謎の団体
ボクの好きな作家に原田宗典という人がいる。
どこがどう好きなのかと言うと、ちゃんとした文学小説を書くのだけど、なんだかこう…
ぬべ〜っとした脱力感が漂う作品になるのだ。
そんな彼が、時折「ハマったもの」について熱く語る事がある。男性は大抵、何かに対してハマった経験があるはずだ。
ここだけの話だが、原田宗典氏と彼の友人でイラストレーターの長岡毅の二人は、ある特殊な団体に所属して、不定期に活動を続けている。
多分、名称を聞いただけでどういう団体で、どんな活動をしているのか、理解に容易いと思う。
「西早稲田キャッチボール連盟」
土日の午後などに、連絡を取り合い、
「活動すっか」
「そうすっか」
などと言い交わした後に、近所の空き地で淋しくキャッチボールをするだけの団体である。
他の人からみれば、
「なにが楽しいのだ?」と
なるだろうが、ボクの場合「西早稲田キャッチボール連盟」に痛く共感した…というよりも、大阪時代に同じような団体を作っていたのだ。
しかし、彼らと少し違うのは団体のネーミングに対するひねりではないだろうか。
「東淀川ピン魔球会」
どういう団体かというと、堂山にあった「松本」という大衆居酒屋のマスター(当時33)とボク(当時19)で、毎週土曜の閉店後(日曜日の朝)に二人で店の外に出てピン球を投げ合うのだ。
ピンポン球というのは、握り方や投げ方で、とんでもないアジャパーな変化をするので、それを楽しみながらキャッチボールをして
「おぉ!すんばらしい球ではないかぁ!」
「なにをなにを、この球もなかなかのモノですぞぉ!」
などと偶然の賜物である変化を、まるで自分しか投げられない魔球であるかのように自慢する団体である。
そして、相手の投げた球が捕れなければ、朝食を奢らなければならないなどのルールが出来上がり、3回連続で捕れなければ、翌週は朝食&モーニング風俗を奢らなければならないなどという「グランドチャンピオン制」というルールも出来た。
始めの頃は、ピン球に色んな回転を付けて相手が捕れにくくする努力をしていたのだが、マンネリ化と2ヶ月連続ボクに「モーニング風俗」を奢るハメになったマスターが、
「相手の球を見て、その球をソムリエのように解説して、ネーミングをつけておもろい方の勝ち」
…などという無茶苦茶なルールを提示してきたのである。
まぁ2回も奢って貰ってる事だし、30過ぎの男の必死の懇願に圧倒されたボクは
渋々承諾したのだが、コレが間違いだった。
変態マスターのボキャブラリーは
「マジ、ハンパねぇ!」状態だったのである…
中でも記憶から離れないのは、手のひら全体で包み込むようにして、力任せに投げると投げた本人でさえ、毎回どんな球になるのかさえ分からない球
「魔球・G」
まぁ、こう書くと普通っぽいのだが、本当は
「魔球・自慰」
で…30も過ぎた大人の男が、そんなネーミングをつけただけでもドンびきだったのだが、それを捕っても捕れなくても「愛がうまれた日」を口ずさみながら、満面の笑顔を浮かべボクに持ってくるマスター(33)にその後3週連続負けてモーニング風俗を奢ったなぁ…
マスター…今頃何してるんだろ?