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お気持ち

作者: 魔天破C
掲載日:2026/10/08

俺はもう長いこと、神社で参拝客に御朱印を授与する仕事をしている。


御朱印の初穂料(はつほりょう)は明示しておらず、参拝客には、


「お気持ちで」


とだけ伝えるようにしている。


そうすると、たいていの客は1000円から5000円ほどの初穂料(はつほりょう)を払うのである。


中には1万円を出してくるやつもいる。


客が金を払い終わったら、俺は


「おつりは?」


と聞く。


もちろん、


「おつりをください」


なんて言ってくるやつなどいりゃしない。


これがこの世の中の心理なのだ。俺は長年授与所で働くうちに、それに気づいた。


☆☆☆☆☆☆☆☆


ある日、一人の女が御朱印をもらいに来た。


俺はいつも通り、


「初穂料(はつほりょう)はお気持ちで。」


と言った。


その女は、台の上に乱暴に50円玉を1枚投げつけた。


俺は内心イライラしたが、仮にも神に仕える者。


平然をよそおって、いつものように、


「おつりは?」


と聞いた。


その女はこちらに微笑みかけながらこう答えた。


「お気持ちで。」

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