『さようなら、なんて言わないで』に始まり、『記憶は消えてゆくものだから、切ないほどに愛しいんだね』に終わる物語
診断メーカーの【例えばそんな物語ったー】様より、『さようなら、なんて言わないで』に始まり、『記憶は消えてゆくものだから、切ないほどに愛しいんだね』に終わる物語
https://shindanmaker.com/803237
「さよなら、なんて言わないで。」
そう私は伝えたのだけれど。彼は苦笑いしながら私の頭を撫でて、ついぞ言葉を撤回することはなかった。
彼と出会った時、私は街角の隅で泣いていた。その時も大丈夫ですか、と尋ねてくれて傍に居てくれた。それからなんとなく、一緒に居ることが増えたのだけれど、彼は何故か名前を教えてくれることはなかった。いつも街角で待っていれば逢えるから、あまり気にしていなかったけれども。
でも、こんなのあんまりだ。急に明日からは此処に来ないからさよなら、なんて一方的に言うなんて。引き止めたけれど、彼は静かに苦笑いするばかりで。どうしたらいいか分からなくなってしまった──。
***
彼女には伝えていない、僕が病気に侵されていることを。でもそれでいい。酷い男がいたのだと、そう記憶が薄れていけば、彼女はきっと幸せにたどり着けるから。たぶん、きっとそれは、愛おしいほどに切ない甘い痛みなのかもしれなかった。
「記憶は消えてゆくものだから、切ないほどに愛しいんだね」