俺の家族
「…にいちゃ、起きて」
誰かが俺の体を揺さぶっている。昨日も勉強で夜遅く寝たのだ。頼むからギリギリまで寝させてくれ。朝ご飯?カロリーメイトで十分だ
「まま!おにいちゃん起きない」
諦めてくれたのか、体が軽くなった気がする
「もう、こらつかさ!!お き な さ い !」
そう思った矢先、聞き馴染みのあるふんわりとした声が部屋に響き渡ると同時に、布団が奪われる
「ん〜もう少し寝ててもいいだろ」
「ダメよ」
無慈悲だ。俺は仕方なく起き上がることにした
「おはよ、おにいちゃん」
お母さんのエプロンを掴みながら俺に向かって挨拶するのは、俺の妹である佳奈だ。今年で3歳になるのだが、言葉を覚えるのがとにかく早い。俺が毎晩読み聞かせをしてあげてるおかげだろうか
「お母さんこんなにいっぱい作んなくてもパンだけでいいのにぃ」
俺のお母さんはとにかく料理が好きなのか、毎回食事が豪華だ。だが、あまりに量が多いので俺は正直なところもう少し減らして欲しい。いまにも胃もたれを起こしそうである
「育ち盛りなんだからいっぱい食べなさいよ」
「いや言うて俺もう成長期すぎてるけど」
「高校生までなら全然成長期よ」
お母さんがにっこり笑顔で反論する。いやそういう問題ではないんだけどな
「とにかく!俺はちょっとで十分だから」
俺は椅子に座り、ご飯とエビフライを口の中にかきこむ
「おにいちゃんつんでれ〜?」
「違うぞ佳奈、これは素だ」
「お兄ちゃん、また佳奈に変なラノベの読み聞かせしてるだろ」
「え、あれ教育に悪いからやめてって言ったじゃない」
反対側に座ってる弟の健の言っているとおり、実は佳奈には俺の好きなライトノベルを読んで聞かせている。最近は泥沼なラブコメを読んで聞かせており、その成果なのか三角関係という言葉とその意味を覚えてしまった。とても賢い子だと思う
「おにいちゃん、かえったらつづき!」
玄関で俺が出るのを見送りながら佳奈がいう。目がキラキラしていて、とても尊い。この子は将来絶対モテる、そう思う
「ああ、もちろん」
「やったー!」
喜ぶ佳奈を俺は撫でて、健と一緒に外へ出た




