第十話:旅の中断 その3 愛理ラビリアシステムの完成
ここから、愛理ちゃんとラビリアさんの構築したシステムの話を
愛理ちゃんにお願いするね
あたしでは、説明不足になるだろうし
そもそも、理系ではないから
では、愛理ちゃん頼んだわよ~!?
・・・・・・・・・
順子は眠っていても相変わらずね・・・
まあいいわ
私が順子が目覚めるまでの間に
ラビリアさんと構築しているシステムの話をします
順子の天球とラインさんの電脳異空間は
それぞれ、私の開発したシステムを
天球は私の未完成版を
電脳異空間はラビリアさんが完成版を
ネットワーク構築させて管理しています
世界の維持と管理を順子と私でしています
同じようにラインさんとラビリアさんで行っています
この個別の世界のシステムを完全版として共有できるようにしようと
ラビリアさんから提案を受けて
これを是非、天球で活用したくて
順子の負担もこれで少しは軽くなると思うの
『愛理さん、どうかしましたか??』
瞬間的な私の思考の変化を疑問に思って
ラビリアさんが問いかけてくる
天才的な演算の能力を保有するラビリアさんだから
少しでも違えば、誤差として相手の変化に気づくのでしょうね
『ラビリアさん、ごめんなさい・・・今、順子から物語の代理を頼まれました』
『そうですか・・・順子さんもラインみたいな事するのですね』
似たような感じなんですね
私と順子の関係と
一度、交代してみたら面白いかもしれません
今度打診してみようかしら
密かにラインさんとの活動をしてみたいと思っていて
どのような思考で行動しているのかが気になり
詳しい情報は、一緒に過ごすのが一番得やすいから
『多重の思考を可能であれば、特に問題としませんから気にしないでいいですよ』
『ありがとうございます・・・私、特別な感情を抱いてしまっても構いませんか??』
何でしょう、ラビリアさんの優しさ
それに、時折見せる微笑み
再会した麻里華には悪いですが
新たな魅力に心が揺れ動いています
無数の事象を繰り返す中
幾度とラビリアさんとは交流もありましたが
ここまでの気持ちはありませんでした
今までの流れと大きく違う部分が発生しているようです
この新たに生まれた感情にも
意味はあると
順子も・・・
ああ、順子はレッドさんとの交流を楽しんでいるみたいですが
ラインさんとも今回は敵対しないと公言していましたから
仲良くしていると思います
『若干、影響しているようですね・・・すいませんが中を見させて貰いました』
私の仕事量に変化があったからでしょうか
中と言うのは、心情の事でしょう
語りを並走で行っているから
何か支障をと思ったのかもしれません
『情報過多だったかもしれません、私の好奇心が溢れてしまっています』
細かい作業に注意を出来ないと
世界管理に対してのネットワークエラーなどあっては困りますから
確実に分業するようにしなくてはなりませんね
『終わりましたら、愛理さんの好奇心を麻里華さんと一緒にでも満たしましょう~!!』
『いいのですか・・・そんな私事に時間を使ってしまっても??』
『順子さんと愛理さんは世界に対しての功労者扱いですよ、多少な褒美くらい優遇です』
確かに、順子も氷機を大量に撃破しています
私もラビリアさんのシステムの基礎を作った存在ですから
今後の世界に大きく影響はすると思います
基本的に成功報酬のような形で
何かを自分の好奇心や欲で満たすことはありませんでした
『順子さんもですが、もう少し気楽な気持ちで挑んだ方がいいですよ・・・最初はラインのスタンスには苛立ちもありましたが、緊張の張りつめた糸は切れるのですよ・・・少しの緩みが必要なんです』
作業を中断するくらいに、私に対して必死に伝えようとしてくれていて
このラビリアさんの意見は重要なんだと把握しました
『データも余裕がないとパンクしますし、操舵も遊びを設けないと壊れます・・・人も女神も余裕がある方が強いのですよ、わかりますよね』
繰り返す中で、私も順子も無駄な部分を除外して
軽くなった気もします
そこに余裕が生まれ
遊びも休みも自在にできるようになりました
緻密な日程では、一つ崩れると全部がダメになってしまいます
過去の事象で幾度と旅が頓挫した経験もあります
今回もそのようにと心配してしまいましたが
ラインさんの刺客として来た“美紅唯”さんや
複数の次元を管理する女神“ツイール”との同一人物である栞さんや
順子の代理で残ったエリアさんによって
