第八話:旅の中断 その1 氷機VS順子 戦闘開始
『引き離すようなことをして、ごめんなさい』
『いえ、ここまで眼鏡談義をできる方は・・・いませんから』
途中、退室していた
愛理ちゃんとラビリアさんが
開発用のラボでシステムの話をしていたみたい
眼鏡談義と言っているけど
天球でも電脳異空間でも
同じシステムが使われていて
構築される原案は愛理ちゃんのもので
それを完全版として使うのがラビリアさんで
お互いが交流することで
真の完成がなされたみたいよ
『愛理さんの原理は素晴らしいです、これが無ければデータ化も不可能でした』
『私の理論がこんな形で完全な世界を構築させるなんて、ラビリアさんこそ天才です!!』
まあ、お互い尊敬し合っている
元は愛理ちゃんだけど
世界丸ごとのネットワークとして構築させたラビリアさんも凄いよね
この技術は、愛理ちゃんがラビリアさんと共同で
更に発展させるらしい
3週間あるから、集中してこの世界をよくするんだって
愛理ちゃんは、基本的に科学者気質だから
一度スイッチが入ると、延長してでも残りそうだけど
以内で終わることを願うのみだね
氷機に関しては、あたしが単独でも出れば問題ないでしょ・・・
『順子・・・あくまでも部隊だからな、お前だけが無理する必要はないぞ』
『ライン隊長、心遣い感謝いたします!!』
正式ではないけど
一時的な入隊となりました
臨時隊員扱いらしい
『ここまで軍服の似合わないヤツも珍しいな・・・順子は学生服のイメージが強すぎる』
『民間人を兵士にしたんです、仕方ありません・・・としか言えません、ううっ』
『いいんだ、軍服なんて似合わない方がいいんだぞ・・・』
妙に優しいラインさん
別に不安とかないのだけど
そんな風に見えるのかな
少しだけ、臆病な新人隊員でも面白いかも
『順子殿、愛理殿よりこれを預かっております』
六花さんから、デバイスを受け取る
・・・
これは、こちらでの装備かな
『ラビリアシステムを導入したのだろう、この世界では必須だからな』
『そうですか・・・』
今のを外して、装着し直す
あれ、これは・・・装備者の属性でフレームの色が変わるみたい
『順子、赤いフレームでも似合うな・・・』
愛理ちゃんのデバイスは
生徒会でお揃いの青いフレームだったの
少し未練もあるけど
ラビリアさんとの共同の属性を増幅させるシステムも面白そうだから
『愛理さんからの伝言で、切り替え機能を付けました、だそうです』
あたしの未練を把握している愛理ちゃんだったか
切り替え機能・・・元のデバイスと同じ青いフレームにもできるみたいで
このまま戻っても、そのまま使えるようにかな
『順子さん、お久しぶりです・・・副隊長のレッドです』
!?
お・・・レッド君だ
ラインさんが会わせないようにしていると思ったのに
もしかして、レッド君には話をしていなかったとか
『3週間だけの臨時入隊です、よろしくねレッド副隊長~♥』
色々と怖いので握手だけにしておきました
思い切り抱擁して、誘惑してもよかったのだけど
でも、あたしよりもレッド君の方が積極的だったのは・・・驚きでした
レッド:「覚醒していることは、まだラインには秘密にしててくれないか??」
順子:「デーモンシステムですか・・・あたしには話すのですね」
レッド:「お前の方は、今回は使いやすいようだから・・・ふふふ」
順子:「あら、あたし・・・使い捨てですか、子種と交換なら構いませんよ~♥」
レッド:「約束はできないが、別の機会を用意してみるか」
順子:「もしかして、あの計画にあたしも含まれるのかな??」
レッド:「あ、ああ・・・あれか、そうだな」
順子:「だったら、それでいいわ・・・こちらのレッドさんに加担できれば」
レッド:「お前も上だか下だが忙しいな・・・頂点はもっと堂々でいいと思うが??」
順子:「素敵な殿方の前では、頂点も関係ないのよ・・・ただの女で構わないの」
レッド:「俺に魅力を感じているという答えでいいか・・・」
順子:「トップを従えた“赤い絆”は無敵よ」
レッド:「そうか・・・すまない、ラインが戻ってきたようだ」
ここで中断してしまったが
素敵な3週間になりそうです
レッドさん(覚醒後)とレッド君(演出の覚醒前)と両方で色々と遊べるかな
『・・・まあ、レッドからだろうから~!!』
隠せてない感じね
ラインさんもある程度は、把握しているかもしれない
あたしの前にレッド君がいるのは
挨拶だけではないと
『お母さん・・・ごめんなさい、順子さんと愛理さんにご挨拶をしたくて』
