○月○日 仕事完了
スーパーで生きたニンゲンが特売だったので買ってきた。
家のキッチンでよく見たら、足と横腹から血が出ていた。売り場の店員はちゃんと消毒して病気はさせていないと言っていたのに。
きっとスーパーの雑な扱いで傷ができたのだろう。これでは食べられない。
明日、店に返品して200エーネ返してもらおう。
夜、ケージに入れていたニンゲンが何かうなっていてうるさい。
ケージの中で丸まって震えていた。まだ生きているので、何かに反応しているのだろうか。ニンゲンにとって毒になるようなものはないはずなのだが。
傷の周囲が赤黒くなっていて気持ち悪い。ちょっと触ってみたら、体が買ってきたときよりも7エルメンぐらい熱かった。完全に病気だ。
首を落とせば静かになるだろうが、生きているのを買ったので、死んだら返品を受け付けてもらえないかもしれない。
困った。
PCに相談すると、傷に対する生体防護反応で発熱しているということだった。死なせずに静かにするには、傷を治さねばならない。
試しにエンデュラー3000を少々垂らすと、すぐに静かになった。
動かなくなったので焦ったが、寝ているだけのようだ。しばらく様子を見ていたが、問題なさそうでよかった。
しかし、目が冴えてしまった。
眠れるまでムールーを適当に見ることにする。
明日が休みでよかった。
※注
1 スーパー:食品・日用品・個人用薬品等を販売する大規模店舗。かつて惑星シーエンダで普及していたビジネス形態の一つが語源とされる。
2 エーネ:クイシュナー共通通貨単位の一つ。価値としては1エーネ=1000ムネ=0.001ケネとなる。エネルギー単位としても使用された。
3 エルメン:熱量の計測単位。1エルメンは0.005エーネに換算可能。
4 PC:個人用情報端末。各人に配備されていた。
5 エンデュラー:生体機器用液状修繕分子体の商標。広範囲の不具合を修繕でき、クイシュナー星域暦102500年代には各家庭で常備されていたとされる。
6 ムールー:何かしらのエンターテイメント提供媒体と考えられるが、詳細は不明。
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