中断という形で旅が頓挫しないように処置してくれていて
このような変化球にも柔軟に対応可能な、余裕を持てる存在は
本当に強い存在なんだと
ラインさんを改めて尊敬すると共に
興味が再沸騰しています
『あまり過大評価しても、と思いますがラインは比較的序盤で今の状態を確立していますから・・・本人には内緒ですよ、私は一緒に居られる事を誇りに思うと同時に嬉しく思っているのです』
う~ん・・・
凄く重要な情報だった気がします
これは、是非に順子にも教えてあげなくてはいけませんね
ラビリアさん、とりあえずラインさんには内緒になるように順子にも釘刺しておきます
『私は、そこまで順子に対しては感情を抱いでいません』
『その距離間が丁度いいのではないですか?? 冷静に順子さんをサポートできていると思いますよ』
本当はもっと親密な関係になっても構わないと思うのですが
別に麻里華の存在が大きく関わるわけではなくて
単純に感情が近くに振れなかっただけなのでしょう
『好みの問題だったのかもしれません、私が順子を好きかどうか??』
『そうなのですか・・・逆に私はラインの事は嫌いですよ、大嫌いです!!』
衝撃的でした
ラビリアさんは、らいんさんを好きだと思っていましたから
冗談で発言する流れではないから
本当なのだと
『大嫌いなのに、親密な関係なんですか??』
仕事を中断してしまって、早く再開させたいのですが
この事実だけは把握しておきたくて
『一緒に居ても平気なんですか、大嫌いな相手と・・・私には耐えきれません!!』
『基本的に喧嘩が多いかもしれません、だからエリアから嫉妬されるくらいですし・・・仕事上のコンビは険悪なくらいの方が無駄な感情とかできませんから、って建前なんですけどね』
あれっ??
何でしょうか・・・ラビリアさんが嘘を言っている感じです
この流れで冗談を私にしたの!?
『大嫌い過ぎて、好きなんですよラインを・・・私、性格反転していますから・・・愛理さんを困惑させてしまったようですね』
意味を理解する事ができず
後に麻里華から、教えてもらう形になったのですが
感情に関して特に際立った部分があって
本当に特殊で、わかりませんでした
『順子さんをサポートする上で私を参考にするのは、難しいと思いますよ・・・参考にするならラインと少し仕事をしてみればいいかもしれませんね』
『そうですか・・・今回以降も何度も世界を行き来すると思いますから、その機会の際はよろしくお願いしますと伝えてくれますか??』
『ええ、私も順子さんと仕事してみたいと思っていましたから・・・交換任務も楽しみにしてます』
ラビリアさんも同じ事を思っていたみたいで
その内、ラインさんとの仕事は実現しそうですね
それにしても、ラインさん大嫌い発言には驚きを隠せません
私も順子に大嫌いと言ったら
順子は泣いてしまうでしょうね
本気で思っていても、決別でもしない限りは・・・封印した発言です
まあ・・・思っていないから、安心してね順子
世界を構築する際に必要なシステムを
私はジオクロニクルから抽出した叡智を駆使して構築しました
元々自分が世界を管理するためにと開発を始めましたが
結果的に順子のため、少しでも楽にできるようにと
ある程度出来上がった時点のものを再構築して
運用可能な状態で順子に提供しました
世界管理システムとしては、未完成ではありましたが
ベータ版といいますか
試作運用で、十分稼働に支障なくでしたから
無理な部分もでなかったので修正もしませんでした
愛理システム(仮)とでも言いますか
提供した私のシステムは
順子が旅で活用できるように
アレンジを施して“スタンプシステム”として
管理に追加して別の世界を侵攻するための仕様もあって
私の構築版の唯一の欠点は
常駐を必要とする事です
順子かそこに対応できるだけの存在が必ず居なければならない事
だから、世界管理は問題ないように栞さんが加入してからは
基本的に安定しています
しかし、旅に関しては
順子がマストで中心を補う別の存在が難しいため
何度も頓挫していました
その欠点を解消して
更に強化版と言いますか
完成版と言いますか
ラビリアさんが、私のシステムを基本とした世界管理システムを構築して
自分が挑戦する世界の管理に使っている
そして、最も重要なところは
自動で稼働出来る事
これは・・・私のシステムの最終形態だった
ラビリアシステムは、基本ラビリアさんが中心で管理している