『・・・うううっ、私を気遣うのはいいが・・・隠し事は、本気で泣くからな』
ある意味、親バカな面のあるラインさんだが
母子というよりも夫婦なイメージが過去からすると
あたしにはあるので
自由奔放な旦那に振り回される、健気な妻に思えて
少しだけ、ラインさんを同性として
申し訳なく思って
変なジレンマに襲われてしまいそうです
母子も夫婦も実際に関係を築いたことがないので
正直、わからないけど
ラインさんとレッドさんを見ている限りは
どんなに大変だったとしても、お互いを愛しているから
楽しのかなって
『今だけ副隊長ではなくて、レッド君に忠告しますね・・・ラインさんをもっと大事に思って下さい』
これだけは、どうしてもラインさんの居る前でレッド君へ伝えたかった
ライバルとか関係なく
この絆だけは、あたしには壊すことはできないと思ったから
『順子さん・・・わかりました、本当に優しいのですね・・・僕を狙う頂点には思えませんよ』
『ふふふ、いいのよ・・・それとこれは別件ですから~!!』
と、疑心暗鬼になり兼ねない少しだけダークな順子でした
でも、マンネリ化しないためにも・・・多少の刺激は必要よ
レッド君がラインさんに燃え上がるような愛情を注げるように
あたしの身体が使い捨てでも構いません
認知もしなくても、彩ちゃんと一緒に育てるから・・・安心して下さい
『順子は、私を怒らせたいのか困らせたいのか・・・どうしたいと思っている??』
『あたしは、単純に夫婦円満の潤滑油として力添えできればと思っただけです』
嘘は言っていない
本心でもあるし
ただ、自分の欲望も満たせる方向ではあるけど
『お母さん、順子さんは僕とお母さんのことを心配してくれているのですよ!!』
・・・正直、嘘くさいですがレッド君の息子バージョンは
あくまでも一途に母を思う息子だからね
それに、これも嘘ではないだろうから
限りなく偽りに近い真実みたいな感じだろうか
『・・・ああ、どうしても順子とレッドっが絡むと私には不利でならないから』
まだ、遺恨が深く残っているのね
仕方ないとは思うけど
あたしだって、完全には忘れることはできませんから
それでも、お互いの方向性は同じだし
ある方・・・まあ、名前を伏せる意味は特にないけど
そのある方の計画の遂行も兼ねているし
ラインさんとあたしのタッグは
今まで対立は幾度とあったけど
完全な共同は、初めてかもしれないし
これで決着できる可能性もあるから
無限に続く女神の柵をぶち壊す事も可能かもしれない
更に、そんな柵を本気で覇者にまでなって壊そうとしている女神もいますから
今回は期待大ですよ
『まあいい、今回は争うのではなくて・・・一緒に組んだのだからな』
『そうそう、あたしもラインさんも同じ目的で動いているのですから・・・仲良くしましょう』
冗談ではなくて、遊びでも茶番でもなく
本気の順子を頂点としてとかも関係なく
純粋に思うままに動くのみです
『氷機の襲来があるまで、待機しててくれ』
恥ずかしくなったのか、ラインさんはそう言い残して司令部から出ていった
素直じゃないな~
ここは、普通に握手で“お互い頑張ろう~”の流れよね
『ラインさんって、恥ずかしがり屋ですよね・・・レッド君??』
『・・・そうですね、僕に対してでもありますから』
まあ、レッド君には最愛の相手だもの
あるのは当然だと思うけど
折角だから、氷機の来るまで
レッド君との会話を堪能しよう
『今回は、どのあたりまで話してもいいのかがわからないから・・・影響のない話をしましょうか??』
『わかりました、コードに関してはシステムから話があると思いますから』
コードは、おそらくジオクロニクルの規定でしょうね
女神に準ずるものではあるけど
リーアの作った世界全てに適応されるルールのようなものだから
『あ、でも順子さんと僕なら・・・そのコードを外れた事も可能ですよ』
『え・・・そうなの!!』
うふふ、面白い事を聞きました
あたしとレッド君でジオクロニクルを外れた事を・・・ね~♪
『それは、楽しみにしているわ~♥』
『エリアさんが詳しい情報を今収集していると思いますから』
あ、そういう事だったのね
だからエリアさんをあたしの代理として天球というか
あそこはエルラウンドよね、リーアのデータを寝ている間に・・・ってことよね
『ふ~ん、面白い事考えたわねレッドさんは・・・』
『さんと君、どちらかで統一しませんか・・・僕は対応に若干だけ困りますし』
あら・・・悪かったかしら
どうしましょう・・・この見た目が変わらないなら
