こいつには恥じらいという感情がないのだろうか
「どうしたの優」
俺はその場に固まってしまった。なんでだ、どうしてこいつは俺に裸を見られて恥ずかしがらないんだ。男に見られてんだぞ
「素っ裸だけど大丈夫なのか」
何を言えばいいか分からなかった俺はそのまま聞いてしまった
「だって、風呂上がりだもん。服もないし」
俺の反応を不思議そうに思ってそうな表情で答えた。天然か。そういうことじゃないんだが
「いやだから、俺に見られて恥ずかしくないの」
「なんで?」
「男に見られてるのに恥ずかしくならないのか」
「でもボク、男だもん」
頬を膨らませながら反論。なんでだ、結月だったら多分パニクって俺のこと平手打ちしてくるぞ
「いやそういう問題じゃないから!とりあえずこれ着て」
俺はパジャマを両手で顔と同じ位置に持ち上げて言い、虹咲さんに近づく
ツル
「うぐ」
ドンッ
俺は床が濡れていたせいで滑ってしまい、風呂場に倒れた
「…優、大丈夫?」
「あ、え…」
しかも、虹咲さんを押し倒す形で
よくよく近くで見ると、可愛い…な。こいつに直接それを伝えたらきっとまた不機嫌になっちゃうだろうけど、でも事実だ。美しい長い髪は、母譲りなのだろうか。すごくサラサラしてそう。いい匂いがしそう。そして、オレンジに光る夕日のような瞳、この瞳を見て恋に落ちた男子が何人もいそう
でも、肌はちょっと手入れが雑な感じがする。しっかり手入れしてればすべすべしそうなのに…あと傷があるな。これは…虐待?…でも、聞くのもあれだしな…
でも
なんというか、今まで感じると思わなかったはずの感情を今、俺は感じている気がする
「…なんで顔真っ赤なの?」
「あ、あああごめんごめん」
虹咲さんの声で我に返った俺は慌てて起き上がる
「ごめんね、怪我してない?」
「うん、大丈夫。そっちは」
「ああ、おれはだいじょ…」
「優ー!」
突然結月が勢いよく入ってきた
「お母さんから聞いたよ〜!虹咲さんが来たっ……て…」
全裸の虹咲さんと一緒に風呂の中にいる俺を見て、結月の瞳から光が消えた。ああ、俺詰んだ