世界ネットワークを構築したもので
現在はラインさんへ譲渡している
システム自体が独立して稼働出来るために
氷機のような暴走的な感じのイレギュラーがあったりするみたいですが
それは、電脳異空間でのラビリアさんが構築したゲームのプロットによる
敵扱いらしいから
覇者システムに対して対抗ギミックとして、盛り込んだようです
覇者はゲーム勝者1名という暗黙なルールがあったみたいで
複数で挑んだとしても、勝ち残りサバイバルとなるために
悲しい歴史を繰り返してきている
どんなに仲の良いチームで挑んだとしても
残り1名となった際の醜い争いが勃発する可能性が高い
精鋭の挑戦は
負けは永遠の消去のリスクも
覇者が叶えられる願いに制限が存在しないために
絶えず行われる、欲望への探求のような介入なんでしょうか
引き伸ばす意味もあるみたいですが
それ以上に、覇者を単体ではない状態で選出可能にさせるようなシステムの改ざんとも思えます
『愛理さん、あまり深入りしないでくれますか!! 私もギリギリで動いているので、察して下さい』
『あ、そうなんですね・・・ごめんなさい、注意します』
ナチュラルに私の心を見ているラビリアさん
これは、色々な意味で本気で注意しないといけませんね
今は、一般開示に近い状態なので
難しいかもしれませんが、逆にオープンだから
様々な介入がなされて
リスクも分散されるでしょう
増幅な部分も否めませんが
『客観的に自分を含めた世界を見ているみたいですね、愛理さんは??』
自覚はありますが
主観的を表に出していないだけ・・・だと言っておきます
無駄のない打算的な行動ができるように
自分を隠した状態を安定して出来るように心がけた結果かもしれません
『簡単に自分の深層を見せる事はしませんよ、ふふ♪』
『怖いわよ愛理さん・・・』
そろそろ、最終調整段階に移行しましょうか
中断して脱線してしまったから
強引に引き戻そうと、不気味な笑みをしてしまいました
まあ、効果的にラビリアさんが引いてくれましたね
若干ですが、何と言いますか・・・悲しみがこみ上げてきます
『無理な行動をしなくても、別に私も戻そうと思っていましたから・・・愛理さんは、その辺が順子さんに影響を受けている部分ですかね』
相手を動かす際
自分の変化によって、強引に場を変える事は
確かに順子がよくやっていますね
『順子の影響ですか、そうですね私が何でしょうか・・・』
何か続きを言いかけたみたいな終わり方でした
特に続きは存在しなかったのですが
『珍しいわね、あなたが意味のない終わり方をするなんて』
何て、思われてしまいました
取り越し苦労とも言える、流れで
再開となりまして
完成までの残り作業に取り掛かります
順子ごめんなさい、完成するまで黙っていてもいいですか??
完全な分業は私には無理みたいです
事後報告でよければ、時間を設けまして
しっかりとシステムの説明をしますので
すいませんが、戻します。
・・・・・・・・・
回復中の睡眠を促してくれると思ってましたが
真面目な愛理ちゃんには、荷が重すぎましたね
こちらこそ、ごめんね愛理ちゃん
こちらがの方は、比較的余裕で回復に専念出来るでしょうから
監視デバイスの視点で
眠っている、あたしが実況する
面白い形でお送りしますね
完成まで作業しながら説明してくれると思ってたから
急遽で、少しだけ動揺していますが
多角性は必須ですからね
ある程度、予想はしていました
でも、用意はできませんので
ちょっとだけ、お見苦しい点があったら・・・
そうですね~全部、あたしの責任で構いません
絶対に愛理ちゃんが悪いとか言わないで下さい
会社ではないけど
頂点であるあたしが全ての責任を背負っていますから
それに、今からはあたしのターンだから
責任はあたしにあるよね
ラビリアさんと愛理ちゃんの仕事に関しては
完成後に説明してもらいますから
別の方の様子を覗いてみましょう~うふふ♪
ラインさんは、本気で心配してくれているみたいで
ほぼずっとあたしの横にいました
これって、新たな恋に発展してもいい流れよね
この隣の部屋でレッド君が一応メディカルチェックを受けている
専用のベッドで自動で診察をするのね
モニタを見る限りは、異常はないみたい
丈夫な殿方は素敵~♥
ダメージに関してはほぼ皆無で
消費した分の回復を行っている
トールさんが癒しのスキルを施しているみたいね
この二人を放置してもいいのかしら??
