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宝船

作者: 尚文産商堂

我が家には、先祖伝来の宝船の絵がある。

12月1日から1月15日まで、ずっと飾り続ける絵だ。

本来は旧暦であるらしいのだが、明治期に新暦になった時点で、太陽暦にしたがって飾ることになった。

「今年も、無事に過ごせました」

柏手を打ち、いつも飾るべき場所、床の間の掛け軸と入れ替えてお祀りする。


そして大晦日になると、百貨店で注文したおせち料理も届き、親戚一同勢ぞろいした。

その中でも18歳以上の男子が宝船の前で今年一年のお礼を言う。

祝詞のように述べ奉ると、船は自然と光り出す。

「おお、七福神さまが参られました。千歳、万歳、万々歳」

伏して私が言うと、千歳……と後ろの方で話す言葉が聞こえてきた。


その日1日はずっと起き続け、正月を迎える。

「新春あけましておめでとうございます」

勢ぞろいした面々の中で、新しく親戚となったり、結婚した人を紹介する。

その日、私たちが全員眠ると初夢を見た。

「今年も、よろしくお願いいたします。あらたに子供が生まれ、婚姻を結び、そして別れがありました」

「そうか、今年もよろしく願おう。いつも通りに祀ることができたようだな」

「はい、おかげさまで」

私がその人に言うと、頭を撫でられる。

「福を授けよう。この1年の福を」

それを受けてからゆっくりと目覚める。

これが私の家の年末年始のできごと。

宝船は福をもたらしてくれる、最高のパートナーだ。

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