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×世界  作者: 花札と鏡
第1章 暗殺者
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第一話 Unrest

目を覚ますと、一番初めに目に入ったのはコンクリートでできた灰色の天井だった。

窓はなく、小さな電気だけだから薄暗い。

ここは…みたところ牢屋だろうか。

「…ん?牢屋…?」

あれ?なんで俺は牢屋なんかにいるんだ?

混乱して逆に言葉が出なかった。

服は昨日の服じゃなく、ボロボロで着心地の悪い黄ばんだ服に着替えさせられていた。

そして横には結花がいた。まだ気を失っているようだ。

俺はこれからどうなる?まずなぜ牢屋に入れられているのかがわからないと気が落ち着かない。

「…ん……。ふぁぁぁ…。ん…。ん?ふぁっ⁉︎⁉︎」

結花が奇妙な声を発しながら目を覚ました。

「おう、目ぇ覚ましたか」

「な、なんで私たちこんな変なところにいるの…⁉︎」

「それはまだよくわかんないけどとりあえず逃げる方法を考えよう」

「それは無理ってもんだなぁ」

檻の向こう側からバカにしたような声で兵士の格好をした男が話しかけてきた。

「だ、誰だ…?」

「名乗ると思うか?お前バカじゃねえの?まあ、バカだから王を暗殺するんだろうけどな」

は?暗殺…?

「ちょ、ちょっとまて?暗殺ってなんだよ、俺がいつ暗殺したんだよ。俺は高速道路のトンネルから家に帰ろうとしたら急に電気が消えて、いきなりなにかで殴られて意識を失ったんだ。で、目を覚ましたらここにいた。わけがわからないんだが、説明してくれないか?」

必死に俺が弁解したらその兵士は、顔をゆがませて、ブツブツとつぶやき始めた。

「まて…昔聞いたことがあるが…まさか本当にあるなんて…。いや、もしかしたらこいつ…本当に…」

いきなり目を見開いて俺を睨んできた。

「な、なんだよ?」

「おい、貴様の名はズリエルか?俺は嘘をついているかどうかわかるんだ、本当のことを言えよ?」

「違うけど…?」

「……。本当に違うようだな。よし、じゃあ上に話しつけてお前釈放するから、その後この国のこと紹介するからよ、とりあえず目の色と髪の色変えとけ。そうすりゃちょっとは印象変わるから」

「は?目の色と髪の色変える?髪の色は分かるけど目の色ってどういうことだよ⁉︎おい!」

俺の言葉なんて聞こえないかのようにそいつは階段を上がっていった。

するといつのまに隠れていたのか布団の中から結花がもそもそと出てきた。

「京平さんって暗殺者なんですか…?」

「いやいやいや、違うからね。よくわかんないけど、多分ズリエルって人が多分俺にそっくりなんだよ」

「そのズリエルさんが暗殺者なんですか…そんな人にそっくりだなんて、かわいそう……」

「まあ、髪と目の色変えたら印象変わるって言ってたしな。でもそれまではすごい目線浴びるだろうな」

そういえば腹減ったな。とかのんきなこと考えてるとさっきの兵士が降りてきた。

「おい、この服に着替えろ。着替えたらすぐに街に髪と目の色を変える素材を取りに行くぞ。それまでは俺が貴様の顔を魔法で少しの間だけ変えてやるよ」

魔法…?

「は?魔法って何言ってんだ?ふざけてんのか?」

「あぁ…、そうか、貴様らは異世界から来たんだったな。異世界では魔法使えねえのか、かわいそうにな」

少しむかつく。

「まあ、とりあえず着替え終わったら出てこい」

「わ、わかりました…」

結花がそう言うと兵士は俺たちに服を投げてまた上に上がっていった。

「うわっ、と…。じゃあ、俺こっち向いとくから。終わったら教えてな」

「…は、はい」

知り合って二日目の男と同じ部屋で着替えるとかやだよな…。

「これ…どうやるんだろう…。きょ、京介さん…これどうやるかわかりますか…?」

振り返っていいのか…これ…。

葛藤していると肩を引っ張ってきたので振り返った。

するとシャツとスカートを着た結花がマントを持って困った顔をして見上げてきた。

上目遣いにぐらっときた俺はマントを結花に着せてやった。

「わあっ、す、すごいですね…!着たことあるんですか?」

「いや、普通に着方なんて見たらわかるだろ…」

なに、可愛すぎるだろ。なんなのこの子。

俺も着替え終わったので檻から出た。

「ん、着替えたか。じゃあまず貴様の顔を変えてやるから少しじっとしてろ」

ものっそい偉そうっすね。

声には出さなかったが表情には出ていただろう。

俺が棒立ちでじっとしてると兵士はもにゃもにゃいいはじめた。

数十秒後、顔がかゆくなってきた。

さらに十秒後くらいにやっと終わったらしい。

「ふぅ。まあこんなんでいいだろ。これを保ってられるのは一時間だけだ。その間に貴様の服と髪色と目の色を買いに行くぞ。そこの貴女もだ。黒髪だと奴隷か囚人と間違われるぞ。とりあえず貴女の髪は赤に変えておくがそれも一時間だけしかできないからな」

「は、はい。わかりました…」

奴隷がいるのか、この世界には。

俺と結花は兵士について行った。

城下町の店のガラスを見ると今の自分の顔が映ってこんな顔なんだ、と思った。思ってたよりブサイクだ。

「ここで髪色と目の色が買えるから、この金で買ってこい。貴様の好きなようにしろ。貴女も買ってこい」

店に入ると紫色の髪に緑の目の女性店員が寄ってきてどれにいたしますか?と鼻につっかかったような声で話しかけてきた。

俺はどんな色があるのかわからないからオススメを聞くことにした。

「オススメはですねぇ〜、ん〜。お若い方には白い髪が人気ですね〜。目は緑が赤がオススメですよ〜」

白と赤にすることにした。試着してみると中二病心が揺さぶられた。

はんぱなく気に入ったので即購入して、つけたままで結花に決まったか聞きに行った。

「ん〜、金髪と碧色の目にしようかなって思ってます。なんか美人って感じでいいですよね!」

こんなわくわくした顔するんだな〜とじろじろ結花を見ていた。

「これにする!」と言ってしちゃ室に入っていった。

しばらくして出てきた結花は女神のような姿だった。

女神のような姿って…。いいな〜京平。

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