14.クラス替え
月曜日、朝の五時頃、僕は目を覚ました。そして、毎日の習慣である朝の運動――ランニングを始めるため、着替えて校舎の外へ向かうと、すでにオフィーリアが待っていた。僕の従者になって以来、彼女は毎朝僕と一緒に走るようになった。
彼女が言った通り、確かに僕のことを見ていたのだろう。だからこそ、僕が起きてランニングを始める時間を知り、先回りして待ち伏せしていたのだ。
意外だったのは、今朝はネリーまで来ていたことだ。彼女も一緒に走ると言い出し、実際に僕とオフィーリアに遅れずについてきた。二時間走り続けてもペースを崩さなかったのは驚きだった……彼女がゴールしたとき、肩で息をしながらぐったりしていたことを除けば。
ランニングを終えた僕は寮に戻り、シャワーを浴びて着替えた後、食堂へ向かった。僕たちは少し早めに来たので、人はまばらだった。だが、その中でも一際目立つテーブルがあった。レベッカとヴェローニカが座っていたのだ。彼女たちは僕の姿を見つけるなり、大きく手を振って呼んできた。
「「おはよう!マスター!」」
「……どうして僕がここにいると?」
レベッカはただ微笑むだけだった。
ちなみに、学内には四つの食堂があり、それぞれ異なる地域の料理を提供している。学生は自由に選べる上、食費は全額学校負担なので、たとえ貧しい生徒でも食事に困ることはない。
僕が最も気に入っているのは、この【不動坊】という食堂だ。ここでは大陸西部の料理【カフィラ】が提供されている。さまざまな香辛料で味付けした肉を炭火で焼き、野菜と一緒に挟んで食べるのが特徴で、味が濃厚でとても美味しい。
ここは庶民や男子学生が多く利用する食堂でもある。一般的な貴族はこういった味の濃い料理を好まないため、例えば昨日の【ハピアンク肩肉ステーキ】のような、淡白ながらも上品な味付けの料理を選ぶことが多い。
案の定、今ネリーは目の前の【カフィラ】を見つめながら、眉をひそめていた。
「食べないの?これ、めっちゃ美味しいよ!」
ヴェローニカが、ネリーがなかなか手をつけないのを見て声をかける。
「ううん、ただ……」
「食べきれぬなら、拙者が引き受けよう。」
「ありがとう。」ネリーはまず向かいのオフィーリアを見て、それからレベッカとヴェローニカを一瞥し、最後に隣にいる僕を見つめて、ふっと微笑んだ。「では、お言葉に甘えさせていただきます。」
彼女は【カフィラ】を半分に切り、僕たちに分けた。三等分したそれを、僕、ヴェローニカ、オフィーリアで分け合うことになった。
*
学校のネットワークには、僕とオフィーリアたちがFクラスに転入することがすでに公表されていた。そのため、今日はAクラスの教室を通り過ぎ、そのままFクラスへ向かった。ヴェローニカはFクラスではないはずだが、当然のように僕の後についてきていた。
教室の扉を開けた瞬間――
「お待ちしておりました、魔王様!」
目の前には、きっちりと整列した女子生徒たちがいた。そして、揃って僕に向かってお辞儀をした。
そう、Fクラスの女子十五人のうち、十二人がこうして並んでいるのだった。三人は参加していないが、それでも十分に壮観だった。もし僕が当事者でなければ、の話だが……。
「……こ、こんにちは。」
僕は苦笑したい気持ちを必死にこらえながら、なんとか挨拶をした。
「さすがマスター、大人気だね。」
「何やら理不尽に腑に落ちぬ気がするのだが。」
僕の背後で、オフィーリアとレベッカがひそひそ話をしていたが、無視することにした。
そのとき、列の中央にいた一人の女子生徒が一歩前に出た。
「私はクラス委員のパール。自分を差し出すので、どうか他のクラスメイトはお許しください、魔王様!」
「……どういう意味?」
「え?違うの?」
「えっ?鬼畜魔王じゃないの?」
「違う!」
後に知ったことだが、僕がFクラスに転入することになった際、一部の生徒の間で混乱が生じていたらしい。成績が落ちることを心配する者、僕に恋人を奪われると恐れる者、そして勇者の目に留まろうとAクラスへ転入する者……。その結果、何人かの生徒がクラスを移動し、Fクラスに残ったのは、元々Fクラスに所属していた者か、成績が足りずに残らざるを得なかった者、あるいは僕の転入を聞いて自ら移ってきた者だった。
状況をうまく理解できずに戸惑っていると――
「ただのビリ君のくせに、マジで大物気取り?」
教室の隅に座っていた茶髪の少女が、突然口を開いた。
彼女とその友人二人は超ミニスカートを履き、足を組んで座っていた。そのせいで、どこに視線を向ければいいのか困るほどだった。
僕の視線の迷いに気づいたのか、オフィーリアとレベッカが冷たい視線を送ってきた。僕は気まずさを避けるために、とりあえず席に着く。
「……ごめんごめん。」
「ふんっ!」
先ほど整列していた女子生徒たちも、それぞれの席に戻った。ただし、誰一人として僕の隣には座らなかった。
ネリーが僕の肩をぽんと叩いて、僕の左側に座る。オフィーリアは右、レベッカは前に席を取った。
教室内で唯一の男子生徒という状況に、僕は気まずさを覚えた。そして、静かにしていると、次第に女子生徒たちのヒソヒソ話が耳に入ってきた。
「本人は鬼畜じゃないって言ってるけど?」
「悪人が自分のこと悪人って言う?」
「だって、あのオフィーリアを屈服させたんだよ?」
「アイツがあんなに大人しくしてるとこ、見たことある?」
「勇者にだってできなかったのに!」
「それに左にレベッカ、右にヴェローニカ……」
「ネリーまで手を出して、」
「ソフィア先生までモノにして、」
「これで鬼畜じゃないって言えるの?」
僕は目を閉じた。……なぜ、こうなったのか?
「ザカリー!!!!!!」
大声とともに、教室の扉が勢いよく開かれた。




