第一章0話 『目覚めの朝』
はじめまして。狩生悠一と申します。
今回が初投稿です!
拙い文ですが、たくさんの方に読んでいただけるよう頑張ります!
――どこだ、ここ。
思わず、そんな言葉が口を突いて出た。
目が覚めてまず感じたのは、気分が悪くなるほどの浮遊感。
上下左右に、まるで全身を激しく揺さぶられているみたいだ。
どういう状況なんだ、これ。
意識が覚醒してくるにつれ、今度は息苦しさを覚えはじめる。
そこで初めて気がついたが、どうやら俺は呼吸をすることすら忘れていたらしい。
そう自覚すると、無意識のうちに酸素を求めて肺が広がり――そこに、大量の水が流れ込んできた。
「――っ!?」
水。水だ。
完全に呼吸をする要領で――下手をしたら深呼吸くらいの勢いで――盛大に水を吸い込んでしまった。
俺は気管に侵入した大量の水をどうにか吐き出そうと咳き込むが、失敗した。
咳き込めなかった。
咳き込むために必要な空気がこれっぽっちもなかったのだ。
咳き込みに失敗して限界まで絞られた肺を元に戻そうと、本能的に息を吸い込み――またも大量の水を飲み込む。
ごぼっ、と。
口から、水だけが吐き出される。
――まずい、酸素が足りない。
全身の神経が警鐘を鳴らして、そう訴える。
痛い。苦しい。
閉じた視界が真っ赤に染まる。心臓が痙攣する。耳鳴りがうるさい。手足が痺れる。頭が痛い。全身が熱い。苦しい。苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい。
(あー……俺、死ぬのかな……)
こんなにも苦しいのに、思考だけはやけに穏やかだった。
恐らく俺は、このまま死ぬ。
それを、驚くほど静かに受け止めていた。
(別に死ぬのは怖くないけど、死にたくないなぁ……)
そんなことを考えながら、着実に近づいてくる死を待っていると――
ざばん、と。
突如、水面が破られる音がした。
(……なんだろう)
もはや反応するだけの力も残っていない俺は、ただそう認識するのみ。
その直後だった。
つい先ほど水面を破ってきた何かに腕を掴まれ、強い力で一気に水から引っこ抜かれた。
「おい! 大丈夫か!! って大丈夫じゃねぇよな見りゃわかる!!」
騒がしい声の主に地面に転がされた俺は、自分で水を吐き出すこともできないほどに衰弱していた。
「待ってろ、すぐ助けてやるからな!!」
遠退く意識の中でそんな声を聞きながら、俺は再び意識を手放した――。
こんな感じです。
不定期更新ですが、週に一回は更新したいと思ってます!