嵐の傷跡
あの出来事から3日経った。俺は何度かスマホからメッセを送ったり、家の玄関前に行ったりしたが、一向に返事はないし出てくる様子はない
…気まずいのだろうか。とはいえ、俺はただただ恐怖だった。思い出したくもない
「優、大丈夫?」
机に座り込んで考え事をする俺にコップを両手に持った虹咲さんが後ろから声をかける
「あ、ああ虹咲さんか。大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
「なら良かった。はいこれ」
虹咲さんはそう聞いて安心したような表情で俺にコップを渡す。紅茶が入っていた
「これ、虹咲さんが入れてくれたの?」
「うん!ボク、紅茶作るの、実は上手」
得意げな表情でそう言う虹咲さん。半信半疑になりながら飲んだが、確かに美味しい。この子、意外とやるな…
「すごい、美味しいよ」
「ほんと!?嬉しい」
目をキラキラさせながら喜んだ
プルプル
その直後、俺の携帯から着信音が鳴る。もしかして結月からかと思い、俺は発信元の名前を確認せず、電話に出る
「優くんかな?久しぶり、私だよ」
久しぶりに聞いた声。電話の主は、あの女だった。俺は申し訳ない表情で部屋の外に出るよう虹咲さんにジェスチャーした
「なんの用だよ」
俺は怒った声で訊ねる
「ん?何怒ってるのかな。ちょっと今日話したいことがあったからさ」
なんの罪悪感もないような声色。やっぱりあっちゃんは怖い女だ
「はぁ?」
俺はその言葉に戸惑う
「今日さ、花火大会あるでしょ?そこで話できたらなって」
「俺に不利な話だったら承知しねぇぞ」
「そんなこともう流石にしないよ。じゃ、夜。よろしくね」
そう言うと、あっちゃんは一方的に電話を切った。そっか、すっかり忘れていたが今日は花火大会だ。あいつには会わせたくないが、せっかくだし虹咲さんも連れて行くか