余裕なのかな
ラインさんもラビリアさんも
レッド君を過信しているの・・・
それとも、あたしみたいな監視システムでもあるのかもしれない
トールさんも無理なアプローチはしてこない
これは、察しての静観なんだろうか
この部隊は、全員がレッド君に対して異性としての恋愛感情で見ているから
微妙なバランスで均衡を保っている感じがします
過去に、それを狙って崩しにかかった事もありました
まあ、絆の方が強かったから
敗北の一点でしたけどね・・・
司令部では、六花さんと麻里華さんと彩ちゃん雑談していた
内容を少しだけ聞いてみましょう
『本気でしたら、アプローチはするべきです・・・結果は見えているなら、尚更ですよ!!』
『自分は、慎重にした方がいいかと思われますわ・・・不倫になるのですよ!?』
麻里華さんと彩ちゃんが六花さんに迫っている
どうやら、六花さんがレッド君を好きだと話してしまったみたいで
恋バナに関しては、麻里華さんも彩ちゃんも特に好きなんだよね
流れで、話してしまったのでしょうが
六花さんが真っ赤になってモジモジしています
そっとしてあげればいいのに~
成就は、ハーレム確立以外にないのよ
『麻里華さん・・・結果は見えていませんわ、逆転だってありえますって』
『そうなの!? だったら、慎重にしないとダメね・・・六花さん、作戦を考えましょうよ??』
あらあら、彩ちゃん~!?
制止してくれると思ったのにね
逆転って・・・あたしみたいなチャンスでも狙うつもりなのかしら
『でも、本人の意見を尊重しませんとダメですわ・・・どうなんです六花さん??』
彩ちゃんは、結構ね
積極的な部分があって
自分に関しては、奥手な感じもあるけど
『レッド殿は・・・いいです、この関係は崩したくありません!!』
そうそう、六花さんは自分を貫いて
静観が今は正解よ
麻里華さんも彩ちゃんも、推してくるみたいなら
強引だけど、介入するからね
『・・・彩さん、これは無理な進行は止めましょう!!』
『そうですわね・・・ごめんなさい六花さん』
ふ~
一安心ね
でも、六花さんは上手く利用させてもらうわよ
霜月の能力は色々な意味で必要になると思うから
あ、ちなみにレッド君関係ではないから
それは、あたしが邪悪しかない存在じゃないの
後、施設内を眺めて
何かあるかな~??
武器の格納庫
あらら、ラインさんからレンタルした刀・・・壊れてる
最後に瞬間的に戦闘力を上げたのが原因かな
コンマの時間なら、制約に影響しないと思って
兆を超す威力まで高めたからね
自己修復機能があるみたいだから
とりあえずラインさんには、把握しているでしょうが謝罪はしておきます
レッド君の装備も充填されてますね
この辺のメンテナンスはラビリアさんのシステムでしっかりと管理されているのでしょう
これは愛理ちゃんのシステムでも同じだから
常に万全な状態で戦えないと、勝てるものも負けてしまうかもしれないし
・・・女子更衣室は、とりあえず今回はスルーです
22部隊以外の兵士や職員などが着替えをしていましたが
やはり、直接遭遇して一緒にお着替えしたいからね
隣の男子更衣室・・・誰もいなかった
残念です
この世界は、9:1でほぼ女性しかいない
氷機侵攻による初期段階で
ほぼ男性が戦場へ出撃して
劣勢を虐げられる結果となった形で
女性が戦場に出る逆転状態となるのですが
宝石によるソウルは、女性の方が能力的に高い
単純に物理戦でしたら、男性が強いのですけどね
だから、子供だとしてもレッド君が前線で戦っているのは
物凄くレアらしい
その辺で、軍隊の兵士や職員もほぼ女性だったりします
貴重な殿方をと期待しましたが・・・
さて、気を取り直して
別のエリアに移動してみよう
街の外れにある駐屯基地
氷機の侵攻の阻止を主体とした形で
