変わる日常
俺は気がついたら弟たちの泣き声が響く病室にいた
「お母さんは…」
「残念ですが」
もう、ダメらしい…医師が悔しい表情で申し訳なさそうに言った。俺は現実を受け入れることができず、カバンを落とし、その場に座り込んだ。どうして、何にも悪いことはしてないのに、なんで、罪のない人間が悲しまなきゃならないんだ
それから数週間後、弟の健は辛い気持ちを押し殺して学校へ通うのを再開したのだが
妹は、心を閉ざしてしまった。ずっと、泣いている。佳奈はまだ2歳、お母さんにずっとくっついていたい歳だ。それなのに、お母さんが突然、自分の前から姿を消したのだ。受け入れられるはずがない
どうすれば、一体どうすれば
俺は学校を休み、佳奈の面倒を見ながらずっと考えた。答えなんて、出せるはずがないのに…
それからさらに1週間、お母さんの搬送先の医師から一本の電話が入る。どうやら、俺と面会したいのだそうだ。もしかしたら、何か解決策が思いつくかも、そう思った俺は、お隣さんに妹を預け、病院へ向かった
「わざわざごめんね、呼び出してしまって」
「いえ、ところでなんです?」
「妹さん、悲しんでるでしょ?」
「はい、と言うかよく分かりましたね」
「まああの年頃の子はみんなそうなるだろうから」
「ですよね」
「きっと、君も苦労してるんじゃないか」
ああ、察してくれてたのか。相談できる相手がずっといなかった俺は、ここで思わず泣き出してしまった
「俺、どうすればいいかわからなくて…」
「そうだろうね…辛いよね」
俺の背中を医師がさする
「すみません、本当に…」
「いいんだよ。あと今日は、君に提案があってね」
「…提案?」
鼻水を啜りながら訊ねる
医師から説明を受けた俺は、提案を受け入れた




