第十一話:旅の中断 その4 完成した愛理ラビリアシステムの概要
あたしとラインさんとレッド君と愛理ちゃんとラビリアさんがラボに集まっている
元々、愛理ちゃんとラビリアさんの二人でここで作業を行っていて
世界を管理するシステムの再構築をしていて
それが終了したみたい
『順子・・・あまりレッドさんを誘惑してはダメですよ』
『誘惑されたのは、あたしの方なんだけど・・・愛理ちゃん』
あたしがラインさんとレッド君と一緒に来た事で
そのように思ったのでしょうね
愛理ちゃんは、基本的にあたしが悪いとまず考えるから
『愛理・・・少しは、順子を信じてもいいと思うが~!?』
珍しい、あたしを擁護する発言をラインさんがするなんて
もしかして・・・レッド君が変化している事を既に把握していて
あたしだけが悪いのではないと、知っているの??
『そうですね・・・でも、順子はこの方が楽しいと感じてくれると思いますが??』
ネタ的な発言だったの・・・
あたしが楽しいから!?
いやいやいや・・・愛理ちゃん、少し違うから
『愛理さんは自分の好きなようにすればいいですよ、順子さんもそれで構わないかと・・・ですよね』
ラビリアさんは、ちゃんとわかっているみたいですね
こんな出来る相棒は・・・ラインさんには、勿体無いですって
なんて、思いませんが
あたしでは、スムーズな流れで進行するラビリアさんでは
ダメだろうね
愛理ちゃんが、微妙に間違った方向であたしを認識していて
そんな違いに翻弄されるくらいの方が面白いと・・・
あれ、面白いって感じるのね
じゃあ、愛理ちゃんの思っている事って・・・間違ってないじゃない!!
『愛理ちゃん、ごめんね あたし、愛理ちゃんの事・・・好き♥』
『順子・・・♥』
思わず抱きしめてしまいました
何か、言葉で色々と伝えたかったけど
単純に“好き”だけ、わかってもらえればいいかなって
『この素直な表現は使えるかもしれない・・・今度、試してみよう~♪』
ラインさんが呟いて
微妙にあたしに聞こえるくらいな音量で
レッド君に実践してみてよ、効果的だと思いますから
普段あまりしない行動の方が、ツンデレ気質ではないけど
ギャップにレッド君もメロメロに・・・
いや~最初からラブラブじゃない
『ラインさん、基本的に無駄ですよ・・・既に成就している相手ですから』
『順子は変に器用だよな・・・愛理も大変だろ~!?』
あたしの何が変に器用で
何が愛理ちゃんに大変だと投げかけたのよ!!
特に普通な状況じゃない
『順子はいつも通りですよ、私は特に苦労はしていませんから』
『そうよ!? 何で、勝手に変な感じにしてるのよラインさん~!!』
ほら~愛理ちゃんも普通だって言ってるじゃないの~!!
ラインさんの方が、見方が変なんだよ
もう、困るわ
『ラビリアさん、茶番はこの辺で終わりますから・・・すいません』
『いいのよ、ラインも同じだから・・・気にしません』
え・・・!?
何、この会話??
あたしとラインさんが変みたいな流れよね
『愛理ちゃんも、あたしが変だと思っている??』
『・・・正直に答えても、泣かないなら言いますが』
うううっ~。゜(゜´Д`゜)゜。
愛理ちゃん、信じていたのに~!!
