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52話 事態は動き、動かぬ者達

 こういう書き方はどうだろう?というかんじで書いたので、今までと書き方が大分違うかもしれませんが、良ければコメントなどお願いします。

 あれから、荷物などを整理した。多くはミーシャの食料だったけれど干物みたいな保存食中心だったからそれ程かさばらなかった。水とかは魔法で出せるからもしものときの分以外いらないし。それ以外は替えの服とか歯ブラシとかそんなものだけどそちらもそれほどなかった。


 もう、これで出発できる。


 今の状況じゃちょっと出にくいけどこれから良くなるなんてこともなさそうだし。


 そんなことを考えていたのが悪かったのだろうか。あまり信じてはいないが、これがフラグっていうやつなのだろうか。


 それは分からないがそれはその時に起こった。まだ、少し罵声が聞こえてきているような時だった。


 「グルルルルルゥゥゥォォォォォォ!!」


 そんな深く耳に残るような、空を⋯⋯大地を⋯⋯全てを震わせる咆哮が響き渡った。



-------------------------------------------------------------


 ここは小さな村の端の方。そこは人々の声で騒めき、今後に起こることを暗示しているようだった。


 その中に二人で


 「お、おい今の聞いたか?」


 


 「あ、あぁ。ゴブリンとかじゃあなさそうだが⋯⋯」


 普段は他人の足を引っ張り合うが、今はお互い動揺していてそんなこと頭にないようだ。


 「でも⋯⋯何だか聞いたことがあるような⋯⋯」


 「⋯⋯言われてみれば、確かにそんな気がする」


 そこにまた一人男が乱入してきた。


 「お、おい。逃げた方がいいんじゃねぇか?」


 強そうな迫力のあるような男が言う。見た目ではないのかもしれない。


 「そ、そうだな。そうだが⋯⋯どこに逃げればいいんだ?」


 「え?⋯⋯ど、どこがいいんだ?」


 ここは村の中。この近くには他の村はない。この村は他の村からも嫌われているからだ。それでも、この村が無くなったりしないのにも理由があるのだが⋯⋯。


 「た、戦えるのやつはいないのかっ!?」


 「居たが、昨日殺されてしまった⋯⋯」


 「⋯⋯そうだ。そうだよ!?昨日の奴が悪いんだ!!獣人を連れて入って災いを齎しただけでなくこの村の戦力を奪ったんだ!!あいつらが悪いんだ!!」


 「そうだ!!あいつが全部悪いんだ!!」




 結局、こうなってしまう。一番の問題は自分たちの民度であるということを知らない。

 


 だから、この事態を余計に悪化させてしまったのかもしれない。



------------------------------------------------------------------



 

 「!?これは⋯⋯まずいね」


 うーん、大きな咆哮だったけど⋯⋯何の咆哮だったのかね。


 「今の咆哮は何ですか?」


 そう聞くもタル―シャさんは黙り込んで話を聞いていない。


 「タル―シャさん!!」


 「!?あ、あぁ。あれは恐らく、だけれど⋯⋯ブラッドベア、じゃないかねぇ」


 

 !?あぁ、あれか。昔この村を襲撃したとかいう奴。確かにそれはまずいね。少なくともゴブリンで手間取る奴らにブライアンとアラーナ⋯⋯オーガを倒したことのある二人が倒せなかったような奴をどうにか出来るとは思えない。


 まぁ、この村が滅ぼうが滅びまいが別に構わないけど。丁度いい証拠隠滅にもなるし。



 「⋯⋯あの日から緊急用の結界の魔道具はいくつか用意したけど⋯⋯もって数分ってところかねぇ。今のあたしじゃあ⋯⋯。あんた達はどうするかい、旅人さん?⋯⋯もともと、あんたはこの村の者ではない。だから、この村を守る必要なんてないさね。⋯⋯それに、かなりの迷惑をかけた。もし、この村から出たいのなら、すぐに出られるような形で結界を張ろう。それで、この村が壊れてしまったら⋯⋯自業自得ってもんさね」


 そう言うタル―シャさん。そこには善意と罪悪感が見える。


 もし、ここにいるのが物語の主人公である勇者なら迷わずにこの村を救ったのであろう。しかし、ボクはそんなものではない。自分を形作るのは燃え尽きることのない業火のような復讐心。そして、それを叶えるための理性。そう思っている。まだ、少しは良心があるものの無償の善意を施すほどではない。


 そう考え、世間では非情と言われるであろう選択を口にしようとした時、またまたボクの邪魔をするように事態は進んでいく。



 ”パリーッン!!!!!!!!!!!!!!”



 外から何かが割れる音が聞こえてくる。しかし、緊張は弾けない。逆にこの場の空気は先程よりも張り詰めたものになる。


 それは、”割れたもの”が誰にでも理解できたからだ。それは勿論、結界。村を守っていた結界が割れてしまったのだ。この村の人たちにとって唯一の結界だったからだ。


 それは、タル―シャさんも例外ではない。


 「⋯⋯結界が、壊れた、ね。⋯⋯いや、まだ絶望するには早いね」



 それは言葉通りそう思ったのか、はたまた自分に言い聞かせたのかは分からない。⋯⋯恐らく後者であろうが。

 



 事態はどんどん進んでいく。

 

 

 

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