比較的大規模な施設となっている
今居るのは、司令部や格納庫などのある
軍事エリアとなっています
居住エリアが少し離れた場所にあって
街半分がこの居住エリアとなっていて
商業エリアのもう半分と3分割で一つの都市みたいな感じかな
市民というよりも
軍事関係者に近い人たちが住んでいる
民間扱いではあるのだけど
個人的には、こっちを歩いて散策してみたいですね
今度・・・彩ちゃんと一緒に買い物でもしようかな
愛理ちゃんも麻里華さんと一緒にデートでもすればいいと思う・・・
って、あたしも彩ちゃんとデートよね
時間があればだけど
下見がてらで
居住と商業のエリアを眺めてみよう
特に面白そうな出来事はなさそうだけど
情報もあまり得られそうにはないね
デートの際に使えそうな場所などを記録だけしておきました
相当ゆったりと時間を費やして
あたしの回復までの間を繋ぎました
約4時間程度でほぼ100%の回復になって
『お、順子・・・目覚めたか??』
『・・・ラインさん、少し変えましたね!?』
そう、この時点で部屋にはあたし以外は誰も居ませんでした
ラインさんが、残っていて
服も着てあります・・・
『こういうのは、しっかりとした方がいいんだ・・・だから、少し変えさせてもらった』
『別にあのままでも支障はなかったですけどね・・・まあいいわ、ありがとうございます』
この気遣いがラインさんの素敵なところです
これがレッド君を射止めた純な乙女か・・・
本気で悔しいですけど
これは、仕方ありません
仕様だと思って諦めます
『そろそろ、あの二人の作業も終わる頃じゃないのか??』
『もう少しかかるみたいですよ、最終調整を念入りにしたいそうです』
『そうか・・・じゃあ、特に用事がないなら少し話そうか??』
『ええ、ラインさんの暇を解消してあげますよ~♪』
無理に時間を作ることも、過ごすことも自在に可能ですが
あえてしなかったのは
戯れなのかな・・・
『さっき、エリアから少しだけ情報が聞けたのだが・・・知りたいか??』
エリアさんは、あたしの代わりに留まってもらっています
その目的は、リーアの情報開示みたいです
だから、エリアさんからの情報は
あたしも知りたいです
『まあ、聞くまでもないよな・・・それでだ順子、かなり深刻な事態らしい』
『深刻!? 何それ、早く教えてよ~!!』
すぐに聞きましょう
どんな情報をエリアさんがラインさんに伝えたのかを・・・
『リーアも事象の繰り返しを考えているらしい、これは大規模な形となるぞ』
リーアの管理する世界・・・
幻想の風が吹く全ての次元が対象で
あたしやラインさんが行っている事象の繰り返しは
あくまでも自分の管理する天球
ラインさんは電脳異空間と
次元単体なので
全てと言うのは、これらを含めた他全ての次元という意味になります
次元転換
これが、あたしとラインさんが使える事象の繰り返しで
理想の世界に導くためのスキルです
無数の世界を何度も起こして
やっと、確立できる答えが見えてきた感じで
ラインさんと一緒に、最終段階へ移行する流れだったのに~
『こちらの努力が全て無駄になってしまいます、早くリーアを止めないとダメじゃない』
『ああ、電脳異空間を停止させてでも優先させなくてはいけなくなったぞ!!』
今、地味に・・・いや、かなり凄い事をラインさんが言い出しました
システムが自動で稼働できるから
停止の必要はないのです
それを実行するというのは
ラインさんが全力でリーアを倒しに挑むという事
エルラウンドがリーアの本拠地で
“眠り姫の聖域”と呼ばれる
絶対なる場所へ
侵攻するための攻略の旅をしていましたが
確実な勝利を掴む最強のギミック
ラインさんとの協力
これを今回、実現できる流れで
比較的順調に進行している・・・はずだったのよ~!!