完全にアウェーよね
『順子さん、愛理さんは多分ですが最初から一貫して変わっていないと思いますよ・・・あなたへの価値観や接し方などは』
『嘘!? そうなの愛理ちゃん??』
『ここで嘘を言っても無駄だと判断しましたから・・・ラビリアさんの言った事は事実です』
『・・・あたし、また泣くじゃない~!!』
かなりの・・・いや、相当の長い付き合いの愛理ちゃんが
そんなスタンスだったなんて
ここでは、嘘でも違うと言って欲しかったよ~
『ウワ━(。・ω・)ァァ━・゜・ 愛理ちゃんのイジワルゥ~うううっ~!!!』
号泣ですよ
今までの関係が偽りだったのよ
擬似的な恋愛な感じだったのは、別にいいのだけど
麻里華さんがいるから、その繋ぎでもよかったの
でもね・・・お茶目な言動を受け入れてくれていたから
親友以上恋人未満は、あると思ってたのよ~
『おい、泣くな順子・・・密な関係だと、別れる際に辛くなると判断したからだろ・・・な愛理??』
『・・・微妙に違うのですが、ある程度はその通りです・・・順子との関係は、麻里華とは別の親密なものとなってしまいましたから・・・離れる事を考えてません、だから別れる辛さではないです』
『愛理さんは、別にあなたを嫌っているわけではないから・・・泣く必要はありませんよ、順子さん』
本気で悲しかったから・・・密な関係とかではなくて
あたしに対する価値観とか対応が、思うものではなかったから
『順子・・・私、最初はあなたの事は大嫌いだったの』
『・・・え!? 大嫌いだった・・・ううっ』
大嫌いって、だから無理に付き合っていたのね
だとしたら泣くのは、あたしじゃないじゃない
『・・・ごめんなさい愛理ちゃん、無理に付き合わせてしまったのね・・・もう、解放だから』
ダメだ、愛理ちゃんとお別れするのは
抑えることのできない感情・・・涙が水たまりになるくらい
『順子さん!? 話をしっかりと聞いていますか?? あなたへの想いをちゃんと把握しているのですよ愛理さんは、だから・・・今のあなたの反応は間違っています!!』
唐突にラビリアさんが頬をビンタしてきました
基本的に眼鏡を愛するラビリアさんは
相手の付けている眼鏡があるから
首から上への攻撃はしないらしいのですが
ほぼ、咄嗟な行動だったみたいで
叩かれた瞬間にデバイスごと眼鏡が宙に舞う形になったから
そこに慌ててダイブして自分の上をクッション扱いで
あたしの眼鏡を守ってくれた
『・・・順子さん、ごめんなさい』
何故だろう・・・ラビリアさんは、眼鏡に謝罪している
叩かれたのは、本体なのに
それだけ、動揺していたみたいで
この後、本当の謝罪がありましたよ
『ラビリアが、顔に攻撃なんて・・・順子と愛理の関係を本気で心配してるみたいだな』
『順子・・・これからは私の気持ちが真っ直ぐに伝わるようにしますね』
呆然と立つあたしの頬を手で優しく抑えて
癒しのスキルかな・・・痛みが和らいでいく
『物理的な痛みは、これで大丈夫です・・・後は、心の痛みですよね♥』
このタイミングでの愛理ちゃんからのキス
これは、仲違いを正す意味があったみたいで
・・・柔らかい感触
はっきり言って、本気で悲しかったのよ
しかも、卑怯な流れじゃない
って、勝手なあたしの妄想だと思います
そうでなければ、この展開は矛盾すぎますから
『現実逃避は・・・胸の中だけで止めて、表に出すのは自重しておけよ!!』
『うん・・・ラインさん、ありがとうございます』
愛理ちゃんにキスされ
ラインさんに抱きしめられ
う~ん・・・このまま、あたし浄化されてしまうのかしら
そんな、悪役な気分だったけど
消えるわけにはいきません
あたしが、新世界の頂点として
この世界同様に君臨するのだから
そんな野望を抱き
全てを踏み台にして、あたしは欲望を叶えるのよ~!!
