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45話 馬鹿と魔法


 一人の男が鍬を持って走りこちらに向かってくる。


 とはいえ、それは素人であるボクから見ても遅く、隙があり何も考えずに向かってきているというかんじだ。太ってこそいないがその醜い表情も相まって豚みたいだ。いや、それは豚に失礼か。豚にだってもっと考える知能もあるし、欲望の象徴とされることはあってもそれだってこの差別的な感情よりましだろう。


 ともかく、ゆっくりと向かって来た男を取り敢えず避ける。


 特に攻撃はしなかったが鍬を振り下ろそうとしていたせいかこけた。


 弱っ、というか雑魚っ。


 ボクは特にまだ何もやっていないのに残りの奴らは、仲間の敵っ⋯⋯!!みたいな目で見てくる。いや、

お前たちが雑魚すぎるだけでしょ。


 今度は一人では駄目だとその小さな脳でも理解できたのか、複数で来たようだ。


 「貴様、殺してやるっ⋯⋯!!」



 奴らは、ボクの周りを囲む。念の為ステータスを確認したけど、スキルに危険そうなものはない。少しはいてもいいんじゃないかと思っていたけど魔法系スキル持ちもいない。魔法系スキルが希少なのか、ここに魔法なんてものを使えるようにするような努力をする奴がいなかったのか、判断に悩む。


 あと、そういえばこの鑑定は役に立つけど敵になったら厄介極まりないだろうね。


 対策も考えておくべきかな。


 そんなことはさておき、集団でこちらに向かってくる、けれどそこには連携なんてものはない。ゴブリンだって本能的なもののおかげで少しは連携取れてるのに⋯⋯。


 周りの静寂が何故かそのだらしなさを引きたてる。



 そこをボクは魔法を使う。



 覚えたての風魔法だ。


 魔法は集団戦に強い。乱戦なんかは例外だけどこういう時には強い。また、風魔法はどこでも使え、火よりも手加減が効き土よりも自由度が高い。欠点としては、精密さが高く扱いにくいということくらいだろうか?


 ただし、それは風を刃のように扱えば、という話。


 周りに暴風を引き起こすだけなら、魔力さえあれば簡単だ。魔力量でのごり押しだけど。



 「風よ、我が願いに応えよ。求めるは強き旋風『単純なる強旋風』」



 別に詠唱なんていらないけどカモフラージュとして言っておく。


 かなり、てきとうだけど魔法の詠唱なんて星の数くらいはあるんじゃないかと言われているらしいので大丈夫だとか。それに、一応詠唱自体もちゃんと効果はある。魔力操作の邪魔にならない程度ではあるけど、一部詠唱で制御しているのだ。スキルも折角この前習得したし使える時に使っておかないと。



 「うおっ!?」


 「ひやっ!?」


 「ぐぎゃっ!?」


 ボクを中心として周りに強めの旋風⋯⋯というか台風みたいなものを作る。名前に旋風、と入っているがその風速は台風より少し弱い程度で、結構強い。


 普通なら大人なら倒れないくらいだが、予め無詠唱の水魔法で地面を濡らしておいた。これでも普通ならこんなことで転倒することなんて気を付けていれば起きないけどこの強風と戦闘中にいきなりということで全員が転倒した。中には強く頭を打った者もいたがまぁ手間が省けたかな。


 ただ、流石にそれで終わりとはいかない。


 いきなり転ばせたとはいえ、地面は泥なのでそれこそ頭くらい打ち所が悪くない限り大して怪我することはない。逆にこれで気絶したのが⋯⋯三割くらいかな?それだけいたことの方が驚きだよ。


 そもそも、この魔法に期待していたのは相手の行動を制限するくらいだったから、予想以上の効果があったといえるだろう。⋯⋯無論、これは相手が非戦闘職の場合のみのことだろうけど。それでも多少効果はあるだろう。


 そして今回、この魔法を使ったのには他にも二つ理由がある。一つは、すぐに殺すよりも多少は苦しめて殺したかったから。少なくとも気づかないうちに死んでた~ということにはさせたくなかった。もう一つは魔法や戦闘方法の実験だ。まぁ、魔法自体はもう実験済みではあったけれど、それはゴブリンに対してであってゴブリン以外に行った時何かしら不具合が起こらないかチェック出来ていなかったのだ。


 結果、こんな奴らじゃ力不足だってことが分かったけれど、弱かったとはいえ人間相手に出来たのでまぁ良かったというべきか。

 


ともかく、これで魔法の実験は終わり。


 次は剣の確認だ。

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