚の裏からポーションを取り出すイント。


「ど、どうして?今、この部屋は安全なんでしょ?」

ライトニーが問う。


「はい、この部屋は、です。

つまり上で倒れた戦士様をあのままにしておくのは危険、と...」


「...ならば私が行ってきます。」

フィアラがそう言って扉の前に向かう。


「わかりました...このポーションの効果時間はそう長くありません。

連れ出したらすぐに、戻ってきてください...」


こうしてバーランドを救うために部屋を出たフィアラ。

果たして無事救うことができるのだろうか...


続く...


はじめまして、ルルンです。


クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。

気軽に反応を頂けると嬉しいです。


少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、

どうかよろしくお願いいたします!

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