『やはり、順子・・・お前は器用だと思うぞ、喜怒哀楽を同時に出来るのじゃないか??』
色々とあったから、防壁がしっかり機能していなかったみたいで
今の思想は筒抜けだったのね
まあいいわ・・・事実だし、嘘を心で言っても意味がないですから
『ここまでが茶番という事でいいですか、順子さん??』
『え!? ああ~はい、そうです・・・ここまでが茶番です、お待たせしてすいませんね』
一番の驚きでした
ラビリアさんが・・・ギャグの構築にしてくれた事を
でも、これで一連の流れがネタ的に思えるから
『本題に入りますね、私と愛理さんとで新たなシステムを構築させました事をご報告します』
あたしのせいで、無駄な時間を過ぎてしまったから
真面目にラビリアさんの説明を聞いています
『二つの世界の管理をラインと順子さんで自在に可能とさせました・・・』
うん、これは愛理ちゃんから聞いたよ
その仕組みも途中までね
『更に、私と愛理さんも管理できるようにしてあります・・・4名体制で二つの世界を管理しますよ』
『は~い、頑張りま~す!!』
素直に発言してしまった
実際、頑張るのは当然だから
意思表示としては、当たり前よね
『システム運用にあたり、大きな変更点をまとめてデバイスに記してありますから・・・この新しいデバイスを着けて下さい』
ラビリアさんと愛理ちゃんは既にその新しいデバイスを装着しているみたいですね
それをあたしとラインさんに手渡す
『レッドさんは、そのままで構いません・・・元々独立したシステムで動いていますから』
『わかりました、ラビリアさんの新しいデバイス少し期待していたのですが・・・』
残念そうに、あたしとラインさんのデバイスを見ている
二人の構築したシステム以上のものを持っているから
でも、眼鏡だけはラビリアさんの新調したものを手渡していて
特別扱いじゃないの・・・これは、ラインさんとのラブバトルを期待してしまうわ
『わ~、ラビリアさんの新しい眼鏡だ~!!』
無邪気な反応をするレッド君
それを見て、顔を真っ赤にして照れるラビリアさん
当面の間、これでラビリアさんは使い物にならないらしいから
『途中交代は、このためでしたか・・・自分の変化もしっかりとプレゼンに盛り込むなんて、私にはできません・・・ラビリアさん、後は私が説明しますね』
交代して今度は愛理ちゃんが、説明の続きをしてくれるみたい
ラビリアさんとレッド君が部屋を出て行ってしまいました
それを、何食わぬ顔で見過ごしたラインさんだったが
内心は大変な事になっていることでしょうね
でも、留まれるだけの精神力には見習わないといけないかも
『あたし、ラインさんを見習わいたいと思います・・・』
『何だ、急に・・・別に私は気にしてないぞ!!』
内容を言ってませんでしたが
あたしの心を察知しての発言よね
面白いけど、見習う点は事実だから
『二人共いいですか!?』
『あ、愛理すまん・・・続けてくれ』
あたしも、頷いて合図しました
軽く咳払いして、説明を再開する愛理ちゃん
『コホン・・・共有世界となりましたので、特別に天球だけは電脳異空間との往来が自在に可能ですがお互いのゲームには基本干渉しないようにして下さい』
『今回は除外で構わないのだろ??』
『リーアさんの繰り返し問題ですか・・・そうですね、ラビリアさんとも話しましたが緊急事態と判断しましたので除外という形で構いません』
今までの全てをリセットされてしまったら
色々と問題が生じてしまうからね
むしろ、存在自体が残るのかも疑問だから
『細かい仕様に関しては、より完成度の高いラビリアシステムを優先しました』
『愛理はそれでよかったのか??』
『基本的な部分は私が構築したシステムですから・・・それに、名前を先にしていただきましたから~♪』
名前の順番ってそんなに大事なのかな
愛理ちゃんが嬉しそうにしているから、大事なんだろうね
“愛理ラビリアシステム”って凄く恥ずかしい気がします
あたしが科学者で自分の開発したシステムには絶対に自分の名前は入れないと思う
『自分の名前入りは特別な気がするからな・・・私は恥ずかしいから、あまりしないけどな』
ラインさんも恥ずかしいみたいね
特別な感じはわかりますけど、やっぱり愛理ちゃんは凄いよ
『順子には、後で個別に変更した仕様について話しますね・・・多分、ラインさんには不要な部分になると思いますから、今は他の箇所を説明しておかないといけないから』
『うん・・・二人きりでお願いね~♥』
よし!!
愛理ちゃんとの個別指導をGETしましたよ~♪
今後は麻里華さんとのイチャイチャがメインで、あたしは・・・
あ、そうか彩ちゃんが居るんだった~♥
でも、愛理ちゃんとのスキンシップも大事よね
う~ん・・・このジレンマは、どのように解消したらいいのかしら
『この、勢いは私も見習う必要がありそうだ・・・それとなく押す感じはレッドに使えるだろうか??』
何だろう、あたしのお茶目な発言をラインさんはレッド君に使うつもりなの
これは・・・レッド君には通用するかな??
