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15.お茶を囲んでおしゃべりしましょ

 午後。

 庭のガゼボに用意されたアフタヌーンティーの席で私はデインとファインさんとテーブルを囲っていた。


 三段のケーキスタンドには色とりどりの小さめのケーキが並んでいる!ちんまりとしたケーキたちは見た目も味も良く、絵に残してもらいたいくらい可愛い!!


「そっちなぁに?」


 デインの取り皿に置かれているのはクリームの乗ったパウンドケーキだ。見た目だけでは何味か分からない。


「ん?これか?紅茶みたいだ。アールグレイかな」

「いいなぁ。美味しそう!」

「そこに同じのあるんだから食べればいいだろ」


 デインはケーキスタンドを指さす。そんなことは分かっているが、取る前に何味か知っておきたかっただけだ。つくづく上からな人だ。優しくないっ!

 少し膨れつつ紅茶味だというパウンドケーキを取る。


「……随分仲良くなったのねぇ」

「別に仲良くは無いし!」


 ファインさんが意外だというふうに呟くと、即座にデインが否定する。別に仲良くなったつもりは私もないが、真っ向から否定されるとちょっと悲しいかもしれない。

 でもまぁ私は大人なのでデインの言動一つで取り乱したりしない。


「さっき、デインと魔法の課題を一緒に解いたの」

「そうなのね。デインは魔法の勉強には特に力を注いでいるのよ」

「そうなんだぁ。すごいね」

「……ふん。当然だ。しかも俺はグラウヴェン・ロザン先生に師事を受けているんだぞ」

「だあれ?それ」

「お前、グラウヴェン・ロザンも知らないのか!?」


 有り得ないというふうに驚かれてしまったが、私は田舎育ちの元孤児だ。お貴族様の常識がなくて当然だろう。聞くところによると、そのデインの先生は有名な魔法使いらしく、その方の下でデインは日々魔法の研鑽をしているそうだ。熱心だなぁ。


「お前は……まさかとは思うが、叔父上に魔法を習っているんじゃないだろうな……」

「そうだよ」

「なんてっ、羨ましい!!」

「こらデイン。机を叩かないの。お行儀が悪いわ」


 ダァンと机を叩いたデインをファインさんがたしなめる。

 デインはどうやら父様の事が大好きみたいだ。すごく尊敬してるみたいで父様の話になると、もう、なんというか目の色がちがう。


「お前、叔父上はすごいお方なんだぞ。それをちゃんと分かっているのか?」

「そんなにすごいの?」


 確かに父様は魔力量や質から並大抵のものではない。父様自身も「魔法には自信がある」と言っていたくらいだし、すごい実力を持っているのだろう。


「すごいなんてものではない!!間違いなく国一番……いや、世界一の魔法使いだ!!アーカナリア学院を首席で過ごし、数々の新しい魔術や理論生み出しているし、卒業まで首席の座は譲らなかったという!!!卒業してからは世界中を駆け回り冒険者としてネームドモンスターを多く討伐したという功績は今も語り継がれて国から褒賞を授かっているし、今だって魔導公爵として引く手数多なんだぞ!!」


 ……早口でまくしたてられて私は若干引いた。デインは興奮しているようで勢いがつくごとにグイグイとこちらに迫ってきた。私には意味のわからない言葉が多く彼の熱量にはついていけなかった。


「へぇ、そうなんだぁ」と言うとデインは「もっとありがたみを感じろ!!」と怒りだしてしまった。


「はぁ……俺も叔父上に魔法をみてもらいたい……」

「みてもらえばいいじゃない。父様、断らないと思うけど」

「俺のような未熟な魔法使いの魔法など、叔父上にお見せできるものではない!!」

「めんどくさいな……」


 そんな私たちのやり取りをファインさんは紅茶を飲みながら楽しそうにながめていた。


 それから話題を変えながら三人で色々と話した。

 ファインさんは屋敷での生活に不便がないかとか、不安な事は無いかとか聞いてくれた。気をつかってくれているみたいだ。

 デインは父様の事とか魔法の話題を持ち出すことが多いみたいだ。ブレないな。


「デインは昔っから素直じゃない意地っ張りな子でね」

「母上っ!」

「この子の言う事をあんまり真正面でうけとっちゃダメよ?ひねくれてるんだから」

「はーはーうーえ!」

「こんな子だけど仲良くしてあげてね」


 ファインさんとデインは仲良く言い合っている。

 いいなぁ。私にも母様がいたらこんなふうにお話出来てたんだろうかと、少し羨ましくなってしまった。


「盛り上がってるみたいだね」

「叔父上!」


 しばらく話していると父様が屋敷からでてきた。このティータイムに参加するようで、私の隣に座る。デインは父様の顔を見て、あからさまに嬉しそうな顔をしていた。


「連絡は終わったの?」

「なんとかね」


 何かお仕事をしていたのだろうか。父様とファインさんは二人で頷きあっている。


「ふふ。カノンちゃんのお披露目パーティの話よ」

「お披露目?」

「そうだよ。王都のタウンハウスで盛大にやろうと思ってね。でもまぁ数ヶ月後の話だ」


 なるほど。どうやら私を色んな人に紹介する場を設けようとしているらしい。二人は1000人規模とか、王族を招待とか言ってる……。大きなパーティになるみたいだ。私はそれまでに礼儀作法やダンスなどを一通りできるようにならないといけないみたい。わぁあ……大変そうだ……。


「大丈夫だ。カノンなら上手くこなせるさ」

「そうよ。私もたまに様子を見に来るわ」


 表情がこわばってしまったのがバレたのだろう即座に二人からフォローが入った。


 それから四人で雑談をして、アフタヌーンティーが終わるとファインさんとデインは帰る時間になった。


「それじゃあね、カノンちゃん。次会うのは公認式になるかしら」


 公認式とは、以前からやるぞといわれている私が父様の娘だと認めてもらうための儀式のことだ。ファインさんも親族代表として参列してくれるらしい。


「また難しい課題が出たら、手伝ってやらんこともない」


 デインは最後までちょっと上から目線だった。


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