48話 八年前の村
伝承なんてあまり当てにはならなそうだけど、真実だとしたらその女神フェルヌスとやらが加護を与えなかった女神で間違いなさそうだ。とはいえ、人族の神が素晴らしいという話だったが、嘘くさい。余りにも美談すぎる。この話ではフェルヌスが善神で他は悪神ということだが本当にそうなのかどうなのか、よく分からない。こういうのって勝者が美化されていることの方が多いだろうしね。
まぁ、この話題はもういいか。別に緊急性があるわけでもないし。
緊急性のあると言えばある話題はあと一つだ。ちなみに、背後関係とか動機とかも聞いたけど思った通りそんなものはなく獣人を夜殺そうという短絡的なものだったらしい。そして多分だけど、こいつは嘘はついていないだろう。.
さて、じゃああの件について聞くとしようか。
「じゃあ次に八年前の事件について話して」
ここでいう八年前の事件は、タル―シャさんが言っていた事件のことだ。先程と同じで違う思想を持った人間からも聞いておくべきだ。
「⋯⋯貴様、何故そのことを知っている?」
「何でってタル―シャさんに聞いたに決まってるじゃないか」
なんでそんな当たり前なことを聞くのかね。
「あのお喋りババアめ⋯⋯この村の恥を外の者に話すなど⋯⋯」
恥?
何か恥だとか言って話そうとしない。こいつ⋯⋯自分立場分かってるのかね、いやきっと分かってないんだろうけど。
仕方がないから首に剣の刃を当てる。
「ふんっ⋯⋯仕方ない。語ってやろう」
⋯⋯こいつの神経の図太さだけは称賛に価するよ、本当に。
ただの村人で、しかも悪人なんて異世界ものなら小者の中の小者みたいな感じですぐに命乞いをするような奴が多い気がするけどこいつは全然そんなことがない。
きっと村人でなくもうちょっと頭が良ければもっと大物の悪キャラになっただろうね。
頭の中でそんなどうでもいいことを考えながら話を聞く。
ここでまた要約。
いや、もうこいつ無駄なことばかり言うんだよ。ちょっと話せば獣人は穢れた~とか人族は至高の~だとかもう脇道に逸れまくり。その度に何度も首に剣先向けて軌道修正させているけれど、学習しない。
ともかく、おおよその事実は多分タル―シャさんの言っていることと同じだと思う。まず、タル―シャさんは年までは言っていなかったけれど十年前、オーガが村にやってきた。そして、ブライアンはオーガ相手に苦戦を強いられたが、そこにアラーナがやってきた。アラーナでもオーガは倒せないが、ブライアンと協力し何とか倒すことが出来た。その二年後、ブラッドベアが現れ村に大きな災害が訪れた。ここでブライアンとアラーナはブラッドベアを相手に戦った。
しかし、細かい部分や捉え方は違った。
まず、告白したのはモルバールによればアラーナの方。自らの助力を盾に強引に迫ったという。しかも、別にアラーナは別に大した戦力ではなかったとか。たまたま撃った魔法がオーガの眼にあたり、それで倒すに至ったという。あと、八年前のことでもアラーナは共闘などせず、一目散に逃げていって帰ってこなかったという。
ふむふむ。
まぁ、あらましは二人とも同じだからそれを信じておくことにしよう。その他は⋯⋯まぁ参考程度にする程度にすればいいか。そもそも、八年も前のことなんて正確に覚えているのかどうか分からないし。なんか、ここまで聞いておいてなんだけど、、ボクにはあまり関係のないこと。ここまで聞いたのは興味があったということもなくはないけど、一番はもし、ボクにとって何かしら知っておいた方がいいことがないか知りたかったのだ。
この村にそんなに滞在する気なんて元からなかったけれど、情報は必要だからね。もし何かあった時に、情報はあった方がいい。例えば誰が敵で味方か、信用に足りるのかどうか。そういうことが分からないと、判断を間違える。
だから⋯⋯いや、今はいいか。
「ふんっ、話を聞き終わったなら早く俺を解放しろ!!」
⋯⋯うるさいなぁ。でも、どうしようか。
解放しようか、それともやめておこうか(生から)。
そうだなぁ、まだ話、聞いた方がいいかもしれないけど別に大した情報なんて持ってないだろうから他の人に聞けばいいしなぁ。沢山の人の考えを聞くべきだといっても特別こいつに聞かなきゃいけない理由なんて無いしなぁ。面倒くさいし殺しちゃおうかな。