ギャップに萌える感じだったらラインさんのは、破壊力は凄まじいだろうから
ちょっと現場は見てみたいかも
『次元干渉された際も対処なんですが・・・共有の利点を活かして、可能な限りコンビアタックでいいと思います・・・そうすれば、無駄な挑戦が激減していくと考えていますので』
ラインさんはまだ比較的新参に近いから
まだ、それほどの挑戦は受けていないと思いますが
あたしの場合は、掃いて捨てるほどの挑戦があるからね
電脳異空間と組んだとわかれば
簡単には来なくなるよね
これは、かなり楽になると思います
『共に未完のゲームを続ける存在として、同じ目的を目指す存在として・・・この結束は必然だったのだと私は思います、しっかりとした地盤も築いてきましたし』
『そうだな・・・殺し合うくらい憎しみもあったが、これで順子とも本当に仲良くできそうだ』
まあ、過去に何度も倒されましたからね
特にレッド君とのコンビは無敵だと言えるくらいだったから
本当に頂点に君臨できているのかと不安な時期もあったし
『あたしは、最初からラインさんとは仲良くできると信じていましたけど・・・(特にレッド君とだけど)何か戦いで友情深めたとは思ってないよ、単純に一目惚れ感覚みたいな感じかな??』
『私にか?? レッドにか?? 両方だな、お前だったら・・・あははっ~!!!』
爆笑のラインさん
言おうとしている事は間違っていないから、いいのだけど
そこまで笑うのかしらね
『・・・と、すまんな もっと早くにこの段階まで行きたかった』
急に真顔であたしを見つめるラインさん
端麗な整った美人顔だからもあるけど
基本的に女性の接近は、知り合いでもドキドキしてしまうの
しかも、愛し合った相手だと・・・より、緊張してくる
愛理ちゃんも彩ちゃんも、ラインさんも
素敵な女性だから・・・
『順子は、見つめられると弱いよな・・・特に密な関係な相手だと』
わわわっ、バレバレじゃない
これは、トップシークレットだったのに~!!
心もシャットダウンで・・・
違うな、反応でわかるのね
『そうよ悪いかしら!? 特にお気に入りで好きな相手には弱いのよ~!!』
もういいわ、これからもっと親密になるんだもん
きっと心もさらけ出してしまうだろうから
今のうちの告白してしまおう
『・・・それでですか、私が見つめると視線を背けるのは~順子は心の底では私を嫌っているのではと密かに考えていましたけど・・・違うのなら、よかった~♪』
何か、愛理ちゃんは
あたしに対しての誤解が無数に存在しているのかもしれません
これが、長い間一緒に過ごしても近づけなかった理由ですか??
ああ~ん、大失態かも
麻里華さんの壁を破壊出来たかもしれない・・・
『すれ違いが少し戻って、よかったな順子!!』
『・・・そう、あなたのおかげですがお礼なんて言わないんだからね!!』
何だろう、この無理矢理なツンな発言
この流れで、二人きりではデレないと展開的にダメよね
『何だ、順子は私をツンデレで対応したいのか?? 別にそこは好みではないのだが・・・』
若干の困惑気味で
まあ、無駄な事はしないでいいわね
『二人共、ごめんなさい・・・照れ隠しが変な方向になってしまって』
恥ずかしくて、もうどうでもよくなっている
でも、愛理ちゃんの話の途中だから
しっかりと最後まで聞かないと・・・
『愛理ちゃん、もう黙っていますから・・・本当にごめんなさい!!』
『・・・順子はこの手の真面目な流れに弱いのはわかっていますから、無理しないでいいのよ』
優しい愛理ちゃんの言葉だったが
あたしは、首を左右に振って
本気さをアピールする
そろそろ、本格的に話を進めたいと思ってもいますから
『え~と・・・ラインさんのデバイスなんですが、ゴーグルを作戦用で作らせて貰いました』
『何で、知ってるんだ?? ラビリアには打診したが断られてしまっていたが・・・』
ソウルシステムを主体とする
女神以下、ほぼ全ての導師と呼ばれる
宝石をメインエンジンとして稼働している存在は
基礎となる基本的な運用をデバイスの力に頼っている
これは、存在している限り絶対的な意味で必須だったりする
そのデバイスが愛理ちゃんやラビリアさんが構築しているネットワークシステムにも使われている
耳に装着する小型デバイスで
稼働時には、オペレーションをするためのモニタとして
眼鏡型のディスプレイを瞳の前方に設置する
簡単に言った方がわかりやすいかな??
