変わるもの、変わらないもの
「優ーーーー!」
あっちゃんからの告白に答えに答えられず、その場に立ち尽くしていた俺とその回答を待つあっちゃんの前に水玉ワンピ姿の結月が現れる
「結月…」
呼吸を整えると、結月は真面目な顔であっちゃんを見つめる
「小林明日香、悪いけど、優に近づくのやめてもらっていいですか。あんたは私の大事な親友を、幼なじみを傷つけた。その罪は一生かけても消えない。それを一生背負って生きていけよ!!」
その言葉は、俺の本心をまるで代弁しているような、幼なじみである結月だからこそ言うことができる叫びだった
「はは、あんたみたいな女のなり損ないみたいなやつがそんなことよくいえたもんね!?」
そう言いながらあっちゃんは結月の服を掴み、破ろうとする
「ひっ、た、助け」
「あんたなんかしょせ……っ!」
俺は気づいたらあっちゃんを殴っていた。強すぎたせいか、少し遠くに吹っ飛んだ
「そうやって生きて!関わる人全員から見放されていく人生送ってろ!!」
あっちゃんに向かって捨て台詞を吐き、俺は結月の腕を掴んで人目のない場所へと走った
「こ、ここなら人いないよな…」
「ごめん、優、私…」
結月が申し訳なさそうな表情で俺に小声で呟く
「ありがとう」
「え」
「お前が女になってくれてなかったら、多分今も引きこもってたと思う。それに、さっき助けようとしてくれたの、感謝してる」
「優...」
「まあとはいえ、この間のあれはやばかったと思うよ…正直怖かった」
「そ、そうだよね…」
「過去は変えられない。それは、あいつの罪が消えないのと一緒だ」
「うん…」
結月の気まずそうな表情を見て、自分がちょっと怖い顔になっていることに気づいた俺は、意識的に表情を緩める
「でも、過去は変えられなくても、これから、それを忘れるくらいの楽しい思い出を作ることはできる。だろ?」
「…!」
結月の表情が少し明るくなる
「俺はそんな思い出を結月と作っていきたいんだ。俺のことを一番大切に思ってくれてる、親友とさ」
「私も…作りたい」
結月が明るい声でそう答えると、花火が上がり始める。俺たちは、花火の上がる方へ向き、無言で淡々と上がる花火を見つめた
「ねえ、優」
16発目くらいの花火が打ち上がった頃、結月が口を開く
「ん?」
「私、優のことが好きなのかもしれない」
「…そうか」
「引いてる?」
「いや、別に。でも、今告白されても、OKはできないかな」
「そうだよね。ごめんね」
「いいよ、でもまあ、幼なじみにそう思ってくれてたのは少し嬉しいかもしれない」
「本当に?」
揶揄うような口調で結月が訊ねる
「本当だ」
「じゃあ、いつか恋人になってくれる?」
「それはその時になってみないとわからないだろ」
「もう、どっちなんだよ」
結月が俺の腰を肘で突く
「やめろって、今は友達でいたいんだよ」
「ぶー...はぁ、わかった。今は我慢したげる」
結月が頬を膨らませてから、ため息混じりにそう言った
「まあでも、どういう未来になろうと、結月とはずっと親友以上の関係でいたい、そう思ってるよ」
「...じゃあ、わがまま聞いて」
目線を合わせず、顔を赤らめて俺に手を伸ばしてくる。俺はその手をぎゅっと握りしめた。その手は暖かくて、優しくて…結月らしい温もりを感じた
人は皆、変わっていく。例え誰かが壁や困難に直面して、前に進めない人がいたとしても、無情にも変化が止まることはない。そう、横で俺の手を握りしめたまま、花火を見つめる俺の幼なじみが、女の子になったように
でも、例え時代や、人が変わっても、この友情は変わらないものであると、俺は強く信じたい
TS恋!?ついに夏休み回まで終わりました〜
いやぁほんっっっっっとうに書くのしんどかった。だってですよ?一回文化祭のとこまで書いたのを一回白紙にして書き直したんですから。まじで大変だった。でもその分内容濃くできた気がするのでそういう意味では良かったかもしれません。とにかく、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
んで!!!!ここで終わりじゃないですよ!?もちろんここからまた2学期編スタートです…が、その前に!区切りが非常にいいので年末年始期間の3回分の枠はSSSを投稿します!
キャラの過去とか深掘りしていく感じになるのでぜひ楽しみにしてくれたら幸いです
てなわけで一足早いですが良いお年を〜