『ごめんなさい、システムに引きずられていると大人な状態を思い出してしまうので』
『そうでしたか、でも今回は・・・多分、覚醒してもこのままですよ』
やはり、完全な覚醒はというか
元の姿にはならないみたいね
変な趣向はないのだけど、子供なレッド君の方が可愛いから素敵
『どちらでも、あたしを愛してくれるなら構わないです・・・なんて、ラインさんが聞いたら殴られそう』
『殴って欲しいなら、いつでもそうするが!!』
すぐにラインさんが戻ってきて
今の話を聞かれてしまって
あたしの頭を思い切り殴ってきた
『うっ・・・』
『お母さん!!』
あたしとラインさんの間にレッド君が入り
殴った後に、胸ぐらを掴む状態を制してくれて
『冗談でもレッドに対しての事は、ダメだとさっきも言ったろ・・・』
そのまま六花さんのところに歩いていった
どうやら、お手洗いに行っただけだったみたいで
5分もしないで戻ってきた
『更年期ですか、ラインさんは・・・違いますよね、女神にそんなものありませんし』
『僕以上に、あなたへの疑心暗鬼度っが高いから・・・言動には注意した方がいいかもしれません』
そうか・・・
ラインさんが居るとか以前の問題で
表では、控えるようにしましょう
どちらにしても、核心はシステムとの対話ですからね
でも、レッド君とイチャイチャしたい~!!
あ・・・そうか、ラインさんも入れない聖域展開すればいいのよ
いくらこの世界の守護者であっても
あたしの聖域を脅かす事は不可能だろうし
『小声で・・・(後で、あたしの聖域でイチャイチャしてもいい??)』
レッド君の耳元で囁くように質問した
勿論、ラインさんの死角になるようにして
『順子さん・・・(そこまでして僕と遊びたいのですか??)』
『だって・・・(折角の滞在ですもの)』
『仕方ないですね』
優しいレッド君が、背徳を感じながらも
ラインさんに内緒で
あたしとイチャイチャしてくれると約束してくれました
『これで、我慢できます』
『女神の性欲も大変ですね・・・女性だから、難しくないですか??』
あら、心配してくれるのかしら
嬉しいわね
女神は心が解放されて欲望をより忠実に理性を突破して本能で動く存在だったりするから
微弱な性欲でも
特化したものになる場合もあるの
だから、とは言わないけど
あたしだって、誰でもいいわけじゃないし
特定の・・・特にお気に入りの相手には欲情してしまうみたいで
『基本的には、フラワーが相手をしてくれるからいいのだけど・・・殿方にはあまり興味ないですから』
『そういえば、女性が好きだって言ってましたよね・・・でも、何で僕なんですか??』
まあ、その疑問は当然よね
女性が好きだと公言しながら、レッド君に欲情しているのだもの
特別な異性にだけ反応する、これこそ本能だと思うのよ
『本気で好きだと思える殿方にだけ、あたしの乙女心が反応するの・・・だからね♥』
『そうですか、順子さんが僕を本気で好きだと言いたいのですね・・・嬉しいですが、複雑な心境です』
ですよね・・・
女性に好きだと告白される事は、悪いことではないと思うし
自分で言うのも変だけど
それなりのルックスだから
あたしへも、フリーだったらOKだった可能性もあったかもしれないし
『どんな形であれ、浮気をすることに対しての抵抗は・・・』
『ごめんね、あたしの勝手な暴走に付き合ってもらって』
あまり、困らせると
チラチラ見てくるラインさんの鉄拳が再び襲ってくるかもしれないから
『話題を変えましょうか・・・あたしもレッド君が困るのは嫌だし』
『気を使わせてしまって、すいません・・・ライン、あ、お母さんも悪いですから』
レッド君、少し動揺しているのかな
それとも覚醒への反動の影響でもあるのかな
これは、あまり遊ぶには注意しないとダメかもしれない
『順子さん、問題はありませんよ・・・一時的な発作のような感じですから、反動とかでは』
『レッド君まで、あたしの心を勝手に覗かないでもらえませんか!!』
ラインさんは、普通の状態で行っているみたいだから
正直、無理に防ぐとかしても無駄な部分もあったりするけど
レッド君に関しては、察してくれると思って
必要以上な防御をしなかったから
今後、注意しておこうと・・・あ、逆に利用させてもらう方向もあるわね~♥
『レッド君なら、いいわ・・・好きなだけ、あたしを覗いてもらって構わない』
『って、どうして服を脱ごうとしているのですか・・・順子さん!?』
おっと、思わず誘惑を勝手にしてしまうところだった
ラインさんが見ていなかった・・・セーフ!!
