#13 コールの村
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#13 コールの村
--------------5日目、朝。
魔王討伐に向け、ベルデの町を出発したディエル一行。
色々あって予定より2日ほど遅れ、ようやく最後のキャンプ地をあとにする。
キャンプ地から村までは数時間ほどだったが、
今までの距離に比べれば大した距離ではなかった。
そして村の入り口にたどり着く...
「ううっ、煙たい煙たい...!」
バーランドが裾で口元を覆う。
森の中は木々が煙を吸収してくれたので大したことなかったが、
村まで行くと本格的に煙がすごかった。
「ふー、ふふふふふーふふふふふ...(へー、ここがコールの村か...)」
「ふふふふふふふふふ!(ちゃんと喋りなさい!)」
フィアラ、お前もだろ。
...とにかくまともに口を開いて喋るのも難しいほど大気汚染は酷い。
当然村の外には人っ子ひとりいなかった。
宿屋らしき建物に入る。
カランカラン...
「はーっ、やっとまともに息ができる...」
バーランドがそう言って深呼吸していると、
「い、いらっしゃい、ませ...」
驚いたような顔でこちらを見る若い男性がいた。
「あ、この村の方ですか?ちょっとお話がしたいのですが...」
フィアラはさっそく情報収集に入ろうとする。しかし、
「なあ、もう行こうぜー?
わざわざこんな汚れた村に寄る必要ないじゃん!」
ディエルの心無い一言に落ち込む青年。思わず、
「はあ?アンタにはこの村を救おうって気はないの?!」
フィアラは叫んでしまった。
「これこれ。大声など出して。一体何の騒ぎじゃの?」
すると奥の部屋から村長らしき人物が現れた。
「おや、旅の方かね。ようこそコールの村へ。」
そう言って丁寧にお辞儀する。
「よお、じいちゃん!腹減ったからなんかくれない?」
初対面の人なのに図々しいディエル。
「あと、服が汚れたから風呂に入りたいし、次の村までの地図が...」
「タギョル(黙れ)。」
ギュン...
「@、@/;&%#*ー?!!」
余計なことばかり言い出したので口を封じておいた。
「おやまあ...これは...」
フィアラのかけた魔法を見て驚く村長。
「すげえぞじいさん...彼女、上級魔法使いだ...!」
最初の青年も驚いてそう伝える。
じいさん、と言った青年にリアンが問う。
「あの、もしかしてお二人はご家族、ですか...?」
「あ、ああ。僕はこのじいさんの孫で、この宿の店主をしているイントだ。」
イントが自己紹介する。続けて、
「わしはイントの祖父でこの村の村長、オーマンと申しますぞ。」
村長オーマンも自己紹介する。
「わ、私は魔法使いフィアラ。魔王討伐に向けて旅をしています。」
流れでフィアラも自己紹介。
「*#%&@"+?&,!」
「そして彼はディエル。一応...魔王を討伐できる勇者です。」
「はあ、勇者さま、とな?!」
とても驚きディエルを眺める村長オーマン。
「そしてそして!私がバーランドです!」
元気よくそう伝えるバーランド。
「あ、えーっと、フィアラの友達で
一緒に旅をしているリアンと申します。」
丁寧に挨拶するリアン。
ライトニーはバッグに入ったまま出てこなかった。
「そうですかそうですか。ではぜひこの村でゆっくりとおくつろぎを...
と言いたいところですが、それは難しいですのぅ...」
村長が困った顔で下を向いてしまう。
「例の...煙ですね...」
フィアラが外を見て呟く。
「ああ、困った。このままでは村は永遠に汚れ、
物資が尽きて滅んでしまう...」
わざとらしい言葉。
「誰か助けてくれんかのう...」
するとディエルの脳裏に何やら不思議な選択肢が浮かんできた。
「...?[わかりました、解決して見せましょう]、
[嫌だ、自分たちでなんとかしろ]...?」
ディエルがどちらを選んだかは言うまでもなかった。
「嫌だ、自分たちでなんとかしろ!」
しかし村長は食い下がらなかった。
「おっと、耳が遠くて聞こえなかったぞい。
誰か助けてくれんかのう...」
「嫌だ、自分たちでなんとかしろ!」
「おっと、耳が遠くて聞こえなかったぞい。
誰か助けてくれんかのう...」
「嫌だ、自分たちで...」
「いい加減にして!!」
フィアラがとうとう割って入る。
「す、すみませんのう...」
謝ってきたのは村長のほうだった。
「いや、村長さんは悪くないから...!」
必死にフォローするバーランド。
「オーマンじいさんは、先週から村にいる冒険者たちにも
同じようなことを繰り返し言うようになってしまったんだ...」
するとバッグに入ったままのライトニーが村長のところへ飛び出してしまう。
「よ、妖精ちゃん?!」
ライトニーは村長の頭の周りをウロウロしたあと、
「これは...魔王の呪いね。
この問題を解決する気力のある冒険者かどうか見極めるためのものよ。」
そう言って両手を合わせる。
...すると呪いが解けたのか、ディエルの脳裏に浮かんでいた選択肢が
なくなった。
「あれ,,,選択肢が...消えた?」
「おお、普通に話せる...!ありがとう、妖精さんや!」
村長もお礼を言う。
「へへーん!妖精ライトニーは呪いも解けるのよ!」
「妖精さんってライトニーって言うんですね!」
リアンは今さらライトニーの名前を知って喜んでいた...。
---
「えー、改めて聞きたい。
これは呪いに関係なく、どうか村を救ってほしい!」
そう言ってみんなに深く頭を下げる村長。
しかしディエルは...
「嫌だぞ俺は!さっさと魔王を倒して帰りたいぜ...」
ダメだこいつ。
「そこをなんとか...!お願いします、
このままでは本当に物資が尽きて滅んでしまう!!」
今度は土下座に変わる。
「それより腹減った。なんかくれたら...」
「タギョル(黙れ)。」
ギュン...
「@、@/;&%#*ー?!!」
もう聞いていられなかった。
「村長さん、ここは私たちで行ってきます。」
フィアラがそう言うと、
「人助けなら私も喜んで!」
「これでも私...武闘家なのです...!」
バーランドとリアンもやる気満々だった。
「妖精さん...ライトニーはどうします?」
リアンがライトニーに聞く。
「ついて行きたいのはやまやまだけど、私が行ったら
誰がこのへっぽこ勇者の面倒を見るのよ!」
とうとうへっぽこ勇者呼ばわりされた。
「おお、ありがたや。はじめから彼女たちに頼んでおけばよかったですのう。」
思わず本音が漏れてしまう村長。
「んんんっ、そんなことはございませんぞ。
これも勇者さまが、皆を引き連れてきてくれたから...」
「いや、ほとんどフィアラがリーダーだから。」
バーランドがそう呟くと、黙り込んでしまう村長。
「ま、まあとにかく、一旦奥の部屋で詳しい話をしようじゃないですか...」
イントが気を利かせて部屋へ案内する。
そういうことで奥の部屋へと向かうみんな。
果たしてこの村で何が起きているというのだろうか...
続く...
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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