眼鏡に色々できる機械が付いている凄い装備・・・
これを常に着けているの
眼鏡は瞳を守る意味合いもあるのだけど
幻想の風は、裸眼に対して影響があるらしいの
モニタやら情報とか、便利ではあるから
それに、装着時の違和感もほぼ無いのよ
視力矯正も基本的な機能として存在しているし
フレームを変えて、ファッションアイテムとしても使えるし
でも、ラインさんは自分が眼鏡姿は似合わないと
頑なに拒否してて
妥協案として、ゴーグルタイプで渋々承諾したらしい
しかし、眼鏡大好きなラビリアさんは
どうしてもラインさんに眼鏡を付けてもらいたいと
プライベートの時だけ、眼鏡をしてとお願いして
ラビリアとレッドと個人的な場合にのみ、眼鏡姿になっている
それを、今回の際
ラビリアさんが強気に拒否してきたらしくて
かなり対立気味で、どうしようかと思っていたけど
こっそりと愛理ちゃんがゴーグルをギミックで用意してくれていたみたい
『すまない愛理・・・他人がどうとかではなくて、自分で似合わないと思うとどうしてもダメなんだ』
『私も眼鏡は素敵だと思いますが、ラビリアさんのように強要してまでは好みませんので』
そう、愛理ちゃんも大好きなのよ眼鏡
だから・・・最初から装着していたから
大嫌いだった相手でも、渋々同行する事ができたのかもね
眼鏡が常に横にある生活になるのだから
でも“あたし=眼鏡”の考えは・・・相当に凹むけど
『お礼ではないが、愛理と順子の前でも眼鏡を着けてもいいぞ・・・少し見せるだけでいいならな』
『・・・本当ですか!? ラインさんの眼鏡姿はラビリアさんが絶賛していましたので、嫌いと聞いていましたから・・・拝見できるなら、少しで構いません!!』
興奮気味の愛理ちゃん
生徒会メンバーの眼鏡姿も初見では、こんな感じだったからね
本当に好きなんだと思うよ
あたしも、もしかしたら最初からじゃ無かった方が・・・
ううん、それは考えないようにしましょう
虚しくなってしまうから
『あたしにも見せてくれるの・・・ラインさんの眼鏡姿(*´Д`)ハァハァ』
『お前も興奮して、どうする!? 順子は特に興味ないだろ!!』
眼鏡自体には、思い入れはあるけど好きかと聞かれると微妙ですが
ラインさん+眼鏡に関しては、物凄く興味がありますよ
姉様とどっちが、素敵なビジュアルになるのか・・・
『興味津々です、姉様と比べて・・・最強な、大人な女性対決です!!』
『いいですね、それ!! 私もそこは気になります・・・』
うふふ、愛理ちゃんは・・・それでなくても眼鏡な時点でウハウハだろうからね
姉様と比べるなんて話をしたら・・・本気で楽しみです
脱線するのが当たり前になってるのね、あたしって
悪い癖かな・・・治すのは難しいかもしれない
『ちなみにですが、コンビという事で順子のデバイスのもお揃いのゴーグルを用意してみたの』
『なんですと!? それは、エージェントみたいじゃない・・・しかもラインさんとお揃いだなんて』
今後の活動は、ラインさんと一緒が多いだろうから
本当にコンビみたいな感じで
姉は居ますから、母親ですかね
見た目の年齢差で言えば倍くらいありますし
『順子のゴーグル姿は、ネタ的な扱いでいいのか愛理??』
『すいません、私からは言えません・・・お察し下さい』
もうスルーでいいよね
あたしは愛理ちゃんのネタ要員なんだって事で
『以後、具体的な運用に関する事はデバイスが自動で対応可能ですが・・・ラビリアさんからの話を聞く限り順子同様にラインさんも直接の対応がいいみたいなので、私とラビリアさんのどちらかが常に二人のサポートをしていますので・・・気軽にお尋ね下さい』
『事務的なデバイスの対応は、基本的に苦手なんだよな・・・だから、直接はありがたい』
あたしも機械の対応は苦手というか嫌いです
愛理ちゃんが、手とり足とり指導してくれた方が
色々と好都合だと思うからね
麻里華さんには悪いけど
一緒な状態であっても、愛理ちゃんを手放す気は・・・ないのよ!!
