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ⅭⅬⅩⅩⅩⅡ 星々の様相と局面編 前編(4)

第1章。暗闇の底から(5) 〖エリースの目〗 

第1章。暗闇の底から(5) 〖エリースの目〗 


 

    【少し時間は(さかのぼ)る。】


 朝の心地よい木漏(こもれ)れ日が、重なり合う音楽を(かな)でているなか、

わたしは、街道のど真ん中に、折りたたみ椅子を持ち出し、しっかりと着座し、

万全の笑みを顔面に()りつけて、アマト義兄()()の帰りを待っている。


朝の()()()()と夜のお風呂が、お肌のはりと美貌のために、いかに必要か、

わたしは、十分にわかっている。


現在わたしの(まわ)りには、

今を盛りと咲き誇る、イルム・ルリ・キョウショウ・カシノ・リントたち。

それに、確実に、その才媛たちの列に加わるだろうと思える、

学友のキリナ・セリナ・ミリナがいるわ。


彼女たちは、美貌だけではなく、間違いなく歴史書にのるのは確実な女性。

歴史書を()む人間にとっては、彼女たちの美貌をどう文字にのせるか、

それだけで、編纂(へんさん)時間の半分の時間を必要とするでしょうね。


そんななかで、()()()美貌しか持っていない()()()が、

彼女たちの容姿に、劣等感を持たないためには、

自分も()()()()()の努力をしていると、

納得する生活を送らざるを得ないわ。


その上に、わたしには、()()ユウイ義姉がいる。

義妹のわたしが言うのはなんだけど、ユウイ義姉は、

まさに(いや)し系麗人(れいじん)の頂点とも言っていいわ。

おかしいことに、ガルスの街では、それ程騒がれなかったのに、

皇都では、義姉(アネキ)の、()姿()を一目見ようと、店の前は鈴なりの人だしね。

もはや、皇都の観光名所の一つになっている。

これって、()()()()()()と思うわ。


普通、この傾国の麗人(れいじん)レベルの美しさなら、王侯貴族の後宮か、

大商人の別宅か、裏の世界の人の別室に、囲われているはずで、

一般の人々の目にかかることはないのだけど、

()()暗黒の妖精ラティスの契約者の、()()()()()でいらっしゃるので、

皇帝予定者のセプティが、男だったとしても、

自分の後宮には、呼べなかったと思う。


ユウイ義姉の美貌は、親しいわたし()()には本当に狂気、いえ凶器ね。

その悪意の()()()さえない美しい表情が(せま)ってきて、

(おだ)やかな口調で責められるのは、自分のことならともかく、

今回のように、あの(ラティス)(ラファイア)のアホのために、

たぶん、いや確実に、帰宅後()められるのは、間違いない。


そう、今朝、朝のまどろみを省略したのは特別。

次回は絶対に、()められることがないように、

今日、出来る限り平和()に、あのふたりと交渉はしてみるつもり。

だから、絶対に逃がさないわ。

わたしは、十全の(わな)をはって、いえ万全の準備をして、ここにいる。


『でも、もし最悪の場合になったら・・・。リーエも、やってくれるわね?』

と聞いたら、逃げ出した緑のアホが、真っ青な顔で戻ってきた。


わかっている。だれかが、それも相当な強者が争っている。

受動的探知で、エーテルの乱れ、位置は確認した。


≪行くわよ、リーエ!≫


精神波で叫んで、わたしは大地を()って、空へはばたいた。



・・・・・・・・



 予想された地点の上空に停止した、わたしの目の前に、ふたりの戦士が・・・。

ひとりは地面に突っ伏し、ひとりは両脚・左腕から激しい出血をしながらも、

なおも立ち構える・・ヨクス・・、アマト義兄ィの命を狙ってきた、

この女戦士に、わたしは、いい感情を持ち合わせていない。


≪この気配エリースか?目の前の少年は敵だ。そして超上級妖精契約者・・・≫


次の瞬間、ヨクスの身体はグラッと傾き、地面の上に倒れた。

ヨクス!?けど、翔け寄れない。