こちらは注意して抑制しないとダメね
『ごめんなさい、ラインさんが構ってくれない時には・・・あたしを代理に使ってね』
『順子さんこそ、不安定な状態なのでは??』
レッド君の優しさは
心に浸透しますね
『レッド君が不安を拭ってくれれば・・・』
『お母さん次第だけど、僕と順子さんで出撃できるようにしましょう』
許すとか思えないが、レッド君の交渉に期待しないでおきますか
単独でも別に問題はないでしょうから
氷機は過去に何度か交戦経験もありますし
極端な発展も見受けられないようだから
『特別にレッドとの出撃を認めようじゃないか・・・完全監視を私がしている事を理解した上でな』
『・・・ふふふ、距離は監視に影響しますから』
珍しくというか、レッド君の交渉というか
あたしとレッド君で氷機討伐の出撃になった
愛理ちゃんは、ラビリアさんと新システムの構築作業を急ピッチで行っていますから
できるだけ出撃は、あたしが行うとラインさんに打診して
最初はラインさんと一緒に出るのかと思っていましたが
こちらを考慮した選択なんだろうか
違和感しかないと、言っておきます
『お母さん、僕を信じてくれれば・・・それで監視のみにしてくれたみたいですよ』
『つぶらな瞳で純粋に訴えたのですか?? レッド君はラインさんを弄ぶの好きですよね・・・』
『二人共、私はいいから早く出撃準備してこい!!』
あたしとレッド君を強引に送り出そうとするラインさん
色々と複雑な心境だとは思うけど
別に、あたしだってケダモノではないから
仕事はしっかりとしますよ
『ラインさん、ごめんなさい・・・』
冗談でも言って
和ませようとしたが
出てきた言葉は、謝罪だった
あたしも、弱い心があるみたいね
『順子さんもラインと同じですね・・・ふふふ』
司令部を出て少し歩いたところで
レッド君が急に、あたしの胸を触ろうとして
『サイズ的な問題ですか・・・レッド君なら、好きにしてもいいですよ』
身長的に届かない距離ではなかったけど
伸ばしてきた手をあたしの胸ではなくて
手を取り、再び走り出した
『勝利報酬として、お願いしますね・・・順子さん』
あら、モチベーションを高めるための行動だったのかしら
ラインさんは、いつもしているのだろうか
やはり、レッド君も男なんですね
『うふっ!! いいですよ、勝ちしかありませんから』
戦いの度に、レッド君と戯れができるのだとしたら
あたしの方がモチベーションを高ぶるじゃない
『女神の取り扱い・・・やっぱり上手ですね、あたしを乗せるのも含めて』
『気のせいですよ、僕は皆さんに頑張ってもらえればいいと思っているだけです』
謙遜ではなくて
本当の意味で、素直なレッド君の言動が
女神に対しては、特に影響しやすいのかもしれませんね
『そういうことにしておきます・・・レッド君のハーレムにあたしも入れてもらえるみたいだから』
『・・・ハーレムですか、僕が中心の世界』
そうそう、女神以上に欲望に忠実な存在になってね
理想の世界にレッド君のようなカリスマは必須なの
女性同士もだけど、基本は男女だから
愛とはね
『素直に愛を欲する永久の探求者ですから、あたしも多分ラインさんもです』
通路を移動して
装備のある格納庫に到着した
この世界では、戦う際に宝石に対応できる武具デバイスを使うみたい
ライン:「順子~聞こえているか??」
ん!?