『ラインさんに対しては、平常な時にラビリアさんから補足をもらって下さい』
『ああ、そうだな・・・多分、レッドが何とかしてくれていると思うから・・・様子を見てくる』
そう言い残して、この場を去るラインさん
修羅場にはならないと思いますが
不思議な三角関係ですよね
更に、22部隊がハーレムの装いとなったら
想像を遥かに凌駕した世界になるのでしょうね
ラインさんの目指す世界ですから
『順子、これからどうしますか??』
『・・・そうね~麻里華さんと彩ちゃんのところに行きましょうか??』
近距離の移動だから、普通に徒歩でもいいのだけど
逆サプライズを行いたかったから
愛理ちゃんに一言伝えて、空間転移をして
二人の背後へ・・・
と、実施まではよかったのですが
その場に六花さんが居る事を知らなかったから
サプライズ大失敗になってしまいました
『本当に申し訳ありません・・・この失態の償いは、どんな事でも致しますから・・・順子殿、愛理殿』
土下座で泣きながら謝罪する六花さん
正直・・・重すぎると思いましたが
折角、何でもしてくれるみたいだったので
『そうね・・・あたしと愛理ちゃんのマッサージでもお願いしようかしら』
『順子!! 六花さんに悪気はなかったのよ・・・それに、ある意味サプライズは成功したじゃない』
あたしが、本気で怒っている感じだったから
六花さんをかばう形で愛理ちゃんは、サプライズの件を“ある意味の成功”と
『順子さんの胸で圧迫された時は、驚きました・・・六花さんから二人がこちらへ移動してくると先読みされたのですが・・・身構えていたら胸でアタックされましたからね』
『自分は愛理ちゃんの頭突きでしたから・・・鼻血出てしまいましたわ、うふふ~♪』
面白い形にはなりましたが
若干の被害が出てしまって
それで、六花さんが急に泣き出して、土下座の運びに・・・
『彩・・・ごめんなさいね、私も痛かったですが血が出てしまって』
癒しスキルで自分と彩ちゃんを治療しながら
あたしを睨んでいる
まあ、悪いのは・・・あたしだから
六花さんにもみんなにも、あたしが謝罪しないとダメよね
『軽はずみでサプライズなんて、もうしないわ・・・みんな、ごめん!!』
今度はあたしがみんなの前で土下座をしました
六花さんはそうですが
窒息させそうになった麻里華さんや
愛理ちゃんの頭突きを受けた彩ちゃん
頭突きをしてしまった愛理ちゃんも
4名にしっかりと、あたしが悪かったのだと伝えると共に、謝りたいから
『逆に、順子へ何かさせましょうか!! その覚悟があっての土下座ですよね??』
もう、死ぬ以外だったら
何でもいいや・・・
『じゃあ・・・順子スペシャルをみんなに振舞って下さい』
『それは、いいアイデアですね・・・』
彩ちゃんの提案で
“順子スペシャル”を夕食として振舞うことになりました
料理は比較的得意な方です
みんなに喜んでもらえるなら
100名分でも作ります~!!
『順子さんの料理ですか!? 是非、お願いします!!』
麻里華さんがあたしの手を取ってニコニコしている
前に数回、作って提供したことがありますが
ここまで気に入ってくれていたのは、嬉しいですね
『隊長殿が順子殿から、料理を教わったと聞いています・・・でしたら、期待大です!!』
涙を拭いながら、六花さんも嬉しそうにしています
前に料理対決をして勝った際に
ラインさんへ料理のコツなどを伝授したことがあって
レッド君が、あたしの料理を絶賛していましたから
『厨房をお借りしたいのですが、六花さん??』
『あ、はい・・・すぐに手配します、少しお待ち頂けますか』
と設置されているデバイスを操作して
誰かと交信をしているみたいです
厨房のシェフですかね??
