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第八章 告発
その夜、涼介が再び咲のアパートを訪れた。
「香織が何をしてるか知ってる」
涼介は怒りを隠そうともしなかった。
「君の悪い噂を広めて、居づらくさせようとしてる」
「もういいんです」咲は疲れていた。「私が去れば、すべて解決します」
「そんなことはない」涼介は咲の肩を掴んだ。「僕は君を失いたくない」
「香織さんはどうするんですか?彼女を裏切るんですか?」
涼介は沈黙した。
「答えてください」咲は涙を流していた。「私のせいで、香織さんが傷つくのは嫌です」
「咲」
「もう十分です。昔のことは昔のこと。涼介さんには香織さんがいる。私は邪魔者です」
涼介は何も言えなかった。そのまま、彼は帰っていった。