部屋の上部から声がする
テレパシーではなくて、館内放送みたいね
ライン:「同じ火属性だから、私の装備を貸しておくぞ・・・頑張ってくれよ」
ラインさんの装備で戦うのか
これは、色々と楽しみです
『順子さん用にアジャストをしますから、ここに手を触れてもらえますか??』
『あ、わかりました・・・』
属性が一致していれば、稼働可能みたいで
あたしが装備の一部に触れると
全体が赤く輝いている
『ありがとうございました、ラインさん専用ですがアジャストして順子さんでも使用可能になりました』
専用ではなくて、兼用に一時的にしてもらったみたい
ルビー保有者であれば、使えるみたいで
レッド君も使うことができるらしい
しかも、無調整でいいんだって・・・これは愛の力だろうか
『無駄に大きい気がする・・・これを持って戦うの!?』
威力はあるかと思うけど
大きさが無謀すぎるくらいあって
ラインさんなら、ギリギリな気もしますが
あたしが持つと・・・もう、乗り物みたいな感じです
『重さは感じないと思いますから、順子さんでも問題なく扱えますよ』
ニコニコしながら、自分の装備を準備しているレッド君
彼の持つ装備は・・・両手に2丁の拳銃
なんだろう、この差
でも、レッド君に凄く似合うのは否めない
カッコ良すぎる~♥♥
『・・・うん、頑張るわ あたしをサポートしてね~♪』
3か4メートルくらいはある分厚い刀
愛理ちゃんの保有している“次元刀”を元にラビリアさんが開発した武具デバイス
『順子さんは、攻撃スキルは遠近どちらが得意ですか??』
『遠近・・・そうね、どちらかと言えば遠距離かな・・・近接は速度的に不利だから』
戦いの方法を確認したのかな
と、思ったのだけど
この装備に関する話みたいだったようで
『じゃあ、順子さんが後方射撃にしましょうか?? これ砲撃も凄いですから』
『砲撃?? これ刀よね・・・え、どういう事!?』
“ディメンションブレード”という名称で
巨大な刀なんだけど
これ、ギミックがあって
刀と砲銃と可変できるんだって
ブレイクエディションとバスターエディションの切り替えが可能
『可変は前線に移動したら、行って下さい』
『うん・・・』
半信半疑な返答をしてしまった
まあ、実際に可変してみればわかるよね
『どうも、私は心配性なようで・・・順子、直接伝達しておくから』
『ん!? うっ・・・』
急にラインさんが現れて
唐突にキスされる
ラインさんのキスには、必ず何かしらの効果を持って行う事があるから
これも意味を持つキスなんだろうね
『すまん、順子・・・私の戦闘記録を伝えたから』
出撃前にラインさんのキスは危険過ぎる
腰から砕けるように、あたし地面に座ってしまっているし
『大丈夫ですか・・・ラインに悪気はなかったと思いますから、怒らないで下さい』
『・・・はい、素敵な口づけでした』
あたし、何を言っているのだろう
でも・・・装備の扱いをラインさんから直接伝達されたみたい
『レッド君、行きましょう!!』
『頑張りましょう、順子さん!!』
さて、出撃です
しかもレッド君とランデブーよ~♪
不謹慎とか気にしません、士気の上昇だと思っていますから
気合の入り方も違います
第22部隊専用回線ON
メインコントロール:ライン
サブコントロール:六花
遠隔誘導:レッド・順子
ライン:「以後、ここで基本的な会話を行います」
六花:「レッド殿、順子殿よろしくお願いします」
レッド:「六花さん、こちらこそよろしくお願いします」
順子:「六花さん、よろしくね~♪」
ライン:「状況や解説等は六花がリアルタイムで行う、指揮系統は私が出す」
レッド:「要訳は僕が順子さんにしますから、通常で構いません」
六花:「順子殿、把握できない場合はレッド殿から確認をもらって下さい」
順子:「わかりました・・・レッド君、お願いね☆彡」
ライン:「・・・これは、私にどこまで耐えられるのか苦行だな」
六花:「隊長殿・・・自分でよければ、はけ口を受けますが??」
ライン:「いや、ダメだ・・・耐え切ってみせる、順子に負けるわけにはいかない!!」