≪少年。倒されたふりをしないで、起きてきたら!?≫


わたしは、もうひとりの倒れている人物に、精神波を放つ。


≪ククク、簡単には、だまされてはくれないか。≫


もう一人の戦士がゆっくりと立ち上がる、外見は本当に少年!?じゃない、

ひょっとしたら、わたしより若いかもしれない。


≪わが名はセイリル、土の超上級妖精。この身体はレサト、わたしの契約者だ、

 そちらの名は、風のエレメントの超上級妖精とその契約者・・・・。≫


≪わたしの名前はエリース、そして、相棒の名前はリーエ!≫


≪相棒?・・・そうか・・・。≫


振り向かないでもわかる。わたしの背後に、わたしの風の超上級妖精が、

攻撃姿勢で宙に停止してるのが。


≪エリースとやら、闘うまえに、凝縮(ぎょうしゅく)精神波を送る。

 それを知って、おまえの考えを聞こうか。≫


はしりくる精神波。

わたしの意識は、レサトとセイリルの契約時から今日までの画像を、

超上級妖精セイリルの目線で、追いかけてゆく。

同時に、わたしの視線は、レサトの指から黄金の糸が、超高速度で伸びてゆき、

ヨクスの身体の怪我の部分に巻き付き、止血?を行ってるのをとらえている。


≪超上級妖精といっても、不便なもの。水のエレメントでなければ、

 人間に対し治癒(ヒール)も、できない。≫


レサトの外観は、肩をすくめている。


≪エリース。

 彼女は、土と風のエレメントのふたりの最上級妖精と契約をなしていた。

 普通の人間だったら、気が狂うほどの重圧があっただろう。 

 (すさ)まじい克己(こっき)心で、自分を律していたのか!?

 それだけで分かる。つまりは、殺すべきではない人間だと・・・。≫


レサトの目が、こちらを(にら)む。

そして、追いかけるように、精神波が届いたわ。


≪さて、エリース。無駄な戦いはしないで、道を(ゆず)ってはくれないか?

 わたしの目線で見た画像で理解できただろう。

 わたしが、必要とするのは、暗黒の妖精のラティスのこの世界からの退去か、

 その契約者の命のみ。≫


≪たしかに、()()でも、妖精界の頂点と豪語する、

 暗黒の妖精と対峙するのは、あなたでも厳しいわね。≫


≪ふふふ、自称か。わたしもそうだが、妖精は、契約者が死ねば、

 それまでがどうであれ、妖精界に帰る。≫


≪今、レサトの身体に対する攻撃は、わたしの意識が顕在(けんざい)してなくても、

 わたしの無意識の魔力でも、(まも)ることもできる。≫


≪そして、妖精界の超絶者のひとり、暗黒の妖精がいなくなれば、

 もはや自死するための手段は、レサトになくなる。≫


わたしも、魔法円にのり、空中に浮かんできたレサトの目を(にら)み、

想いを精神波で叫ぶ!


≪セイリル。だけど、通すわけには、いけないわ。

 なぜなら、暗黒の妖精の契約者は、わたしの義兄!!≫


≪そうか、やはりか、納得した。だが、そちらも超上級妖精。手加減は出来んぞ!≫


レストの周囲に、黄金の背光が、輝いていく。


そうね、セイリルという超上級妖精は、

ラファイアやラファイスのことはともかく、

ルービスやエメラルアまでこの世界にいることを、知らないみたいね。

けれども、このセイリルは、気づいてない。

あなたが、超絶と言う妖精たちが、もし、自分の契約者が傷つけられたら、

どんな反応をしめすのか。

そう、この世界を、焦土(しょうど)にしてはいけない。


だから、わたしが、ここで防ぐわ!


わたしの感情を追って、わたしの全身も、緑金色の背光に包まれれいく。 







第182部分をお読みいただき、ありがとうございました。

また、全部分をお読みいただいた方がいらっしゃるようで、

あわせて、お礼申し上げます。

また、短編の方にも目を通された方が、いらっしゃるようで、

この場を借りまして、こちらもお礼申し上げます。

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