半年後
祝福の儀から、半年がたった。
今、僕は家の裏山で自分のスキルを修行している。
日に分けて魔法の修行をしており、今日は神・召喚魔法の修行だ。
あ、ちなみにこの神というのは〜域という魔法の階級を表している。
通常、名→師→王→神の順に魔法の練度が上がる。
しかし、たまに師域から王域に行く際に、魔法自体が突然変異して、帝域という階級に行くことがあるらしい。
この帝域とは、王域とは異なり、魔法の本質ごと変わるのだとか。
話を戻すと、召喚魔法とは魔物を召喚して戦わせる魔法で、僕にとって最も大切と言っても良い魔法だ。
将来的には、僕のモットー『他力本願』に基づき、僕が動かなくても配下である魔物が全て何とかしてくれる状況を作りたい。
しかし、この召喚魔法というのは厄介で、どう足掻いても普通じゃ覆すことの出来ない欠点があるため、今では使用者が僕だけになりつつある魔法である。
どういうことかと言うと召喚魔法は、主に幻実召喚とランダム召喚というふたつの魔法を駆使して戦う。
まず幻実召喚だ。
この幻実召喚というのが問題で、この魔法は、無から魔力を使い有を生み出す魔法という点においてとても素晴らしい魔法になっている。
しかし、普通に召喚しても現実の同じ種類の魔物より圧倒的に弱い魔物として召喚されるのだ。
現実の魔物より強く召喚するには、その召喚する魔物のことを詳しく知る必要がある。
どのくらい詳しく知る必要があるかと言うと、骨格から内蔵の位置、更には生活習慣や、言語などありとあらゆる魔物に対する知識を、知る必要がある。
最初、アカさんから聞いた時
(え?これ無理じゃね?)
《そうですね。普通の人じゃあ現実の魔物並に強く召喚することすら困難です》
これを聞いて、僕は絶望した。
初っ端から、つまづいたのだ。
普通に、魔物のことに関してそこまで知ることは不可能だろう。
しかし、次のアカさんの発言を聞いて、僕の目はランランと光り輝いた。
《でもマスター。マスターには、私がいます。この世界のことを全て知る私なら、魔物のことを全て分かります、私が居ればマスターは、完全召喚を発動することができます》
完全召喚とは、召喚する魔物に関しての知識に不備が一切ない時に発動する召喚魔法の伝説的奥義とも言われる魔法のことだ。
完全召喚で召喚した魔物は、現実の同種の魔物より強さが1.5〜2倍は変わると言われている。
(つまり、僕は召喚魔物に関してはアカさんに任せて、召喚の方に集中したら、強い魔物を呼び出せるってことだね?)
《はい。その通りです!》
アカさんも、少しテンションが上がったように話した。
この事があってから、僕は多重召喚というのを今、練習している。
この多重召喚という技術がまた難しい。
今は、最大5つの召喚陣を同時に発動させることができる。
しかし今の僕の処理能力では、5つの同時召喚時は、召喚可能な魔物はゴブリンか、スライム、コボルトなど弱い魔物しか居ない。
ゴブリンが5匹いた所で瞬殺されるのがオチだ。
今は、5つ同時召喚時に、オークを召喚することを目標にしている。
次に、ランダム魔法。
先程の幻実召喚がダメならもうひとつの方にと期待してしまうのが人間だ。
僕も実際こちらに頼ろうとした。
しかし、アカさんの一言により僕の希望は砕け散った。
《マスター?ランダム召喚は、今のマスターじゃできませんよ?危ないですし》
なんと、このランダム召喚、大量の魔力を消費するらしい。
なんでも、全世界から、ランダムに選んで転移させるため、必然的に消費魔力量が上がるらしい。
いや、なんで転移魔法も自然と入り込んでんねん!
更に、追い打ちをかけるように
《マスターは、まだテイム技術を習得してないので、そもそも呼び出しても配下に出来ませんよ?》
はぁ!?
召喚魔法と言っておきながら、勝手に選んできて勝手に召喚してあと任せるわ…という身勝手な魔法らしい。
更に、この魔法。
魔法界域をあげるごとに、召喚可能範囲というのが広がっていくようだ。
神域まで達すると、魔界、冥界、神界などありとあらゆる世界からランダムで召喚してくるらしい。
つまり、気軽にランダム召喚を発動した場合、冥界獣や、悪魔なんかが召喚されることもあるのだ。
いや、これ誰が使うん?
《でも、マスター。範囲指定をすることで魔力消費量も抑えて、安全に魔法を使うことができますよ?》
(え?マジで!?じゃ、じゃあ僕でも使えるかな?)
《今のマスターじゃ無理です。そもそも魔力量が足りません。それに、範囲指定をするには圧倒的に処理能力が足りません》
あ、うん、知ってた、知ってたよ。
僕の魔力量って、師団長並のはずなんだけどなぁ…
伊達に現代使われない魔法ランキング30年連続1位になってないわ。
ちなみに30年前は、空間魔法と時間魔法との一騎打ちが長年続いていたらしいByアカ先生
そんな感じで、この魔法に僕の将来を託していいのか不安になりながら幻実召喚を徹底的に仕上げていった。
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