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#11 妖精(フェアリー)の頼み事

~ルルン~

20代くらいの青年。

イラスト、アニメ、ゲームが趣味。


文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。

小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。

#11 妖精(フェアリー)の頼み事


魔王討伐に向けてベルデの町を出発したディエルたち。

当初の予定では次の村まで3日ほどだったのだが、

3日経った今でようやく半分を過ぎた頃である。

日数にしてあと2日。

しかしディエルによって水筒の水を飲み干されてしまった一行は、

喉の渇いたリアンのために

道から少し外れた森の中にある湖を訪れる。


するとそこで小さな体の妖精に声をかけられた...


「あなたたち人間ね、ここに何の用?」


真っ先に話しかけられたのはやはりフィアラ。

妖精のほうを向いて質問に答える。


「私たちは水を汲みに来たのです。

ちょうど水がなくなって困っていた頃、こちらの湖を発見したので...」


「ふーん、なるほどねー...」

そう言って妖精は考え込む。


「ねえ、あなたたち。もしかして今からコールの村まで行くの?」


コールの村...

そう、我々が目指している次なる村だ。


「そうね、一旦はそこを目指している感じかしら。」


「一旦は...?」

妖精は再び考え込む。

そうして次のように話す。


「...あなたたち見たところ冒険者みたいだけど。

もしかして魔王討伐にでも向かっているんじゃないでしょうね?」


図星だ。

さすがは妖精。見ただけでなんとなくわかってしまうみたいである。

フィアラはうん、と頷く。


「...だけれど魔王は、伝説の勇者がいないと倒すことができないって

聞いたことがあるわ。」


「ん?呼んだか?」


勇者ならすぐそこにいるのにまったく気づいていなかった妖精。


「はあ?誰もあなたのことは呼んでませんけど?」

さっきまでのフィアラの態度とはまるで違う妖精。

続けてこう返す。


「だってあなたからは、お金のいやらしい匂いしかしないんだもん!」


「くんくんくん...金貨ってそんな変な匂いなのか?」


「そういう意味じゃないっ!」

どこかで聞いたことのある展開。

つまりディエルは何もわかっていなかった。


「あの...信じられないかもしれませんが、彼、ディエルは勇者なんです...」


「えー、この金の亡者がー?」

いつのまにか妖精からは金の亡者呼ばわりされていた。


「まあどっちでもいいわ。実は私、あなたたちにお願いがあるんだけど...」

勇者の話は切り捨てて、お願いを話しはじめる妖精。


「あなたたちコールの村に行くって言ってたでしょ?

今、コールの村周辺は大気汚染が酷くて...」


「大気汚染...?」


「ええそうよ。それもここ数週間の間で。」

数週間...ちょうど魔王が現れはじめた頃である。


「...それでね、私たち妖精(フェアリー)族はその大気汚染によって

住む場所が奪われていったの...」


「なるほど、それでこの森に逃げてきたのね。

...それじゃあ他の妖精(フェアリー)族は?」


「それが...私ひとりはぐれちゃって...」


そこまで話を聞いていたバーランドが話に参加する。


「つまりその大気汚染を解決して、みんなのところに戻りたいってわけね!」


そうそう、と頷く妖精。


「話が早くて助かるわ!