『順子殿、商業地区のホテルを提供してもらいました・・・シェフを手伝いとして一緒に作ってくれるそうです』
『・・・ははは、わかりました』
これは、本気の料理を作らないといけませんね
あたしの実力を基地や街の方々へ・・・
『六花さん、街と基地の人口を教えて下さい??』
『はい・・・全部で11345名です』
1万人と・・・今からで間に合うかしらね
最悪、スキルで時間は何とか出来るから
完成して、全員に提供を目指す
『では、全員分の料理を作ってきます~!! 六花さん、ホテルにパーティ招集しておいて』
ホテルの場所・・・ここね
出来るだけ、リアルタイムで完成させたいから
すぐに厨房に移動よ!!
『きゃっ!?』
『あ、ごめんなさい・・・先ほど、話をした沢渡順子です』
入口横なら平気かと思って移動したら
丁度、コンシェルジュらしき方とぶつかりそうになってしまいました
ギリギリのところで回避して
相手も倒れることなく、セーフでした
『・・・あなたが順子さんですか!? 急に現れたので驚きました』
『ごめんなさい、1万人分の食事と思って飛んできました!!』
あたしの1万人に反応して、再び驚いたようで
急にあたしの両肩を掴んで、グッと顔を近づけてきて
『もしかして、街全体の住民も含めてですか!?』
『はい・・・あたしの料理をみんなにと思って、折角なのでお世話になる街ですから』
話も途中で、すぐにデバイスで会話が始まる
どうやら・・・別の主賓のパーティが行われるはずだったみたいで
急遽、あたしの料理が優先され
それでも慌ただしい感じだったらしい
『キャンセルとなった会合の分も含めてもいいですかね・・・100名ほどなんですが??』
『食材が全て揃うのでしたら、キャンセルなんてしなくていいですよ!!』
でも、あたしの腕前を披露した方が
より理解してもらえるかなって、思ったので
適当に厨房で1品作ってみました
『味見して下さい、それで判断してね~♪』
その場にあった食材で、よく言われる“賄い”を真似た感じで
有合せ丼的な風を作ってみました
『・・・嘘!? 瞬間でこんな出来を・・・あなた、どこの料理人ですか!! 今すぐにでもここで働く気ないかしら??』
食べるなり、すぐにあたしに迫ってきて
『あたしは、料理人ではありませんよ・・・22部隊の臨時隊員です』
『導師の方ですか・・・勿体無い、この腕前なら世界を狙えるのに~!!』
あれ・・・泣きながら、居なくなってしまった
どうしたのかな??
『順子さんですよね・・・お待ちしておりました、早速調理に取り掛かって下さい!!』
『あ、シェフの代表の方ですか?? 沢渡順子です、急遽ワガママを言ってすいません』
軽く頭を下げる
すぐに、その頭を戻そうとしてきて
『とんでもありません・・・ライン様のお師匠と聞いております、断る理由はございません・・・是非とも、皆へお手前を披露頂けますか??』
何か、あたし凄い事になってるね
ラインさんがあたし直伝だって話をしたのかな
まあいいわ、無駄な時間は少ない方がいいもの
『調理は全て、あたしがします・・・盛り付けと配膳をお願いできますか??』
『はい、構いませんが・・・お一人で調理なさるのですか!?』
疑問は仕方ないと思う
でも、自分で調理しないと意味がないから
『まあ、同時進行にしますので分身しているように見えると思いますが・・・腕前は披露できますから』
さてと・・・超光速1万人分料理の調理開始ね~♪
食材は、流石高級ホテルって感じで
素敵なものが沢山あるから
みんな楽しみにしてて~!!
流れで料理を振舞うことになったけど
貢献という意味では、戦うよりも・・・こっちの方がいいわ
愛の溢れる世界には、美味しいと思える食事も必要ですから
繋がったこちらの世界も、あたしの世界だと言ってもいいだろうし
今回は、街ひとつですけど
世界中の人に、あたしの愛の溢れる料理を食べてもらえれば・・・