妖精は笑顔で染まる1
桜に「しばらく入院する」とだけ連絡を受けた僕は急いで病院に向かった
気が付いたら僕は病院の前で立っていた
どんだけ急いだのかすら覚えていないが僕のおでこと頬に伝わる汗が物語っていた
病院の匂い。雰囲気が僕を余計に不安にさせる
エレベーターに乗ったがエレベーターより階段の方が速かったかもと思える程遅く感じる
僕はエレベーターの扉が開くと同時に飛び出し桜の病室に着くと何も考えずに扉を開けてしまった
目の前に桜に似た女性が僕と向き合う形で立っている
「どちらさまですか?」
少し桜より低いが透き通った綺麗な声で我に帰った
「あ!いきなり開けてしまってすみません。僕は桜さんの友達の神野 陽と言います。」
「そうなの?急いで来てくれてありがとう。少し荷物を取りに帰るから桜の話し相手をしてあげてね。」
そう言うととても優しそうな女性は部屋から出て行ってしまった
「今回は早かったね。」
部屋の奥のベットからブスーっとした顔を覗かせながら桜は言った
「ちなみにさっきの人は私のお母さんだから。」
「お母さんかなり若いね……」
「童顔なだけ。でも、優しいお母さんだよ。」
「そうなんだ。とても優しいんだね。」
「うん。今回の事もあまり聞いて来ない優しいお母さん。」
自分に言い聞かせるような風に少し悲しげに呟いた
「ところでどうして急に入院する事になったんだ?」
「肺に少し水が残ってて咳と同時に血が出て来たのお母さんに見られて救急車呼ばれたから……」
「なるほど。とても心配してくれるいいお母さんだね。」
「うん……2.3日位で退院出来るからあまり心配しないでね?もう来なくて良いから。」
そう言うと看護士さんが入ってきて僕は部屋から追い出された
どうしようもなく帰ろうとしていると桜のお母さんが戻ってきた
「もうお話はいいの?」
「はい。充分話が出来ましたので。お見舞いも持ってこずすみませんでした。」
「そんな、お見舞いなんていいのよ。それより桜とはどんな関係なくなの?」
「ただの友達です。」
「そうなの?もっと仲が良さそうに見えたから。てっきり恋人かと勘違いしちゃってたわ。」
少し嬉しそうに桜のお母さんが言うと僕もそう見えるのかなと嬉しくなった。
「どうせもう来なくていいって言われたかも知れないけど毎日来ても良いからね?あの子、天邪鬼なところあるから。」
そう言うと「またね。」といい病室に桜のお母さんは入っていった
確かにとても優しいお母さんだった
読んでいただきありがとうございます
少し時間が無く今回から病室の話を数回に分けさせていただきます。
下手な文章ですが読んでいただけたら嬉しいです。
また、感想頂くと意欲がわくかもしれません!
ありがとうございました!