表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドリームランド  作者: こころ
4/19

戦い

「さあ、皆、食べ終わったら、明るくならないうちに出発だ」

リーグレは勢いよく椅子を引き、両手を広げてくるりと回転しながら食堂を出ていく。

「リーグレ、一人で行ったら危ないよ!」

エビーは慌てて後を追う。イクセがゆっくりやってきて、エビー達の置いていった皿を回収し、奥へ運んでいく。

「後片付けはちゃんとしないとね」

イクセを手伝うユーニンにそっと問いかけてみる。

「ねえ、二人、どこへ行ったの?」

「女の子を探しにですよ。私達はそのためにここに」

ふわふわな髪を揺らしながらニッコリ微笑む。

「え、人探し? 私達って結構危ない状態なんじゃ……」

「大丈夫ですよ、エビーの持つ力は、そこらのオバケなら相手になりませんから」

私が言いたかったのは、現実の世界で、私達は危篤状態なのに、という意味なのだが、ユーニンはそうとらなかったようだ。

「だが、そろそろいかないと、俺達の今後に関わるだろ」

リープはキッチンの扉にもたれて、足を揺らしている。しきりに窓の外に目をやっている。

「そうだね、僕達もそろそろ行こうか」

イクセが水のついた手をタオルで拭い、私に目で促して、扉に向かう。

後ろでガーストが椅子から立ち上がる、ガタッという音が聞こえた。


「こっちだよ」

外に出てしばらく行くと、リーグレがメリーゴーランドの脇で手を振っていた。エビーがかぼちゃの馬車に乗っている。

「ここにはいないわ。ね、リーグレ。その子、じっとしてられないのかしら。まったく。ねえ、もうやめにして遊ばない?」

「ダメだよ。その子を見つけたら、君達もお家に帰らなきゃ」

エビーは拗ねた顔でそっぽっを向いてしまった。

(あんたに帰る場所なんてないから)

あれ、懐かしい声。誰だっけ――。

「ヘデラ、小さな女の子が行きそうな場所、わかる?」

リーグレの声ではっと我に返る。つぶらな人懐っこい瞳が問いかけてくる。

「えっと……なぜかここには私達以外誰もいないし、暗いし、乗り物は不気味に見えるんじゃないかな。だから、えっと、広場の、花壇のところとか……」

「誰もいないなんて、あたりまえじゃん。あんた死にかけてんの、わかってる? リーグレが助けてくれなかったら存在しないんだから」

エビーが突き放すように言い放つ。別に助けを頼んだ覚えはないけど――。

「うんうん、なるほど。確かに広場かもしれない。それにエビー、前も言ったけど、僕は君達を呼び出しただけだよ」

そう言うと、「さあ、行こう」と背中を向けて走っていく。

私達も後を追う。様々なアトラクションを通り過ぎる。

「あれ、あのキャラクターの乗り物、懐かしいなぁ、昨日ありましたっけ」

ユーニンがイクセを振り返る。

「いいや、見てないね。また場所が変わってるんだ」

「ヘデラさん、あのキャラクター知ってます?」

ユーニンの問いかけに、首を傾げておく。見たことはある気がする。けど、特に思い入れもないし、遊園地など、来たこともない。

「両親によく連れていってもらいました」

ユーニンが微笑みかけた、その時、頭上から、ギャーという鳴き声とともに、なにかが襲いかかってきた。

「リーグレ!」

リープが叫び、リーグレが振り向く。

「リーグレさん!」

ユーニンがリーグレへ右腕を突き出すと、リーグレは頷いて、声のした方へ、同じように手を差し出す。

ユーニンの右手から、黄色い光がリーグレへ放たれた。眩しくて、一瞬たじろぐ。

リーグレは光をうけて、反射するように、その光を声の主へ放った。クワーッと声をあげて、一体が遠ざかる。

後ろから来たもう一体は、黄色い光でその姿が見えた。カラスのような羽、コウモリのような、ネズミのような顔、体。なに、あれ――。

遊園地に響く鳴き声のなにかは、体長が五メートルを優に超えていた。

もう一体は、羽をバタつかせ、空中の一点にとどまったかと思うと、勢いをつけて、こちらに急降下しながら、羽を矢のように降らせた。

「僕の力を……」

イクセが片腕を、すがるようにリーグレへ差し出す。それを受けて、私達の頭上を水色のバリアが覆った。羽の矢はあたらない。バリアを滑って、落ちていく。

だが、イクセの息が上がってきて、腕がだんだんと下がるにつれて、バリアの層が薄くなっていった。

「リーグレ、攻撃だ」

リープは思い切り腕を突き出し、緑の光を放った。リーグレが受けると、落ちていた羽が、浮かび上がり、怪物へ向きを変え、放たれた。

攻撃を受けて、怪物の鳴き声があがる。頭が痛くなるような声――。

「今のうちに、皆、ホテルまで走れ!」

やられた二体の後方から、つぎつぎとこちらにやってくるのが見えた。

ユーニンとイクセは長距離を走ったようになっており、私とリーグレで担ぐようにして走る。

「おい、大丈夫か」

そう言うリープも、額に汗をぐっしょりとかいている。

エビーは振り向きながら、ガーストは我先にと、前を一目散に走る。

その背中を必死に追いかけ、ホテルへ急ぐ――。

読んでいただきありがとうございます!

稚拙な文で申し訳ありません。

これからもよろしくお願い致します(*´-`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