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見習いメイドの気持ち

 時は少し遡り、グラナータ家厨房では小さな影が2つ動いていた。


「ゴブ助、そっちあった?」

「ゴブゥ」


 ゴブ助は、首を横に振る。


「そっか〜。どこに落としたんだろう?」


 私、セルティカは現在、厨房でレン様から貰った大事な髪飾りを探していた。

 最初は、避難所に走っていたのだが、途中で髪飾りがないことに気づき急いで戻ってきた。


「はぁ〜。本当にどこに落としたんだろぉ。あんなに大事にしてたのに」

「ゴブゴブ」


 気にすんなと言っているようだ。

 ゴブ助は、こんな時でも必死に探してくれた。

 邪獣ということもあり、最初は警戒していた私だったけど、月日が経つにつれそんなことはどうでも良くなった。

 最早もはや、人間だと言われても不思議ではない。


「そうだよね。早く探し出さないと、危険だよね」


 外では、先程から大きな音が鳴り続いている。

 数分は、音もしなくなったのだが、まだ続いているらしい。




「あったーーー!!ゴブ助、あったよ!」

「ゴブ?」


 私は、落ちていた髪飾りを拾い、髪に着けた。

 ニーヴという白い花で出来たとても綺麗な髪飾りだ。

 これは、私が10歳の時の誕生日プレゼントで、レン様が私にくれたものだ。


「良かったぁ〜。じゃあ、急いで戻ろうか」

「ゴブ!」


 ゴブ助は、元気よく返事をして厨房の裏口に歩いていった。


 次の瞬間、いきなり食堂の方からものが壊れる大きな音が聞こえた。


「なんだろう?」


 私は、気になって厨房の隙間からチラッと見た。


「レン様!?」


 そこには、服がボロボロで、体中傷だらけになったレン様が立っていた。

 私は、急いで駆け寄り声をかける。


「え?セルティカ?それにゴブ助まで」


 レン様は、キツそうに体をこちらに向けた。

 その時、レン様が通ってきたであろう食堂の穴から、誰かの歩く音が聞こえた。


「お!?なんだなんだ、クソガキ2人…とジャブリン?」

「ひっ!」


 出てきたのは、禍々しいオーラをまとった大柄の獣人だ。


「チッ、もう来やがった。ゴブ助、ちょっと来て」


 レン様が、ゴブ助をそばに呼ぶ。

 私は、恐怖のあまり足がすくんで動けない。


「なんだなんだぁ?にんげんとジャブリンが一緒にいる?お前、魔物使いでもあったのか?いや、邪獣使いか?」

「ゴブ助、わかってると思うけど君じゃ、あいつ相手は役不足だ。君は、転移術式をなるべく早く組んでセルティカと一緒に逃げるんだ」

「ゴブ?」


 レン様が話している間、男は1歩も動こうとせず、ジッと話が終わるのを待っているようだ。


「大丈夫!その間は、何とかして守るから。任せたよ」

「ゴブ!!」

「おっ、話し終わったか?」


 男は、終わったと思うやいなやレン様話しかけた。


「おかげさまで。意外と優しいんだな」

「ふんっ、当たり前よ。俺は紳士だからな」

「じゃあ、この2人も狙わない──」


 突然、私たちの目の前が黒く染まった。

 突然の事で、私は目をつぶることしか出来なかった。

 しかし、いつまで経っても衝撃は来ない。


「ちょっと、いきなりは酷いんじゃない?」

「はっ!戦場に、戦闘員も非戦闘員も関係ねぇんだよ」


 目を開けると、青白い障壁が私とゴブ助の前にあった。


(これは、レン様の結界。レン様は、あの男の攻撃から守ってくれたんだ)


 ガキィィィィィン!!


 私が瞬きをした瞬間、目の前にパンチをした状態の男が突然現れた。


「ひっ、、」


 男がパンチしたところからヒビが入っており、もう1発当たったら、結界が壊れそうだ。


「もういっぱ──」

「だから、やめてって」


 次の瞬間、男はパンチを放った状態で、先程の位置に転移していた。


「・・・は?もしかしてお前、他人も転移させれるのか?」

「やりたくないけどね。はぁ〜、頭痛い」


 レン様は、顔をしかめつつも男の言葉に返した。


「はっははははは!マジかよ。最高じゃねぇか」


 それから、レン様と男の戦闘が始まった。

 私には、目でおうことすら出来ず、大きな音が鳴り響いていた。




 あれから、約5分後。

 隣では、脂汗をかきながら必死に魔法陣を弄るゴブ助がいた。

 目の前では、レン様と男の戦闘がまだ続いており、時折私たちのところに攻撃が来るものの、全てレン様が守っている。


(凄い…!最近、私も強くなったかもと思っていたけど、私なんてまだまだだ)


 自分は、何の役にもたっていないという、虚しさを感じていると、レン様がいきなりふらついた。


「レン様!?」

「やっと、限界が来たか」


 レン様は、もうフラフラになっている。

 魔法の使いすぎだろうか、目からは血が流れ、息は荒い。


「ガキ、もうそろそろ死んどけ。よく頑張った」

「はっ、うるせぇんだよ。あぁ、考えるのがめんどくせぇ」


 疲れ切っているのか、いつもとは違う言い方。

 レン様は凄いが、それでもまだ8歳の子供なのだ。

 その時、隣にいたゴブ助が大きな声を上げた。


「ゴブーーーー!!!」

「出来たか、ゴブ助!」


 ゴブ助の言葉を聞くやいなや、レン様は顔色を取り戻す。


「あ?なんだ急に」


 レン様は、それから数秒間立ち止まった。

 男も、何が来るのか警戒しているようだ。


「ゴブ」


 突然、隣から小さく返事のような声が聞こえると、レン様は敵に向かい合った。


「さぁ、踏ん張りどころだぞ僕!」

「何かしようとしてるのか?」


 男は、警戒を解かない。

 すると、レン様の周りが急に明るくなった。


「それは!?」

「ん?これ見た事あるっけ?まぁいいや。美しく果てろ」


 男が、びっくりしたように身構えると、レン様は手を前に出した。


小さな箱(ミノルソーレ・)庭の太陽(ジャルディーノ)


 レン様が唱えると、真っ赤に光る結界が男に向けて放たれた。


「ちょっ、マジかよ。逃げねぇと」

解放リベラ


 次の瞬間、目の前が真っ赤に染め上がった。

 私たちは、結界に守られているようで、何も無いが、結界の外は凄まじいことになっている。


「今だ。行け、ゴブ助!!」

「ゴブゥーー!」


 結界の外から、レン様の声が聞こえると、ゴブ助が吠えた。

 すると突然、浮遊感を覚え、目を開けるとそこは、グラナータ家正門であった。


「・・・はっ。レン様、レン様!!」

「どうしたのです、急にいなくなったと思ったら、いきなり現れて。ゴブ助の空間魔法ですか?凄いですね。私も──」


(レン様は?レン様がいない!?まさかっ、まだあの男とっ!?)


「ちょっと、聞いているんですか?」

「すみません、アーダさん。レン様が、まだあの中なんです。早く、早く助けに行かないと」


(死んじゃう)


【応援よろしくお願いします!】


 「面白かった!」


 「続きが気になる、読みたい!」


 「レンたちはこの後一体どうなるのっ……!?」


 と思ったら


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