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不安な心
私は辛い気持ちを拭えないまま、花火大会へ向かった
「わざわざきてくれてありがとね、結月」
「す、すみません先輩。私…」
「はぁ…あんたねぇ」
先輩がため息をつく
「結月ってさ、なんのために女の子になったんだっけ?」
「…」
「怒らないから正直に答えなさい」
先輩が優しく言う
「優の元気な姿をもう一度見たかったからです。でも、なんか、それをもっと側で見ていたい、もっと親密な関係になりたいって気がついたら思うようになってて…それで…!!」
私の目線の先に、明日香と一緒にいる優の姿が映る
「行きなさい」
「で、でも…仲直り、できるか、不安で」
行かなきゃいけないとわかっていながら、私は一歩踏み出せず、先輩にそう言った
「あなたと優くんの友情は、その程度なの?」
「それは違う!」
私は強い口調で反論した
「なら大丈夫だ。行きなさい。もう自分を見失ってはダメだよ」
先輩は微笑みながら私の背中を押す
「はい、行ってきます」
私は優の元へと全力で走った
「しっかりやるのよ」