他のみんなはそう遠くは離れていないはずだから、

大気汚染が収まれば戻ってきてくれるはず。それまでよろしくね!」

こうして(勝手に)仲間に加わった妖精。

他の人に見つかるとまずいのでバッグの中に入り込む。


「あ、それ、私のバッグ...!」

入り込んだのはリアンのバッグだった。


「よかったじゃない、リアン!妖精に気に入られたみたいで!」

フィアラが笑いながら話す。


「よ、妖精さんがバッグの中に入っているなんて...私はじめてよ。」

するとバッグの中から妖精が顔を覗かせる。そして、


「さあ、コールの村に向けて出発ー!」

勝手に指揮をとりはじめていた...。


--------------


3日目、夕方。


平原を抜け、高い丘を登ると、険しい山々が見えはじめてきた。

その眼下には大きな森が一面に広がっている。

さらにその森の奥、山脈のふもとに小さな灯りが見えはじめていた。


「あそこがコールの村...なんだけど本当にすごい煙ね。

ここからでも大気汚染が酷いのが分かるわ...」


妖精が言っていたようにとんでもなく煙に覆われた村。

村の灯りが霞んで見える。


「今日はここで休むわ。みんな準備してね。」

今日もフィアラが指揮をとっている。


「えー、ここから見えるなら明日には着きそうだけどねー。」

バーランドが言う。


「だからといって近いわけではないのよ。

私も昔、同じようなことを思っていたから...」

リアンは経験者なのである。


「あれ?金の亡者はどこに行った?」

相変わらず金の亡者呼ばわりのディエル。

そんなディエルはというと、


「お宝お宝おったから!」

ひとり、馬の前で何やらニヤニヤしていた。


カシャン...


「えーっとこれは7金貨、これは3銀貨。これは17銅貨で、これは...」


「何してるのよっ!」

妖精に話しかけられ驚くディエル。


「やっぱり金の亡者じゃない。ほら、みんなは向こうで

焚き火の準備をしているわよ!」

そう言って向こうを指す妖精。

するとディエルは、


「...?誰だお前...」

そもそも仲間にした覚えなどなかった。


「...邪魔しないでくれ、忙しいから。えーっとこれは...」


「はあ?妖精(フェアリー)ライトニーに向かって何よその態度は...!」

ライトニー...どうやらこの妖精の名前らしい。


「なあ、お前。金貨7枚(7万円)と銀貨13枚(1万3千円)、銅貨29枚(2900円)って

いくらになる?」

これまで手に入れてきたお宝を清算していた。


「俺の手立てだと、パンがいっぱい買えるくらいの値段にはなるのだが...」

抽象的すぎる...そりゃあパンはいっぱい買えるだろうけどよ...


「はあ、しょうがないわねー。両替して数えてあげるから、

あっちの手伝いしてきなさい。」


さんきゅー、と立ち上がって向こうに行ったディエル。

しかしディエルは、ただ丸太に座って休んでいるだけだった....


-------------------------------------------------------------------------


4日目、朝。


丘の先の崖。

一度丘を降りて、森の中を道なりに進む必要がある。

片付けをしていると、ディエルがこんなことを言い出した。


「なあ。この崖から降りればかなり近道じゃね?」


なっ、、と驚くみんな。


「そ、それは無理だよ...。だってこの崖、下まで20メートルはある、よ?」

リアンが冷静に止める。


「実際、ここから転落して大けがしたっていう冒険者だっているの。

大人しく遠回りで行きましょう?」


「リアンの言う通り!ここで大けがでもして

魔王討伐に支障が出たらどうするつもりなのよ!」

バーランドも強く止める。


「悪い悪い。俺、ここから降りるつもりで荷物だけ先に落としておいたぜ!」


「...はあ?!」


馬に積んであった食料や水、装備品などの入った袋。

そのすべてをこの崖の下に落としたという。


「バッカじゃないの?!アンタ!!」

とうとうフィアラからも怒りの声が上がった。


「装備品も入っているというのに、この先どうするつもり!?」

いつもになく怒っている。

今まで我慢していた分まですべてぶつけているみたいだった。


「この森は魔物だけでなく盗賊もいるって噂!!

私たちよりも先に見つけられたら大変なことになるじゃない!!」


「ちょ、ちょ、悪かったって...」


「謝ってる場合じゃないわ!!さっさと取りに行くのよ!!!」


怒りのあまり、ディエルを崖の先まで押し出した。

そしてそのまま...


ガラ、ガラガラ...


「んがあぁーっ!!」

ディエルは背中から、崖の下へ転がり落とされた。


「ディエル!?」

心配して崖の下を覗くバーランド。

一方のフィアラは、


「ふう、清々したー。」

涼しげな顔で空を見上げていた。


果たしてこれからどうなってしまうのだろうか...


続く...


はじめまして、ルルンです。


クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。

気軽に反応を頂けると嬉しいです。


少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、

どうかよろしくお願いいたします!

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