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第4話  その5 「乙女好きとか、最初から怪しいよね」

 こ、これが「ユニコーン」


 プラムからダイレクトに、ユニコーンの知識をインプットされてわかった。その性質は驚愕、というか……

 これじゃ聖獣ユニコーンというより、セ◯ハラおや◯だわ!


(これはお嬢さま大ピンチです!)

とにかく一度距離を取らなきゃ。お嬢さまに、早く伝えなければ。

 

 睨み合うお嬢さまと駄馬(ユニコーン)に一目散で駆け寄り、お嬢さまを小脇に抱え込んで、緊急離脱で草むらに駆け込んだ。


 こういう時に、軽くてコンパクトなのはお嬢さまの美点です。

 

「ちょっとルナリア、何をなさるの、わたくしまだあの駄馬に仕返ししていませんのよ!」

もう目標が捕縛から仕返しにすり替わってますよ。

 

 ユニコーンも前足で地面を擦り付けて頭をブルブルって振って威嚇体制。でもすぐに襲ってこないのは向こうも魔法が効かないことに戸惑っているのね。


 お嬢さまを小脇から下ろして立たせると、わたしは片膝を着いて目線をまっすぐに合わせ、肩に手を置き

 

「お、お嬢さま、お、落ち着いて聞いてくださいまし」

「まず、あなたが落ち着きなさいルナリア」

 

 ――そうですね。スーハー、スーハー。深呼吸、深呼吸。

 

「ユニコーンは想像していたよりもはるかに危険な生物でした」

「何か毒でも持ってるのかしら?」

「いえ、毒は無いですが乙女のピンチです」

「何それ、ユニコーンは乙女の味方の聖獣ではなかったかしら?」

「その通りですが、正しくは清廉潔白な乙女の味方です」


「???」

 

 お嬢さまがわけわからんって顔向けてくる。

 

「先ほどお嬢さまを転がしたあの技は相手の精神属性を探るスキルです。お嬢まの魔法が効かない体質が作用して、今回は愉快に転がりましたけど」


「本来は相手の属性が、善か悪かを見極める魔法にございます」


「今、愉快って言いましたわね! 不愉快ですわ。それで善か悪かを見極めるってどういうことなの?」


 とにかく、ユニコーンの本当の恐ろしさをお嬢さまにすぐに伝えて逃げなきゃ!

 

 (プラム、手伝って。なるべく簡単にわかりやすく伝えるわよ)

 《了解です。"透香"プロトコルよりシナリオ・舞台演出 取得完了》

 《ルナリア(AI)リンク完了 ナノマシン投映ホログラムスタート》

 

 お嬢さまの前にナノマシンによる立体ホログラム映像が投射され、その映像に合わせてわたし(ルナリア)がアテレコ開始!


「ビー!(上映開始合図)」


☆ ☆ ☆ ☆

 

「ユニコーンってどんないきもの!? (ぜんねんれいばん)」

 

「ユニコーンはとってもつよくて、キレイなケモノだよ」

 

「ユニコーンはおんなのこが、だいすきなんだ」

「……きもちわるいね」

 

「おんなのこをみつけると、こころのなかをのぞいちゃうんだ」

「なにそれ、きもちわるいね」

 

「それでね、かってにのぞいたのに、てんすうをつけておんなのこを、くべつするんだよ」

「ナニサマってかんじだよね」

 

「ひとつめはね きよらかですごくやさしいおんなのこのばあい」

「『まもってあげる』よって、ずーっとつきまとわれるの」

「ストーカーかな」

 

「ふたつめはね ふつうのどこにでもいるおんなのこのばあい」

「『いっしょにあそぼう』遊んでくれたらいいもの(バフ)あげるよ」

「ついていっちゃ、ダメ。ぜったい」

 

「みっつめはね こころのなかがよごれてるわるいおんなのこのばあい」

「『おしおきだ』っておんなのこの、いちばんだいじなはなを、ちらしにくるんだ」

「もう、はんざいしゃだね」


★ ★ ★ ★

 

 ホログラム映像には泣いてる女の子に襲いかかるユニコーンが絵本調のイラストで映し出されて緊急上映会終了

 

「というわけです。わかりましたか、お嬢さま。ユニコーンはこのように非常に倫理的に危ない生物なんです。さあ帰りましょう」

と手を引いて逃げ出そうとしたのに

 

「では,何も問題ありませんわね! 私のような高貴で清廉な乙女には味方して、守護獣になっていただけるのですもの」


 全然わかってなかったです。

 

 いや分かってないのはご自身のことでした。どこからくるのですかその自信。


わたしの手を振りほどいてユニコーンに駆け寄り

 

「さあいらっしゃい 我が守護の獣よ! 私の前に頭を垂れ服従を誓いなさい!」


「ヒヒーン!」

「プギャアー!」

 

 また転がってる。学習能力ないんですかお嬢さま。

《ナノマシンの消失確認》

 

 さすがにユニコーンも魔法が2度も効かなかったことに戸惑っているらしく、頭を低く下げて転がるお嬢さまをジッと観察をしている様子。


(もしかしてこれってチャンスじゃないのかな。プラム)

(魔法が効かない。中身がバレない。そこを嬢さまの見た目で押し切る)

(これいけそうじゃない。黙ってさえいれば、お嬢さまの見た目のポテンシャルは最高なんだから)

《今のところその可能性も否定できません》


 そんな期待を込めてお嬢さまとユニコーンを、ここは継続観察。転がり終わってうつ伏せに倒れてるお嬢さま。

 

「1度までか2度もわたしを転がすとはいい度胸ね、この駄馬!」

 

 ユニコーンがゆっくりと近づく。興味ありげに鼻先を近づけクンクンと鼻先をヒクヒクさせる。


 威勢がいい割にはお嬢さま怖くて固まってるご様子。


 さらに頭を下げてその額の真珠色の一角をお嬢さまと地面の間に差し込むと、フンっとばかりに頭をあげた。

 

「プギャー!」

《ユニコーンより精神探査スキャン照射確認》

《抗体反応によるナノマシン消失観測》

お嬢さまがまた転げてる。

 

 その後も

ツノ差し込み

「プギャアー」

《照射・消失》

お嬢さまゴロゴロ――

 

ツノ――プギャア――ゴロゴロ

ツノ、プギャ、ゴロ……

 

 なんか毛糸玉で遊ぶネコを見てるみたい。あの駄馬少し楽しくなってきてるよね。

 

『いいな。透香、わたしもやってみたい』

(そうよね。わたしもやり……)

 

 ああっー!羨やんでる場合じゃない。お嬢さまの大ピンチじゃないの!!


 このままじゃお嬢さまが、お腹押せば鳴く幼児向け愉快なソフビ人形よ!


 とにかくお助けしなきゃ!

 

 今、あなたのメイドが行きますよー!!

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