『夏休み』『幼なじみ』『使者』
診断メーカーの【あなたの書く小説のお題だしてみたー】様より、『夏休み』『幼なじみ』『使者』
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「なあなあ、やっぱアイス買いに行こうぜ。」
「お前が外に出たくねぇっつったんじゃんかよ。」
そんなの忘れた、なんて言いやがる幼馴染の頭にチョップしてやった。
夏休みの後半、うだるような暑さの中でクーラーを効かせた部屋でのんびりしていた。そうしたら、宿題写させろって家に押し掛けてきた幼馴染に、自力でやれって拒否して部屋に戻った。のだが、なら教えろと部屋にまで押し掛けてきて。仕方なく教えていたら、アイス食いたいと大騒ぎ。元気だな、なんて思いながら、財布をジーパンの後ろポケットに押し込んだ。
「宗谷稔さんですね。」
家を出たら、待ち構えていたかのように門の前に待ち構えて居たスーツの男。顔を引き攣るのを自覚した。
「異能養成学園への入学の推薦がありました。どうぞ我が学園へのご入学をお願い致します。」
何が入学をお願い致します、だ。丁寧に何をすればいいのか口頭で説明しながら、書類が入っているであろう封筒を押し付けて奴は去っていった。
そうっと横の幼馴染を盗み見れば、悔しそうな泣きそうな、なんとも表現しがたい表情をしていた。
「よかったじゃねぇか、稔。異能養成学園だぜ、すげーじゃんか。」
将来約束されたようなモンだな、なんて下手くそな笑顔を浮かべてるが、俺は知っている。
異能養成学園なんて、クソ喰らえだ。なんで行きたがってたコイツじゃなくて、俺に話が来るんだ。可笑しいだろうが、なあ神様とやら。
未だ喋り続ける幼馴染と、手元の封筒に、途方に暮れていた。