順子:「その方向でいいのかしら、あたしも交戦中は知りませんよ」
レッド:「真面目に戦闘をして下さいね!!」
眼鏡デバイスを戦闘モードに切り替える
基本スペックが各所表示されている
トラフィックデータには、氷機は表示されていない
六花:「順子殿、広範囲状態で表示して下さい」
順子:「あ、わかりました」
限界範囲を拡大していく
無数の移動する物体が見える
これが氷機の部隊ね
レッド:「順子さん、標的を捉えましたか??」
順子:「はい、映りました」
レッド:「では、出撃します・・・先に行きますよ順子さん??」
装備をポケットスロットに入れているレッド君
両手が自在に使える状態での移動
メインが今回あたしだから
臨機応変に行動できるようにしてくれているみたい
あたしは、巨大な装備を乗り物のようにして移動する形になる
近接ではなくて、遠距離砲撃を主体とする状態で
ある程度の距離を氷機部隊との間に設けるから
その維持をレッド君が行ってくれる
順子:「ロケットの射出みたいね・・・順子も追走で出ます~!!」
先行するレッド君を追うようにあたしも出撃開始です
簡単に空間転移でもいいかと思ったのだけど
この世界は、天球と大きく異なり
女神のスキルに制限があったりする
特に移動スキルには面倒な条件があるみたい
ラビリアさんが世界の維持を容易にするための処置らしいのだけど
その辺も含めた、新たなシステムの開発と構築を愛理ちゃんと一緒にしていて
それが、完成したら
女神は特に有利な戦いが可能らしいよ
でも、飛行スキルや高速移動できるスキルは
ほぼ自在に使えるみたいだから
自分の耐え切れる速度なら、出来るだけ使っていこうと思います
装備の質量は、影響していない
移動による空気抵抗も
流線型に近いから、比較的少ない
あたしも後方で抵抗を受けにくい場所にいるし
文字情報で自分の動いている速度が表示されていて
時速換算で420を超えたところ
順子:「レッド君、速すぎるよ~追いつけない~!!」
レッド:「ごめんなさい、先に順子さんが戦いやすい環境を構築しておきますから」
倍以上の速度で移動しているレッド君
あっという間に氷機部隊に接近していく
あたしのための行動なら、いいのだけど
一緒に移動なんて、思ったの・・・帰りでもいいかな、うふふ♥
レッド:「氷機部隊と交戦開始します・・・」
六花:「レッド殿、フェイズ2です」
フェイズ2??
行動を段階で表示しているみたいね
移動して攻撃開始して・・・うん、ここは聞かなくてもいいなか
トラフィックの氷機が徐々に減っている
規則的な攻撃をしているみたいで
ある程度すると、攻撃がしなくなって
レッド君が移動している
レッド:「六花さん、フェイズ3です」
六花:「順子殿が所定地に到着しています」
常にデータがリアルタイムでデバイスを通じて入っているから
誰がどの位置で何をしているかを六花さんは把握している
順子:「レッド君のおかげで、攻撃開始位置に到着しました~」
六花:「アンカーを起こして、射撃を開始してくれますか??」
アンカーとは、固定具のことです
砲撃タイプのこのデバイスは
戦艦を破壊できるだけの大砲らしいです
だから、女神であっても
この反動を大きく受けるみたい
順子:「アンカーの設置完了しました、氷機へ攻撃を開始しますね」
六花:「ターゲットはオートで行われますから」
よ~し、バンバン倒しますよ~!!
長距離砲のスキルは・・・フレイムキャノンかフレイムバーストあたりかな
連続照射優先で中距離のファイヤーショットでもいいかもしれない
相手の数値はそれほど高くないから
ファイヤーショットで様子を見ましょうか
『ファイヤーショット オープン~!!』
連続使用なんて、普段しないから
少し緊張しました
でも、天才的なあたしの技量であれば
問題は一切ないわ
順子:「うふふ~♪」
火属性の中距離攻撃スキルを連続で射出して
次々と氷機にヒットさせて、倒していく
増援もあるみたいだし、早めにこの部隊を全滅させましょうね・・・