『ラインさんにもスタンプラリーをあたしと一緒にやって欲しいです』
『そうだな・・・一応、ラビリアとレッドに確認しておかないと』
これ・・・自分権限で決断できないのかと、一瞬思いましたが
単独で勝手に出て行くわけにはいきませんよね
家族に相談は必須だと
『帰還までの間に決断してね・・・単独なのか複数なのかを』
『行く事確定か!? まあ、私は無理にでも行くつもりだが・・・そうか、私だけで行こうと思っていたが誰かとは考えていなかった』
過去に姉様と組んで旅をした経験があるから
基本的なルールは把握しているだろうし
若干、変更されたスタンプシステムも
今、構築されている新たな管理システムが完成すれば
二つの次元が共有されるから
より、共同性が高まって
往来も容易にできて
繋がった世界扱いとなるから
『お互いの世界を交互で管理するようになるが・・・お前がレッドを独占しないように彩に協力してもらったからな、ふふふ』
ううっ~彩ちゃんを使うとは、卑怯でしょ!!
まあ、完全に阻止されていないだけ・・・いいかな
独占しなければ、ラインさんも若干の遊びは黙認なのかもしれない
『随分変わりましたね・・・完全隔離される覚悟はしていましたよ』
『管理者を隔離なんて、出来るわけないだろ~!! お前も私と同等扱いになるから、仕方なくだぞ』
凄く後ろめたい背徳を感じてしまうのは
ラインさんの作戦なんだろう
でも、どんな事されてもレッド君との情事はしますからね
『隠すから奪おうとしてしまう・・・少しでも開示されていれば、あたしも堪能できれば十分かな』
『それでも、私はお前に殺意を再発させるからな・・・それだけは把握しておけよ!!』
殺意!?
これは、本気の・・・制限をラインさんは自ら行うみたいな意思表示??
誘惑をフラワーにお願いしよう
レッド君とは違う意味でナチュラルな存在だから
相方のチェンジを管理の交互と一緒にしようよ~♪
って、打診してみたら・・・ダメだろうな
『レッド君以外じゃダメなの?? そんなに一途なの?? あたしのフラワーを代理に貸すから!?』
瞬間な攻撃を受けそうになりましたが
寸で止まり・・・ました
『爽やかな青年だったよな・・・どうしよう、レッドと比べるだけの意味はあるのか??』
『本人に確認してみれば、どうかな?? ね、レッド君!?』
あたし以上に、今回レッド君は神出鬼没ですよ
ラインさんの後ろに隣から移動してきたみたいで
静かに、姿と気を殺して潜んでいた
『順子さんには、バレてしまいましたか・・・それで、僕に質問ですかお母さん??』
『お前は・・・母を驚かせて、どうする気だ!!』
珍しく、レッド君に苛立つラインさん
照れ隠しに近い感じもしますが
本当に驚いてしまったからかな
『ラインさんと相方の交換をしようかと話をしていたの・・・でも一途なのよね』
『相方?? と、いう事は・・・僕とフラワーさんをということですよね??』
話を聞いていたかのように
直ぐに内容を理解してくれました
まあ、筒抜けな女神同士の会話でしたが
一応、遮断はしてあったのですよ
レッド君には、無駄だったみたいですね
『私は、レッドと比べる意味はあるのかと順子に尋ねただけだ・・・』
『いいじゃないですか・・・僕とフラワーさんと抱かれて比べてみれば』
子供の発言じゃないよね
現状で、母親であるラインさんを別の男に抱かせるなんて
息子の台詞とは思えないです
『レッド君、流石に卑猥すぎます・・・あたしでもそこまで言ってないのよ』
『隠す必要あるのですか、義理の父親候補という意味ですよ』
うわっ・・・あたし、泣きそう
レッド君に翻弄されて
サディスティックな言動も心地よい気がしてくる
『あたしのフラワーを奪う気!? 浮気までしか許してないのだから、それ以上は絶対ダメよ!!』
『順子さんも、そんなに変わらない気もしますが・・・お母さんはどう思いますか??』
『私に聞かれても困るが・・・大好きな相手を独占してはいけないのか??』
うわ、本音爆発したよ
もう・・・どうしたらいいか収拾つかなくなりそうね
ラビリア:『ライン~!! 順子さん~!! ラボまで来て下さい~!?』
館内放送が響く
あたしとラインさんを招集するラビリアさんだった
これは、システムが完成した報告だろうか
レッド君も一緒にラボまで移動します・・・