私の家族
病室のベッド起き上がると、鏡の前には懐かしい姿が映っていた
私はこの懐かしい姿に思わず涙してしまった。だが、鏡に映る姿も一緒に泣いていることに気づき、これが自分の今の姿であることにようやく気づく。
そう、私は女になったのだ
私は着替えを済ませ、荷物をまとめ、家へと向かう。かつてなかった長い髪が、風で揺れる感じが伝わってくる。顔にたまに当たるのがちょっと邪魔だ。学校に行く時は、髪の毛をまとめることにしよう
「ただいま」
家の玄関をゆっくり開ける。すると、私の声に気づいたのか、佳奈がリビングのドアを開ける
「…!ま、ママだ!!」
私の姿を見て、お母さんが帰って来たと思ったのだろう。涙をポロポロ流している。そして、私が抱っこの構えをすると、廊下を走り私の胸に思い切り抱きついてきた
「さびじがっだ!ざびじかったよおおおおおお」
私の胸元で泣きじゃくる妹を私は強く、強く抱きしめた。もう、離さない。これからの平和な日常も、佳奈のことも…私が守ってみせる
お母さんの代わりに
その晩、私は佳奈と一緒に寝た。本当に幸せそうだった
「お母さんが戻ってきて嬉しい?」
「もううそつかなくていいよ」
「え?」
私は佳奈からの言葉に目を丸くした。え?バレてたの
「だって、おにいちゃのにおいがしたもん」
私のにおい?ってどんなにおいだ。よくわからないな
「あ、そ、そうなんだ。ごめんね。騙しちゃって」
「だいじょぶ!だってね、かな、ママがもどってきたみたいでうれしいのはほんとだから…」
そう言って、佳奈は私のことをまた強く抱きしめた。佳奈も、ゆっくりではあるけど現実を受け入れようと頑張ってるんだ。すごいな…この子は強い子になる。そう思った
「ねえあに、じゃなかった。姉ちゃん」
佳奈の部屋のドアが開かれる。健だ。言わなくてもどうしてここに来たのか、私には分かる。私は健に目を合わせて佳奈を抱いたまま手招きをした。健は私たちの方にかけより、寝そべる。私は健も一緒に抱きしめた
「一緒に寝たいなんて珍しいね」
私は冗談まじりにそう言うと健が顔を赤くし
「い、いいだろ。仲間はずれみたいで、嫌だし」
と恥ずかしげに答えた。私はそれを聞き笑いながら撫でてやると、安心したように眠についてしまった。可愛いな。というかそっか、健も寂しかったんだ
でも、もう大丈夫だよ。私が二人を守ってみせる。私は心の中でそう答えた




