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魔王と騎士
騎士と魔王の片割れ
私はあなたを愛していた。
私の世界はあなたでできていた。
けれど。
あなたの全ては私じゃなかった。
あなたには私より大事なものがたくさんあった。
あなたはそういうヒトなのだと知っていた。
だからあなたが好きだった。
だからあなたの1番になりたかった。
けれど、あなたの1番は私ではなかった。
そんなヒトだと知っていた。
だから、私はあなたの一番になりたくて。
あなたの大事なものを、壊すと決めた。
ひとつ残らず。
きっとあなたは私を憎むだろう、私を嫌うだろう。
あなたはそういう、優しいヒトだと知っている。
だからすべてを壊すのだ。
憎しまれても、それはあなたの1番には違いない。
あなたの心が私に向くのであれば、私はそれでいい。
ただ、
少しだけ、別の未来を夢見ることはあった。