第4話 その6 「悪いの、だーれだ?」
お嬢さまをお助けしなきゃ!
わたしはマックススピードでお嬢さまに駆け寄り、お嬢さまを庇うようにユニコーンとの間に割って入った。
《ユニコーンよりの精神探査波検知》
VRルームに赤色灯が回りだす
『ビー ビー ビー』
(ルナリア、口でブザー音、言わなくていいからね)
『ブー!だ』
口尖らせないの!
《敵目標:当該躯体》
《透香プロトコル上に抗性防御展開》
わたしの背中にさっと隠れるロボとネコ耳
(だからなんでいつも、わたしがタンク役なのよ)
《システム重要度 透香<プラム : メンタル強度 透香>ルナリア(AI)》
《システム保護及び適正の最適解です》
なんて合理的!血も涙もないわ。
《敵、スキャン到達 防衛行動開始してください》
わたしに向かって無数の「◁」が飛んできた。ユニコーンの角のシンボリックね。前回の「*」みたいに下品なのじゃなくてよかった。でもこれ尖ってるから地味に痛いんですけど。数も多いし――
スコーンと「◁」が一個おでこにヒット!
(イッタ――イ!)
《"透香"記憶ログより「セシリア・フォン・アーネスト」に関するイメージ流出を確認》
《ユニコーンからの探査波停止しました》
しまった!こうきたの――!
咄嗟に理解した。お嬢さまの心がのぞけないから、わたしの中のお嬢さまのイメージをスキャンしたのね。
ユニコーン侮れないわね。
《透香が防衛失敗したのでは?》
「ユニコーン!侮れないわね!」
何にも聞こえません!
ユニコーンの方に恐る恐る視線を戻すと、白く美しい馬体が台無しとばかりに全身に血管が浮き出てる 気持ちワル!7色の尾とタテガミは怒髪とばかりに逆立ってた。
ユニコーンが、お嬢さまに視線を合わすと前足を大きく上げ後ろ足で立ち上がり
ブヒヒ――ン!
と嘶くと、同時にツノが赤く点灯しその頭上にナノマシン発光によるホログラム文字が効果音付きで映し出された。
ブブー!
「disqualification【不合格】」
そして舞い散る紅の花びらのホログラム
「ふ、不合格ですって! まさか駄馬風情がこのわたくしを値踏みしようなど、おこがましくってよ!」
「今すぐ取り消して、謝罪なさい!」
あと先考えずにお嬢さまが即座に抗議に駆け寄った。
ブヒヒ!
となんかちょっと下品な嘶きをしたと思ったら、頭を下げてツノをスカートの下に差し込んで捲り上げた!
「ヤッ!!」
即座にスカートに手を当て隠したけど顔真っ赤ですよお嬢さま。
ブヒヒヒヒー
さらに下卑た嘶きをあげる。そのなんかネトッて脂ぎった嘶きを聞いて
“『お仕置だ』って、女の子の一番大事な華を、散らしに来るんだ。もう、犯罪者だね。"
頭の中に、先程の説明がリフレインして血の気が引いた。お嬢さまも、たぶん同じ想像をした顔でこっちを見てる……
「「イヤアアアア!」」
二人同時に、駆け出した!
あんなのに乙女の純潔を散らされてなるもんですか、もう脱兎のごとく駆け出す。
「信じられませんわ! もう完全な犯罪者ですわ!」
逃げ回りながらお嬢さまが毒づいてる。
「どうしてわたくしが「不合格」ですのよ。納得いきませんわ!」
「それにわたくし魔法が効かないはずですわよね。おかしいですわ!」
気づいて欲しくない事実に気づいちゃった。
「申し訳ございません。どうやらわたしが魔法を掛けられてお嬢さまのイメージが抜かれたみたいな……それで…… 」
駆けながらお嬢さまが、こちらに体合わせるようにぶつかってきた。
「ひっ!」
「……ちょっと待って?」
「つまり何ですの」
「わたくしが、貴女の中では」
「虚勢張りで」
「無能を隠して」
「他人を使い潰そうとして」
「自分だけは安全圏にいる女だと?」
あっ、自覚はあったんだ。自分の欠点に気付けてエライです。お嬢さま。
「そんなこと思ってませんよー」
「プライドが高くて傲慢で面倒なことすぐ人に押し付けてくるけど」
「本当は頑張り屋さんで努力家の優しいイイ子だってちゃんと思ってますよー」
またドンしてくる。青筋立ってるし怖いです。
「嘘おっしゃい!じゃーなんで、あの駄馬がこんなに追っかけてきますの」
「本当はもっと別なこと思ってたんでしょ!」
うーんそう言われれば、おかしいよね うーん……
あっそうか!
お嬢さまをのイメージといえば、あれよね。ズバリ!
「悪役令嬢」
うん、不合格♡
一瞬、気が抜けて速度の落ちたわたしは、後ろから追いついてきたユニコーンに、ツノでヒョイっとお尻から持ち上げられて、後ろに放り上げられた。
「ルナリアァ!」
って叫び声が離れてく、わたし,飛んでる……
と思ったら急激に襲ってくる落下感。
「落ちっー!」
ドボン。
泉に頭から落ちました
「ブクブク、ブクブク――!」(あの駄馬、覚えてろ!)




