終わりに
マンガの原作者となってみて思ったのは、
「あった方がいいのは、情報収集能力かな」
ということだった。
「出版社のサイトに、もうコミックスの情報が載ってた!?」
とか、
「このサイトから予約すると特典が付くんだ!?」
とか……。原作者だけど知らないことがてんこ盛りだったのだ。偶然気付かなかったら、今でも把握していなかっただろう。誰も教えてくれないので、自分で情報を掻き集めるしかないのである。
だけどこれは、あくまで「ある方がいいもの」の話。
個人的に「できないと困る」と感じたのは、「待つことと迅速に反応すること」だ。
私が作画等々の作業をするわけではないから、他の方が一生懸命お仕事をしてくださっている間は大人しく待っておく。
そして、連絡が来たら早めにレスポンスをする。月刊誌の連載なので原稿は次の号に間に合わせる必要があり、「○○日までにご返信ください」と添え書きがされていることも多かったのだ。
横道に逸れるが、編集者さんからのメールは真夜中……それこそ丑三つ時に来ることも多く、本当に大変なんだろうなと思ってしまった。
また、年末年始といった世間での休暇についても、出版社の方やマンガ家さんにとってはあまり関係がないそうだ。
その点はコミュ障も同じだろう。私のコミュ障は24時間営業だ。365日ずっと通常運転なのである。
そんな冴えない作家がヒーヒー言いながらもコミカライズをどう受け止めたかについてのお話、少しでも楽しんでいただけたなら幸いだ。
トラブルや勇気を出さないといけない場面も多かったけど、本当に貴重な経験ができたなとしみじみしている。
死に場所を求めてさ迷っていた私だけど、この体験により「もうちょっとやれるかも……」と不遜にも少しばかり自信をつけてしまったので、まだしぶとく生き残ってやろうと思う。
最後になりますが、連載、コミックス刊行に携わってくださった方々、作品に種々の反応を示してくれた読者の皆様、「体験記を書いてみたら?」「裏話を知りたい!」と言ってくださったユーザー様、そして、このエッセイに足を運んでいただいた方々に、厚く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました!